東京バディ Vol.1

東京バディ:互いを「親友」と呼び合う2人の商社マン。だが好きになったのは同じ女だった…

夫婦や恋人でもなく、家族のような血のつながりもない。それでも人が生きていく中で求めるもの—。それは「友情」だ。

「たった一人の親友(バディ)がいれば、他には友達なんていらない」。

そう豪語する男がいた。

互いを信じ合い、揺るぐことのない二人の友情。だが、彼らが好きになったのは、同じ女性だった…。


東京で生きていくのに、たくさんの友達なんて必要ない。

たったひとりの親友さえいれば。

僕は幸運だ。

もう、そんな男と出会ったのだから。



2020年6月。

ステイホームの期間を乗り越え、僕が最初にゴハンを食べに出かけたのは、やっぱりアイツだった。

「おお~っ、小暮!元気だったかーぁ!?」

麻布十番のいつものカフェバー、その店先。

恒例の待ち合わせ場所へ先に到着していた片桐は、僕を見つけると、こちらが手を振るより先に声を張り上げていた。

「しょっちゅうオンラインで飲んでたから、元気だって分かってるだろ?」

僕はいつものように冷静に答えた。

「つまんねえ返しをすんな、小暮!」

「真面目に答えただけだよ」

「ただの挨拶だって、小暮!」

マスクをしていても笑っているのが分かる。それが片桐のいいところだ。

「よっしゃ、サクッと飲んでサクッと帰ろうぜ、小暮!」

店に入って着席しても、同じ調子が続く。

「というわけで小暮は、なに食べる?なに飲む?」

およそ2カ月ぶりに会えたのが嬉しいのだろう。片桐はやたらと僕の名前を呼ぶ。

僕の名前は、小暮喜八。

珍しい名前だから、仕事でもプライベートでも「キハチさん」や「キハチくん」と呼ばれることがほとんどだ。

しかし片桐だけは頑なに、僕のことを苗字で呼ぶ。

そして僕も、誰もが「コースケ」と呼んでいる片桐のことを、出会ってから10年ずっと苗字で呼んでいる。

互いに話し合った末に決まったルールじゃない。二人とも、いまさら呼び名を変更するのが恥ずかしいだけ。

だから出会った当時と変わらず「おい小暮」「なんだよ片桐」と呼び合っているのだ。

そんな僕たちが仲良くなったキッカケは、実は、ある美しい女の存在だった。

この記事へのコメント

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No Name
新卒から10年って事は、今32、3でしょ!?そりゃ結婚するよ!(笑)そんなに結婚して欲しくなかったなら5年位前から何かアプローチてしてないと!
2020/06/21 05:2799+返信2件
No Name
変な文章
片桐の言うことに、最後いちいち「…小暮」って付いてるのなんなんだろう。
2020/06/21 07:0930返信5件
No Name
あーあ、二人揃っての失恋だね💔笑

たしかに価値観というか人生観というか、それが似てると長い付き合いになりやすいよね。多分これからも付き合い続くよ。
お互いに良い友達を持ったんじゃないかな?
2020/06/21 06:1126
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