リバーシ~光と闇の攻防~ Vol.1

リバーシ:出会って3分、IT社長に見初められた地味女。彼から与えられた「衝撃の仕事」

東京の平凡な女は、夢見ている。

誰かが、自分の隠された才能を見抜き、抜擢してくれる。

誰かが、自分の価値に気がついて、贅沢をさせてくれる。

でも考えてみよう。

どうして男は、あえて「彼女」を選んだのだろう?

やがて男の闇に、女の人生はじわじわと侵食されていく。

欲にまみれた男の闇に、ご用心。


― これ、本当に私…?

銀座にある高級デパートの試着室。

秋帆は、三面に備え付けられた鏡をまじまじと見つめた。鏡の中には、上質な黒のワンピースに身を包んだ自分が映っている。

「お客様、いかがでしょうか」

外から店員に呼びかけられ、恐る恐るカーテンを開ける。

「とってもお似合いです。お客様の清楚な雰囲気にぴったり!」

店員が大げさに褒めると、その隣で、黒川は満足そうにこう言った。

「とっても似合っているね。じゃあ、これも頼むよ。彼女に似合いそうなもの、もっと持ってきてくれないか」

「かしこまりました」

ワンピースを脱ぐため試着室に引っ込んだ秋帆は、急に不安になった。

― どういうつもりなんだろう? 今日から働きだした新人に、洋服を買い与えるなんて…。

「最初の仕事に出かけよう」と、突如黒川に連れてこられたのが、この百貨店だった。

店に入るなり、「好きなものを買いなさい」と言われて、さっきから試着を繰り返している。

カーテンから顔を出した秋帆は、黒川におずおずと尋ねた。

「あの、本当に良いんでしょうか…?」

「良いんだ。僕のもとで働いてもらう以上、“きちんと”してもらわないと」

この時秋帆は、黒川が言っている意味をまったく理解していなかった。

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