私、港区女子になれない Vol.16

私、港区女子になれない 最終回:女の幸せは、何者にもなれぬ自分を受け容れた先にある。

港区女子。

それは“女”としての魅力を最大限に利用し、したたかに生きる女たち。

一方、東京で高学歴やキャリアを武器に自立して生きる女性たちは、口を揃えてこう言う。

「私、港区女子になれない」

慶應義塾大学卒、大手広告代理店勤務の篠田涼子(29)もそのうちの一人。

涼子は30歳の誕生日にバーキンを自力購入することを目標に頑張ってきた。一方、そんな彼女の前に、不倫相手にバーキンを貢がせた港区女子・香奈が現れ、心をざわつかせる。

香奈への苛立ちを、紹介で出会ったIT企業経営者・に愚痴る涼子。すると誠は「俺がバーキン買ってやろうか?」と言い出し、涼子を困惑させる。

しかし涼子は誠の申し出を断ることに決め、自力でバーキンを手に入れる

そして迎えた、30歳の誕生日当日。涼子は誠を呼び出し、何を伝える…?


バーキンは、貰えない。


「では改めて…涼子ちゃんの三十路突入を祝って、乾杯」

ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町『All-Day Dining OASIS GARDEN』で、涼子と誠はグラスを合わせた。

「…どうして普通に、お誕生日おめでとうって言えないかな?」

まったく…と膨れると、そんな涼子を面白がるように誠はにやにやと笑っている。女性をまったく気遣わない、失礼な彼とのやりとりも、慣れてしまえば心地よいから不思議だった。

もちろんそれは、彼の端正な顔立ちがあってこそ許されている部分が大きいのだが。今日の彼は濃紺のジャケットがより一層爽やかで、涼子は心の中で大きくはなまるを描いた。

「誠くん…あの、バーキンのことなんだけど」

早めに話してすっきりしてしまいたい。そう思って、涼子は早々に話を切り出す。

誠はちらり、と涼子を見遣り、「うん」とだけ言うと、また料理に視線を戻した。

「あの…やっぱり、バーキンは貰えない。そういうものって、自分で買うから意味があるって言うか…それが私の、ポリシーなの」

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