恋するマザー Vol.8

妻が職場でときめいて、何が悪い?夫に本音を言えない女の、ささやかな喜びとは

いつまで経っても、女は女でいたいー。

それは、何歳になっても、子どもができてママになっても、ほとんどの女性の中に眠る願望なのではないだろうか。

いつまでも若々しくいたいという願いや、おしゃれへの欲求、それに少しのときめき。自由やキャリアへの未練。

そんな想いを心の奥底に秘めながら、ママとなった女たちは、「母親はこうあるべき」という世間からの理想や抑圧と闘っているのだ。


◆これまでのあらすじ

専業主婦の翔子(34)は、同僚たちとの再会をきっかけに、仕事をスタートする。

ところが「妻が仕事をする=貧困」と思い込んでいる姑との溝は深かった。そして、夫との仲は順調に思えたが…?


復帰してはじめての給料日は、新卒で勤めた会社の初任給をもらったときのようにワクワクした。

働くようになったらぜいたくするようになるかと危惧していたが、感覚としてはむしろその逆だ。

―お金稼ぐのって大変だし、お給料もらえるって本当にありがたいこと。無駄遣いしないようにしなきゃ。

働き始めたことで、そう思うようになっている。むしろ、財布の紐が固くなったほどだ。

「パパ、今後の生活費について相談したいんだけど…」

「ああ。今のままで問題ないだろ」

「でも私、自分のお小遣いのために働いているわけじゃないの。生活費を出し合えればと思って」

「じゃあ、生活費を出すって言う名目で貯金したらいいよ。それ以外の使い道は任せるから」

「う、うん…。パパがそれでいいなら…」

たとえば毎月10万を貯金したとしても、手元にそれ以上は残る。これまでの翔子のお小遣いを自分で負担しても、まだまだ余裕はあるのだ。

「俺、家事分担するなんて言っておきながら、結局ママに任せっきりだよな。それでもいつも家事も育児も完璧にこなしてくれているんだから本当にありがたいよ。お給料は、好きに使ってくれ」

「完璧だなんて…。私不器用だからいっぱいいっぱいだよ」

「そんなことないよ。仕事も家事もここまで完璧にこなしてくれるなんて、ママはスーパーウーマンだ」

圭一は満足げな笑顔でそう言った。

―そこまで言われると、言い出しにくいな。

翔子は口をつぐんでしまった。本当は、夫に相談したいことがあったのだ。

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