マルサンの男 Vol.14

3度の結婚歴を隠していた男に、29歳の女が下した決断は?「マルサンの男」全話総集編

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいるもの。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

南美と結婚間近の完璧なカレ・数也には、ある過去があった。

そして、ふとしたことをキッカケに、信頼していたカレの行動に疑念を抱き始める。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのかー?

幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

「マルサンの男」一挙に全話おさらい!

第1話:彼の過去なんて、関係ないはずだった…。結婚に浮かれる29歳女が、男に抱いた不信感

朝の空は、どこまでも高く澄み渡っている。ハイヒールを脱ぎ捨て、今すぐにでも走り出したい気分だ。

鼻筋の通った綺麗な数也の横顔を見つめながら、南美は決意した。

―私が、数也さんを幸せにするんだ。絶対に。

「結婚」。それは南美にとっては初めてだが、実は、数也にとってはそうではなかった。出会ったときには、すでに数也は2度の離婚歴があったのだ。

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第2話:「彼、海外出張先で女と会おうとしてる…?」男の密会に気づいた女が、咄嗟に取った行動とは

月曜の夜。南美は、大学時代のダンスサークル仲間・茉里奈と秀人を呼び出した。朝から長く続いた雨が上がり、麻布十番の濡れた路上はゆっくり走る車のライトで光り輝いている。

三人は、『ピッツェリア ロマーナ ジャニコロ』に集合していた。大学を卒業してから7年。二人とはずっと関係性は変わらない。

話題が何一つなかったとしても「とりあえず会おうか」と言っては平日の夜を共にする。

ただ、この日の議題は決まっていた。

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第3話:「毎日仕事に行くフリして、本当は何してた…?」男が部屋に持ち帰った物から、嘘に気づいた女

南美は、数也を商談に送り出した後、すぐに準備をして、トークイベント会場へと向かう。

スリアKLCCのTed Bakerで見つけたワンピースでドレスアップもした。アフターパーティにも参加するためだ。

アフターパーティでは直接、福原ほのかと対話できる。自然とメイクにも気合いが入った。

いよいよ決戦だ。しかし会場に到着すると、高揚していた戦意があっという間に失われていった。原因は、エントランスに提示された貼紙だ。

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第4話:「やってはいけないコトなのに…」。友人にそそのかされ、男に内緒で女が取った行動とは

「なんか、ごめんね。でも俺も正直混乱してる」

秀人もまた、ため息をつく。会社は数也にクアラルンプール出張を命じてない、という衝撃の情報をもたらした張本人は、責任を感じているらしい。

「そう言うだろうと思って、私、いいこと考えてきた」

茉里奈は落ち着いた口調で、話に割って入った。

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第5話:「3人目の女がいたの…?」男が妻と離婚した、信じられない理由とは

「それって、どういう意味でしょうか?」

南美はなんとか言葉を振り絞った。

「『数也さんが嘘つき』というのは…」
「ごめんなさいね」

桜は平然としている。

「でも本当にそのままの意味よ。彼は嘘つきだから、騙される前に逃げるべきだし。結婚なんて、もってのほか」

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第6話:「バレなきゃいいけど…」。彼からのプロポーズ2日前に、女が密かにメールを送った相手

さかのぼること、二日前。数也の自宅へお泊まりした南美は、最愛の彼氏が湯船で疲れを癒している間に、彼のスマホを覗き見た。

ロックは掛かっていたが、数也は日頃からパスコードを打つところを隠さないため、暗証番号を知っている。その数字は、南美と数也が付き合い始めた日付だ。

罪悪感が芽生える。…が、心に押しとどめる。数也がバスルームから出てくるまでがタイムリミットだ。

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第7話:「彼、物足りなかったの…」たった2年で離婚を決めた夫婦。女が、他の男に走った本当の理由とは

「ほのかさんを前にして、こんなこと言うのも変なんですが…二度の離婚歴があっても気になりませんでした」
「そう言ってくれて、元妻としても、嬉しい」

ほのかはそう言うと、雲一つない今日の空のような、混じり気なしの笑顔を見せてくれる。

―あれ?

唐突に南美は我に返った。

―私、ほのかさんと仲良くなってる…!?

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第8話:「ソレだけは、生理的に許せない…」彼女との結婚も考えていた男が、女を突然フったワケ

「本当に、私と別れたいの…?」

食前のシャンパンをオーダーした直後、南美は辛抱ならず数也へ尋ねた。

「ああ。ごめんな」

伏し目がちで数也は答えた。南美は声を絞り出す。

「…どうして?」
「俺に黙って、元妻たちと会ってただろ?」

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第9話:「私、騙されてたの…?」過去の結婚歴を隠して、2人の女と再婚していた男

秀人からLINEが来たとき、すでに南美はベッドの中にいた。時刻はすでに深夜1時を回っている。

『話は茉里奈から聞いた。無理を承知で言う。今から会えないか?』

夜更かししたところで、明日は日曜だ。南美は体を起こす。数也から別れを切り出され、茉里奈との関係も知ってから一週間。ずっと誰かに話を聞いてほしかった。

でもイチからすべての事情を話すことは、心が耐えられそうもない。大体のことを知っている、もう一人の親友・秀人なら気分が楽だ。

『すっぴんでいいなら、今から行く』

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第10話:「あなたはとんでもない人だ…」男を知るために、29歳の女がやった禁断の行為とは

数也が学生結婚した相手、平木真穂の実家は、世田谷区の閑静な住宅街にあった。

秀人の情報どおり、そこは3代続く老舗の蕎麦屋。古き良き店構えはどこか懐かしく、のれんをくぐると、温かみのある雰囲気になんだかほっとする。客は家族連れだけでなく、若いカップルも多い。

「いらっしゃいませー。こちらの席でお願いしますね」

厨房に男性がひとり。注文を取って蕎麦を運ぶ女性がひとり。夫婦に見えるが、平木真穂の両親だろうか。テキパキと手際よく店を回していた。

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第11話:「彼、ものすごい人数の女性と…」。交際7年目で女がようやく気がついた、男の罪深い行為

「ありがとうございました。お世話になりました」

主を失った部屋に、南美の声が静かに響く。部屋を出て、ドアを閉め、鍵をかけた――その時だった。

数也との初デートで、もうひとつ「後悔」があることを思い出した。お茶を出さなかったこと以上の「後悔」だ。

そしてそれは南美がずっと蓋をしてきた記憶でもあった。

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第12話:女の知らぬ間に、元カレ同士が急接近…。2人の男が交わしていたヒミツの会話とは

「5年ぶり。元気にしてた?」

かつて南美の唯一無二だった男・拓郎は、電話の向こうで声を弾ませた。

「電話番号が変わってなくて良かったよ」
「番号変わってたとしても、どうせLINEで繋がってるじゃない」

まだ何も知らない高校生のころから、7年も付き合っていた相手だ。久しぶりだというのに、話し始めると南美もすぐに緊張がほぐれてしまう。

「俺からはLINEが繋がってるように見えるけど、そっちはブロックしたのかと思ってさ。だから電話にした。ははは」

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第13話:「本当はだらしない男なんだ…」妻を失って他の女性と愛を育んでいた男の、涙の謝罪とは

世田谷区の閑静な住宅街はすっかり秋が深まり、昼過ぎでも、辺りは夕焼けのような柔らかいオレンジの陽に包まれている。

3代続く老舗の蕎麦屋には、のれんが掛かっていなかった。ここは平木真穂の実家だ。事前に来訪を告げたところ、今日は休業日とのことだった。

「来るのは何年ぶり?」

南美は、隣で緊張して固まっている数也に尋ねた。

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