私、港区女子になれない Vol.10

おじさまを転がせても、彼の母親に嫌われる港区女子。慶應一族から受けた、強烈な洗礼

港区女子。

それは“女”としての魅力を最大限に利用し、したたかに生きる女たち。

一方、東京では高学歴やキャリアを武器に、自立して生きる女性たちは口を揃えてこう言う。

「私、港区女子になれない」

慶應義塾大学卒、大手広告代理店勤務の篠田涼子(29)もそのうちの一人。 彼女の目の前に、典型的な港区女子・香奈が現れる。

香奈は涼子の大学時代の元カレ・洋輔に接近。2年間不倫関係にあった倉田と別れ、すぐに洋輔の家で同棲を開始

傷心の涼子に、大学の先輩・麻美が、IT企業を経営するイケメン・小林誠を紹介してくれたが、彼の意地悪な発言に涼子は憤慨。

その後、久しぶりにばったり香奈と遭遇。そこで香奈は涼子に、洋輔との結婚を匂わせ、涼子の心を再びかき乱すのだった。


港区女子が手に入れたい、強固な肩書


「ニューヨーク駐在が決まりそうなんだ。」

日付が変わる頃、めずらしく鼻歌を歌いながら上機嫌で帰宅した洋輔が、キッチンに立つ香奈に向かって大声を出した。

その声色には、隠し切れない喜びが滲んでいる。

洋輔は総合商社の財務部門におり、ニューヨークもしくはロンドン駐在の可......


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