マルサンの男 Vol.2

「彼、海外出張先で女と会おうとしてる…?」男の密会に気づいた女が、咄嗟に取った行動とは

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいるもの。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

南美と結婚間近の完璧なカレ・数也には、ある過去があった。

そして、ふとしたことをキッカケに、信頼していたカレの行動に疑念を抱き始める。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのかー?

幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?


29歳の南美は、6歳年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいた。

だが同時に、これまで意識していなかった彼の2度の結婚離婚歴がどうにも気になっていく

数也の元妻・福原ほのかはマレーシアに移住していた。

ほのかが「来週、大切な人に会う」とSNSに綴った直後、数也から「来週、マレーシアに出張する」と告げられて……。


月曜の夜。南美は、大学時代のダンスサークル仲間・茉里奈と秀人を呼び出した。

朝から長く続いた雨が上がり、麻布十番の濡れた路上はゆっくり走る車のライトで光り輝いている。

三人は、『ピッツェリア ロマーナ ジャニコロ』に集合していた。

大学を卒業してから7年。二人とはずっと関係性は変わらない。

話題が何一つなかったとしても「とりあえず会おうか」と言っては平日の夜を共にする。

ただ、この日の議題は決まっていた。

南美は息つく間もなく不安を吐露する。

数也の前妻がクアラルンプールに移住していること、彼女が「来週、大事な人に会える」とSNSに綴ったこと、そして数也が来週クアラルンプール出張に行くのが決まったこと……。

「絶対、クアラルンプールについてくべき!」

無邪気な笑顔で秀人は言った。

合流直後は「仕事が残っててゴメン」とスマホ片手だったくせに、今ではすっかり前のめりになって論戦に加わっていた。

秀人と反対意見を持つのは茉里奈だ。眉をひそめて言う。

「そんなのダメ。不安なのは分かるけど、南美は何もしちゃダメ。確実に失敗する」

これまで「やるかやらないか迷ったら、やる方を選ぶ人生」を送ってきた南美を、茉里奈は近くでずっと見てきた。

だからこそ、心配してくれているのだ。

「せっかく数也さんと結婚まで漕ぎつけたんだから、余計な波風は立てちゃダメ」

茉里奈は、その大きな瞳をまっすぐに南美に向けて説得してくる。

「いや、南美、こっち見ろ」

秀人は強引に、南美の視界に入り、暗示をかけるように言ってくる。

「不安なままじゃ結婚できないだろ?クアラルンプールに行って『福原ほのか』と会ってくるんだ。そして『あなたの元夫と結婚させてもらいます』って宣言してこい!」

秀人の言葉は悪魔のささやきに思えた。

「…ふぅ」

自然とため息が出る。

南美はすでに、二人に相談したことを後悔し始めていた。

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