2019.09.01
マルサンの男 Vol.1男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。
だから愛するカレには、必ず元カノがいるもの。
あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。
南美と結婚間近の完璧なカレ・数也には、ある過去があった。
そして、ふとしたことをキッカケに、信頼していたカレの行動に疑念を抱き始める。
愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのかー?
幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。
あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?
「そろそろ、結婚しようかなって思ってる」
心臓が、ドクンと跳ねた。
上条南美は、柱の陰に身を潜めたまま、全身がカーッと熱くなるのを感じる。きっと耳は真っ赤になっていることだろう。
「来月、付き合って2年になるから、その時のディナーでプロポーズかな」
藍沢数也は、南美が柱の陰にいることに気づかず、向かいに座る男性に向かってそう言った。
表参道の骨董通り。南美が数也と待ち合わせに使う、いつものカフェ。
二人の家から近いだけでなく、「世界一おいしいクロックムッシュが食べられる」と二人が口を揃えるその店のテラス席で、数也は男友達と話をしていた。
遅れて店に着いた南美は、図らずも、その会話を立ち聞きすることになってしまった。声をかけるタイミングを完全に失い、そこから一歩も動けずにいる。
―そろそろ結婚。ディナーでプロポーズ。
柱の陰から出ていけば、すぐにテラス席だ。南美は熱くなった心と体を落ち着かせ、何食わぬ顔で歩き出す。
「おっ、南美」
数也の顔がパッと明るくなる。
「ごめん。待たせちゃって」
南美は平静を装った。けれど、どうしても声が震える。…いや、弾んでいる。
「こいつは俺の大学からの友達で。偶然ここで会ったんだけど…」
数也が友達を紹介し、彼はにこやかに挨拶してくれた。
だけど南美の耳には、友達の名も、大学時代の男同士の思い出も、ほとんど入ってこなかった。
仕方がない。数也が結婚を考えていることを知り、南美の心は舞い上がっていた。
朝の空は、どこまでも高く澄み渡っている。ハイヒールを脱ぎ捨て、今すぐにでも走り出したい気分だ。
鼻筋の通った綺麗な数也の横顔を見つめながら、南美は決意した。
―私が、数也さんを幸せにするんだ。絶対に。
「結婚」。それは南美にとっては初めてだが、実は、数也にとってはそうではなかった。
出会ったときには、すでに数也は2度の離婚歴があったのだ。
男の行動は女よりのんびりしているけれど、そのうち自分から話してくれたり行動してくれたりするもの。女の先走りは悪い結果を引き寄せる。
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