2017.12.28
私、港区女子になれない Vol.17港区女子。
それは“女”としての魅力を最大限に利用し、したかに生きる女たち。
しかし東京にはもちろん、こんな女性たちばかりではない。 高学歴やキャリアを武器に、自立して生きる女性たちも少なくない。
彼女たちは港区女子に反発しながら、口を揃えてこう言う。
「私、港区女子になれない」
慶應義塾大学卒、大手広告代理店勤務の篠田涼子(29)もそのうちの一人。 彼女の目の前に、港区女子・香奈が現れ、改めて自身の生き方を問う。
涼子は果たして、香奈より幸せになれるのか?
「私、港区女子になれない」一挙に全話おさらい!
第1話:高学歴キャリア女子VS男に頼る港区女子。賢いのはどっち?
―30歳の誕生日に、自分で稼いだお金でHERMESのバーキンを買う。
バーキンを手に入れる。それだけなら、これまでにもチャンスはあった。しかし涼子は、ただブランドバッグを振りかざす女になりたいわけではない。高級品は、身に着けるのに相応しい自分になって手に入れるからこそ、価値があるものだから。
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第2話:高学歴って、女の人生に必要ですか?男の愛を利用して生きる、港区女子の主張
中学を卒業し、名古屋市内にある女子高で香奈が学んだことは、女の人生にまるで役立たない微分積分や化学式ではない。「男に愛される術」である。
香奈は、こう思っていた。勉強して、いったい何になるの?したくもない勉強をして良い大学に入り、一流企業への切符を手にして、その先に何があるというのだろう?
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第3話:帰り際に渡された1万円。男からのタクシー代を素直に受け取れない私は、やっぱり港区女子になれない
桁違いのお金を稼いでいるのだとしても、人として尊敬できない男は賞賛に値しない。涼子は表情を変えず平然を装い、固く口を閉ざすのだった。
「えー❤すごいー❤」
香奈と「香奈2号」の模範解答が、ますます涼子を白けさせる。こういう女がいるから、勘違い男が増殖するのだ。
―驕ってもらうためにおべっかを使うなんて、私はまっぴら御免だわ。
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第4話:結局男が選ぶのは、港区女子にあって高学歴女にない賢さ
洋輔は、涼子の学生時代の元カレだ。2つ年上で、4年の月日を共に過ごした、特別な人。しかし涼子が社会人になり仕事が忙しくなるにつれ、次第に歯車が噛みあわなくなってしまった。
「そうなんだ!…元気そうだった?」
青春時代の恋人は、誰にとってもきっとそう。洋輔の名前は、何年の時が経っても、涼子の心に穏やかに響く。しかしマモルが発した次のひと言は、涼子の心に激しく波風を立てた。
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第5話:港区女子になれない高学歴キャリア女の苦悩と、男の愛を利用する女の代償。
学生時代の密な時間を4年も共に過ごした洋輔は、たとえ恋人どうしでなくなっても自分のことを理解してくれているものと思っていた。
1限の授業も決してサボらない涼子の生真面目さが好きだ、と言ってくれた洋輔。将来の夢を語る涼子を応援するよ、と言ってくれた。第1志望の広告代理店に内定が決まった時も、涼子の努力の成果だ、と自分のことのように喜んでくれたのに。
それなのに、なぜ香奈を選ぶの―?
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第6話:ヤドカリの如く男を渡り歩く港区女子。女の自立は要らぬプライドなのか?
27歳から29歳という、女が最も美しく咲く時期を共にした倉田から、最後に言われた言葉。男の愛を利用しているのは自分だと思っていたのに、実際は自分もいいように利用されていた。その事実を、未だ消化できないでいる。
―洋輔は、何が目的なのだろう?
そんな風に考えてしまう私は、心が荒んでいるのだろうか。それとも女の本能が発する、警告だろうか。
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第7話:30歳目前。港区女子になれない高学歴女が迫られる、「賢さ」の変容。
麻美の言葉の真意が理解できない涼子に、彼女は続ける。
「涼子ちゃんの目にどう映っていたかはわからないけど…私から見た洋輔は、自分が絶対に上に立ちたい男だもの。ほら、彼の両親もお姉さんもめちゃくちゃ優秀でしょう。そんな中で育ったから、彼女には自分を無条件に尊敬して欲しいのよ、きっと。」
麻美にそう言われ、涼子はふいに昔の出来事を思い出した。
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第8話:年収1,000万円の慶應ガールが言う「普通の男」は一体どこに?
夕暮れの表参道は、若いカップルがいっぱいだ。普段は逃げるように足早に立ち去る涼子だが、楽しい予定が待っている今日は、すれ違う男女に温かい視線を投げることができる。
人混みを避けてみゆき通りに向かい、待ち合わせまでの時間潰しに『INTERSECT BY LEXUS』に入ろうとした時、涼子の耳にLINE着信音が届いた。差出人は、麻美。
―まさか、彼が来られなくなったとか…?!
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第9話:「あの子だけは嫌」港区女子の分不相応さを許せぬ、高学歴女
もやもやとした思いを消化できず、香奈を直視できない涼子。できることならすぐにでも立ち去りたいが、彼女はそれを許さない。
「そうそう私、涼子さんに聞きたいことがあって…。」
逃すまいと一歩涼子に近づく香奈に嫌な予感しかせず、涼子は反射的に、身構える。しかし香奈は一切遠慮することなく、涼子の泳ぐ視線を見据えてくるのだった。
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第10話:おじさまを転がせても、彼の母親に嫌われる港区女子。慶應一族から受けた、強烈な洗礼
「香奈です。初めまして。」
気に入られたい一心でよそゆきの声を出す香奈に、洋輔の母親は口角だけを上げて応える。そして挨拶の言葉もそこそこに、会ってまだ5分も経っていないというのに、香奈の出自を問うのだった。
「香奈さん、学校はどちら?」
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第11話:「やりたいことがあるなら出資しようか?」港区女子を惑わす、甘い誘い。
―次を見つけるまで。
吸えるうちは甘い汁を吸えばいい。それは港区女子・香奈なりの生きる知恵である。
しかし甘い汁を吸えなくなった時にどうするのか?それを突き詰めて考えようとすると、思考が停止してしまう。そして結局いつまでも、答えに辿りつかないのだった。
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第12話:私の方が結果を残しているのに、なぜ?同期の出世に渦巻く、高学歴女の嫉妬
ニヤニヤしているのはいつものことだが、何か言いたくてたまらないという心の声が彼の存在全体から伝わってきて、涼子は渋々問う。
「…えーっと、何かしら?」
すると大樹は、周囲に人がいないのを確認した後で、嬉しさを滲ませた声で涼子に耳打ちをした。
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第13話:港区女子も高学歴女も勝てない。良家に嫁ぐに相応しい、最強スペックの女性とは?
今日は、仕事にも支障を来すほど涼子の頭を悩ます誠との一件を相談しようと、彼の紹介者でもある麻美を呼び出したのだった。
チキンサラダを頬張りながら、「バーキン買ってやるよ」と言われた事件をどうやって切り出そうか考えあぐねていると、麻美のほうから涼子の様子を窺うように、話を切り出した。
「…そういえば洋輔の話、聞いた?」
第13話の続きはこちら
第14話:やっと言える。私は、港区女子になれないんじゃない。自らの意志で、“ならない”のだ。
「バーキンは、断るわ」
そう言い切ったとたん、今までつかえていた何かがすとん、と落ちてなくなった気がした。その感覚から、涼子は自分の決断が正しいことを確信する。
男の愛を利用し、多くを得る女こそ賢い。そういう価値観で生きる男女が東京には、港区には存在する。そういう人種を目の当たりにし、ここ最近の涼子は自分を見失っていたのかもしれない。
第14話の続きはこちら
第15話:女の幸せは、何者にもなれぬ自分を受け容れた先にある。
「誠くん…あの、バーキンのことなんだけど」
早めに話してすっきりしてしまいたい。そう思って、涼子は早々に話を切り出す。誠はちらり、と涼子を見遣り、「うん」とだけ言うと、また料理に視線を戻した。
「あの…やっぱり、バーキンは貰えない。そういうものって、自分で買うから意味があるって言うか…それが私の、ポリシーなの」
第15話の続きはこちら
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