東京バディ Vol.6

「あの夜、そんなことが…」皆で食事していた最中、男と女が水面下でしていたコト

夫婦や恋人でもなく、家族のような血のつながりもない。それでも人が生きていく中で求めるもの—。それは「友情」だ。

「たった一人の親友(バディ)がいれば、他には友達なんていらない」。

そう豪語する男がいた。

互いを信じ合い、揺るぐことのない二人の友情。だが、彼らが好きになったのは、同じ女性だった…。

◆これまでのあらすじ

「僕」こと小暮喜八は、親友・片桐とは10年来の仲だ。

二人がひそかに想いを寄せる女性・舞に、婚約者の笠原を紹介してもらうが、その夜、舞は小暮の家に泊まる。そして笠原からは「実は舞さんと別れようと思ってる」と告げられ…。


「舞さんと出会ったのは、彼女がウチの会社の就職面接に来たときです」

店の個室で、僕と笠原は向かい合って座っていた。

テーブルには、2杯のビール。乾杯はしたものの、次にグラスに口をつけるのを躊躇してしまうほど、空気は張りつめていた。

順を追って説明する。笠原はそう前置きして、僕に話し始めた。

10代のころからエンジニアとして優秀だった笠原は、高校卒業と同時に起業した。そして舞は、大手商社の新卒内定を蹴って、笠原が経営するIT企業に入っている。

「非常に優秀な人がウチに加わってくれたと好印象を抱きました。もちろんそれは仕事人としての彼女に対する好意であって、恋愛対象として好意を抱いているわけではありませんでした」

営業職として活躍し始めた舞と、エンジニアであり経営者でもあった笠原。二人は、同じ時間を過ごすことが多くなっていく。

「そんなある日、舞さんのプライベートに変化が起きて…」

そこまで言うと、笠原は目を伏せた。悲哀の色が窺える。

「舞さんにパートナーが出来たんです。つまり、彼氏です」

ああそういえば、と思い出す。たしか僕らが24歳になる年、社会人2年目の夏のことだ。

「片桐君には内緒にしてほしいんだけど」と言ってから、舞は彼氏がいることを僕に告げたことをよく覚えている。

「正直なところ、僕は…」

笠原は伏し目がちのままに言う。

「舞さんに彼氏ができて、ショックを受けたんです」

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