私、港区女子になれない Vol.4

私、港区女子になれない:結局男が選ぶのは、港区女子にあって高学歴女にない賢さ

頑張った先に、幸せはあるの―?

慶應義塾大学を卒業し、大手広告代理店で働く篠田涼子は、30歳の誕生日までに自分で稼いだお金でバーキンを買うことを目標にしている。

しかし、男の愛を利用して生きる女・香奈が、男からバーキンをプレゼントされたのを知って心がざわつく

一方香奈も、2年間不倫関係にあった倉田の嘘を知ってしまう。

傷心する香奈。しかし、慶應内部生のお坊ちゃん・洋輔からアプローチを受けてまんざらでもない様子…?


愛ってなんですか?


―愛ってなんだろう。

1人で居るにはあまりに広すぎるリビングで、香奈はそんなことをぼんやりと考えている。

男に愛されて生きるのが、女の幸せ。

ずっとそう信じて生きてきたが、「愛される」とはどういうことを言うのだろう。焦点の合わない目で部屋を見渡すと、遠く、ソファの上に鮮やかなピンク色のバーキンが置いたままになっているのが見えた。

「香奈の喜ぶ顔が見たくて。」

倉田はそう言ってオレンジ色の箱を香奈に渡したが、それは愛なのだろうか。愛していても、嘘をつくのだろうか。

そこまで考えて、香奈は思考を停止した。昔から、何かを突き詰めて考えるということが苦手なのだ。だから、ずっと答えは見つからない。

しかし1つだけ、確かなことがある。

倉田の、男からの愛を失ったら、香奈には何も残らない。青山のマンションも、ブラックカードも、香奈を取り巻くすべてが、男からの支援なしに存在できないのだから。

喉が渇き、水を取りに行こうと立ち上がると、ふいにLINEの着信音が鳴った。

「もしもし、香奈ちゃん?」

―声の主は、洋輔だった。

「どうしたの?」

香奈が渇いた声で問う。洋輔は「いや、別に用事はないんだけど…」と言い訳をした後でこんなことを言うのだった。

「三日月を眺めていたら、香奈ちゃんを思い出したんだ。」

―三日月?

「香奈ちゃんって、笑うと目が三日月みたいになるからさ。」

「…何それ。意味わかんない。」

香奈が呆れて笑うと、電話の向こうで洋輔も照れたように笑った。

誘われるように冷たい窓に近づき、香奈も三日月を眺める。ぼんやりとした月明かりと洋輔の笑い声が、すーっと、胸に沁み込んでいくような気がした。

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