2022.01.07
Miss 東大生ハンター Vol.13エリートと結婚して優秀な遺伝子を残したい。
そう願う婚活女子は多い。そのなかでも、日本が誇る最高学府にこだわる女がいた。
― 結婚相手は、最高でも東大。最低でも東大。
彼女の名は、竜崎桜子(26)。これは『ミス・東大生ハンター』と呼ばれる女の物語である。
「Miss 東大生ハンター」一挙に全話おさらい!
第1話:「優秀な遺伝子が欲しい!」エリート男を狙う、インカレ女の黒歴史
「東大卒で弁護士やってる旦那さんがいるお姉ちゃんには、言われたくないよ!」
「私の場合は、偶然で…。狙ったわけじゃないのよ」
百合子が慌てて弁明するも、桜子は聞く耳を持たない。
「とにかく、私は東大卒じゃなきゃイヤなの。最高の遺伝子を求めてるから!!」
桜子は、自分に言い聞かせるようにそう言うと、口をつぐんだ。12歳の時の苦い記憶が、ふと頭に蘇ってきたのだ。
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第2話:東大卒の真面目なキャリア官僚。でも週末、彼はスーツを脱ぎ捨て意外な趣味に…
「桜子さん、ですよね?今日はよろしくお願いします」
27階の『春秋 溜池山王』で拓哉と対面した桜子は、瞬時に彼の全身に目を走らせる。黒々とした短髪にべっ甲柄フレームの眼鏡。飾り気のない白いシャツ。腕には日本製のシンプルな時計が光っている。
― よかった。決しておしゃれじゃないけど、変な人ではなさそう。
ひとまず安堵し、「こちらこそ、よろしくお願いします」と愛想よく微笑んだのだった。
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第3話:アポ無しで男の部屋を訪れた女。扉を開けた瞬間、見てしまった衝撃的な光景とは
桜子が大学時代にずっと憧れていた先輩・タケル。そんな彼が聖心女子大の美女・玲香と水面下で交際を続け、既に結婚していたことを、桜子はつい先ほど知った。それだけでもショックなのに、この上さらなる新事実など、聞きたくなかった。
「私、昔タケルさんと付き合ってたんだ。1年生の夏ごろから1年くらい、かな。最後は玲香さんが本命だったことを知って、私から別れたんだけどね」
美由紀の告白に、桜子は言葉を失った。
― 1年生の夏…!?もしかして、美由紀と付き合ったから私は切られたってこと?
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第4話:「文Ⅲより理Ⅰ?」東大生を狙う女たちのマウント合戦。文学男に見切りをつけた女の末路
宏太と別れる“決定打”になったのは、新しい彼の登場だった。
渋谷幕張高校出身で、理Ⅰ入学の後輩。共学出身らしいもの慣れた態度や、女性に対する細やかな気遣いは、男女別学の高校出身だった宏太にはないものだった。周囲からの評判も上々の彼からアタックを受けて、桜子の心はぐらぐらと揺れた。
しかも宏太は、3年生の夏からカリフォルニア大学バークレー校への1年間の留学が決まっていたのだ。結局それを理由に別れを切り出し、後輩と付き合うことを決めた。その後輩とも、結局1年程度で別れてしまったのだが…。
「桜子さ、もしかして宏太くんと『復縁もありかも』なんて考えてない?」
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第5話:「東大卒で年収1,500万以上がいい!」婚活市場で、高望みする平凡女が直面する厳しい現実
「今日ネットで読んだ記事でも、『東大卒と結婚したいなら、絶対に東大に入れ!』って書いてあって。やっぱり東大卒の男性は、高学歴な女性を求めているのかなって…」
なんともいえない表情をしていた慶一郎だが、桜子の言葉に違和感を覚えたようだ。いつになく真面目な表情で、「あのさ」と切り出してきた。
「俺、桜子と一緒に何度もお食事会をしてきた立場から言わせてもらうと、君が東大男と結婚するために必要なのは、美しさやスペックじゃない」
「どういうこと?」
思わず身を乗り出す桜子に対し、慶一郎は2本の指を突き立てた。
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第6話:“イカ東”との初デートで強烈パンチ。楽勝だと思っていた婚活女が振り回され…
電車に乗ると、店を出る前につくったグループLINEが既に動いている。美由紀の先輩にはじまり、美由紀、そして加藤が、「今日はありがとうございました!」「またぜひ!」と一言ずつ送りあっていた。
― みんな、お礼LINE送るの早っ…。
『ありがとうございました、楽しかったです!』
桜子は慌ててメッセージを打ち始める。しかし次の瞬間、表示されたポップアップを見て、手が止まった。
『加藤:竜崎さん、今日はありがとうございました。もしよかったら、明日動物園に行きませんか?』
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第7話:アプリで東大卒外銀イケメンと出会ったものの…。初対面で女が一気に幻滅したワケ
KITTE丸の内にある『アルカナ東京』の個室で、桜子は先日アプリでマッチングした東大卒外資系コンサル勤務の男“シゲ”を待っていた。
シゲは、打ち合わせが長引き10分遅刻すると言っていたが、既にそこから10分経過している。
しかし、彼は、事前のLINEのやりとりで「おいしい野菜が食べたい」という桜子のために、旬菜にこだわったこのフレンチレストランを予約してくれたのだ。多少の遅刻には目をつぶろうと、桜子は心に決める。
― ええ、そうよ。モテる東大卒との結婚、私はまだ諦めちゃいないわ。
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第8話:豊島岡から東大に合格したものの…。入学後、“東大女”というレッテルに悩まされる現実
― 今私の目の前にいる女性って、宏太が…私の後に付き合った彼女、だよね?
艶やかなロングヘアの女性から、桜子は目が離せないでいた。
“澤田アキナ・27歳。東大法学部卒業後、教育系アプリ開発の株式会社Konjac入社。2020年4月、Konjacより出資を受けて人材系企業の株式会社Atsuageを創業” ――スクリーンには、そう映し出されていた。
このKonjacとは、元カレ・宏太が創業した会社だ。彼のInstagramで一緒の写真に納まっていたアキナの顔を、桜子はよく覚えている。
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第9話:高学歴カップルは意外と続かない!?完璧な女を前にすると、男が自信をなくすワケ
今の自分にとっての幸せは何か。
大事なことを考えないまま突き進んで、晴れて東大卒と結婚できたとしても、きっとうまくはいかないだろう。突然現れた白馬の王子様が、無条件に人生のハッピーエンドを約束してくれる――そんなおとぎ話はありえないのだから。
というわけで、桜子は「何のために婚活するのか」を考え直すため、少し立ち止まろうと決意。せっせとマッチングアプリを整理していた時、不意にスマホが振動した。
『加藤:ご無沙汰してます。お元気ですか?』
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第10話:東大卒のエリート弁護士と結婚し、広尾で暮らす女の苦悩。夫婦ゲンカの原因はいつも…
「ただいま~。って、お姉ちゃん、遊びに来てたの?」
「あら、桜子!おかえりなさーい。遊びに来たんじゃないの、夫と喧嘩して家出してきたのよ!」
武蔵小杉の家に着くと、姉の百合子が出迎えてくれた。リビングでは、彼女の3歳の息子がおもちゃで遊んでいる。
「お姉ちゃんたちが喧嘩なんて珍しいね。ミスター東大も完璧じゃない、ってこと?」
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第11話:クリスマスに自分からデートに誘った女。OKだったから期待したのに、まさかの展開に絶句
『留学で遠距離になるのは、桜子的にOKってこと?』
美由紀からのLINEに、桜子はスマホから目を離すことができない。
― 加藤さんが留学だなんて、聞いてない…。そんな大事な話をするほどの相手として思われてないってことなのかな。
すると、スマホに美由紀からの着信が表示された。スワイプすると、「もしもし、桜子?」と心配そうな声が聞こえてくる。
「加藤さんの留学のこと、知らなかった?」
「うん。2回デートしたけど、何も言ってなかった…」
第11話の続きはこちら
第12話:既婚者の元カレを前に、劣等感に苦しむ未婚・彼氏ナシの女。食事中、思わず涙してしまったワケ
東大の研究室との共同プロジェクトであるこのセミナーは、澤田アキナが代表を務める株式会社Atsuageが運営している。そこへ、アキナの夫である宏太の会社が出資しているというのは、以前に聞いた話だ。そして、そのアキナと宏太が、夫婦だということも。
「それにしても、桜子がこんなセミナーに参加してるなんて意外だな――おっと、もう始まりそうだね。桜子、終わったあと時間ある?せっかくだからゆっくり話そう」
「う、うん。そうね」
スーツを着た司会者らしき男性がマイクを手に現れたのを見て、宏太は会話を切り上げ、踵を返す。ひらひらと振った左手の薬指には、シンプルなプラチナリングが光っていた。
第12話の続きはこちら
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