東京バディ Vol.11

恋か友情か…。男女の奇妙な三角関係の行く末は?「東京バディ」全話総集編

夫婦や恋人でもなく、家族のような血のつながりもない。それでも人が生きていく中で求めるもの—。それは「友情」だ。

「たった一人の親友(バディ)がいれば、他には友達なんていらない」。

そう豪語する男がいた。

互いを信じ合い、揺るぐことのない二人の友情。だが、彼らが好きになったのは、同じ女性だった…。

「東京バディ」一挙に全話おさらい!

第1話:互いを「親友」と呼び合う2人の商社マン。だが好きになったのは同じ女だった…

片桐だけは頑なに、僕のことを苗字で呼ぶ。そして僕も、誰もが「コースケ」と呼んでいる片桐のことを、出会ってから10年ずっと苗字で呼んでいる。

互いに話し合った末に決まったルールじゃない。二人とも、いまさら呼び名を変更するのが恥ずかしいだけ。

だから出会った当時と変わらず「おい小暮」「なんだよ片桐」と呼び合っているのだ。

そんな僕たちが仲良くなったキッカケは、実は、ある美しい女の存在だった。

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第2話:「コレってもしかして…」男友達のマンションで発見した1冊の本に、衝撃を受けた理由

「舞が結婚するらしいよ」

ステイホーム明けのあの夜、片桐にそう言われたときは驚いたし、悲しかった。それから日を追うごとに傷が深まっていた。無意識で毎日カレーライスを食べるほどに、思考回路も壊れてしまったらしい。

―僕は、本当に舞のことが好きだったのか。

あらためて、そう認識した。そしてふと考える。

―片桐も、落ち込んでいるのかな?

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第3話:「私が結婚する男って、実は…」美女が明かす婚約者の素性に、男たちが凍りついた理由

舞に好かれる能力において、凡人の僕は、天才である片桐には勝ち目がゼロだ。だからこそ舞が、片桐ではなくまったくの別人と付き合い、結婚することが想像できなかった。

舞が付き合う相手は(※僕でないのであれば)片桐でなければならない。舞を幸せにするのは(※僕でないなら)片桐だ。

10年間ずっと身勝手にそう思っていた。知らない男に舞を取られるぐらいなら、片桐と一緒になってほしい。

僕はミッションを開始した。

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第4話:朝起きたら、何故か隣に女が・・・。食事会の翌日、男が青ざめた理由

―舞の結婚相手は、僕でなければ、片桐しかいない。

そんな奢った考えを持っていた自分が恥ずかしい。僕や片桐が10年も片想いしていた舞は、やっぱり舞だった。彼女が生涯の伴侶に選んだのは、素敵な男性だった。

僕はそのことが嬉しくて、そして安堵して、飲みすぎたのだ。

だからこそ翌朝、意識が戻るように自宅で目覚めたとき、僕は青ざめた。ベッドの隣で、舞が寝ていたからだ。

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第5話:「酔ったはずみで、彼女を・・・?」結婚前の女が、他の男の家で朝をむかえたワケ

舞にコーヒーを渡してから、ダイニングチェアに浅く腰かけた僕はそう切り出した。だが、自覚している。慌てているのは僕だけで、舞は起床してからずっと落ち着いているのだ。

「昨夜の出来事を、正確に教えてくれない? 2軒目のバーには、4人で行ったよね?」
「うん。4人で行った」

4人というのは、僕と片桐、そして舞と、舞の婚約者の“たっくん”こと笠原拓人だ。

「…で、そのあと、解散して帰ることになって…」

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第6話:「あの夜、そんなことが…」皆で食事していた最中、男と女が水面下でしていたコト

「舞さんと出会ったのは、彼女がウチの会社の就職面接に来たときです」

店の個室で、僕と笠原は向かい合って座っていた。

テーブルには、2杯のビール。乾杯はしたものの、次にグラスに口をつけるのを躊躇してしまうほど、空気は張りつめていた。

順を追って説明する。笠原はそう前置きして、僕に話し始めた。

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第7話:「婚約中の男に、何度も試されて…」女が彼とは結婚できないと悟った、本当の理由とは

俺が今夜、どんな話を伝えようとしているのか、舞はうすうす理解しているのかもしれない。俺も俺で、かなり緊張している。

舞と二人きりでデートのようなディナーを共にすることなど、何年ぶりだろうか。

ここ数年は、舞に惚れていることがバレバレの親友・小暮に気を使い、舞とディナーをすることは避けていた。

だが今夜は別だ。親友に気を使っている場合じゃない。どうしても言わなきゃいけないことがある。舞にふさわしい男は、本当は誰なのか。

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第8話:友達だった2人が“男と女”のデートをしたら…。男が「やっぱり彼女とは無理」と思った理由

小暮と舞がデートしていた昨日は一日中、俺もソワソワしっ放しだった。はたして、うまくいっているのか…。

だから今こうして喜色満面で「昨日のデートがどれだけ楽しかったか」を語る舞を見て、俺も嬉しくて仕方がない。

ーやったな、小暮。

しかし“昨日のデートに関して小暮がまったく真逆の感想を抱いている”とは、この時の俺はまだ知る由もなかった。

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第9話:「こういう気持ち悪い関係、もう終わりにしたい」10年来の男友達から、突き放された瞬間

「片桐と舞が、俺に黙って付き合ってたって聞いた時は、本当に驚いたけど…」
「…黙ってた。ごめんな」

あらためて俺は頭を下げる。すると小暮は首を横に振った。

「そのことはもういいんだ。本当に…。それよりも…俺も謝らなきゃいけないことがあって」

俺は緊張を隠したくて、ワインをひとくち飲んだ。小暮は伏せていた目を上げ、口を開く。

「言葉を選ばずに言えば、僕は、僕らの関係が気持ち悪いと思うようになったんだ」

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第10話:男が眠っている間に、メモ帳を見てしまい…。そこで女が知った、彼の衝撃的な計画とは

深夜。自宅からタクシーを飛ばし、病院へ駆けつけると、俺に連絡をくれた舞だけでなく、小暮の御両親もいた。

一人っ子の小暮は親との仲が良く、自宅でホームパーティを開いた際には俺や舞を紹介し、その後も何度か顔を合わせたことがある。

だが病院なんかで顔を合わせたくはなかった。

「喜八の乗っていたタクシーが、ワゴン車に追突されたみたいで…」

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