マルサンの男 Vol.6

「バレなきゃいいけど…」。彼からのプロポーズ2日前に、女が密かにメールを送った相手

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいる。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのか――?

幸せな未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

◆これまでのあらすじ

29才の南美は、6才年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいたが、それと同時に、これまで意識していなかった彼の2度の結婚歴がどうにも気になっていく

出張先のクアラルンプールにて、数也が2番目の妻・福原ほのかと密会した疑惑が深まる

南美は友人たちの協力のもと、数也の1番目の妻・竹中桜と会い、数也にはヒラキマホという浮気相手がいたことを知るが…。


「それさ、もはやストーカーだよ」

山手通りを中目黒から池尻大橋のほうへ歩きながら、南美がここ数日間にこなした“ミッション”を、茉里奈はばっさりと切り捨てた。

秋の入り口、時刻は18時30分。パラパラと霧状の小雨が降りだして肌寒く、人々はうつむきながら行き交っていく。

「そういう言い方、イヤなんだけど…」

「でも、どう考えたってストーカーです。もう、やめときな」

あれだけ煽ってたくせに今となって制止するなんてズルいじゃないか、と南美は思った。

とはいえ、ここ数日、南美が自分に課した“ミッション”の内容を聞けば、誰だってそう思うのかもしれない。

「だって新しい女が出てきたんだよ?」

彼女の名は、ヒラキマホ。

数也が学生時代から付き合い、結婚後も関係が続いた女。

マホの存在が、最初の離婚の原因となった。

もしかすると、2回目の離婚も原因はマホかもしれない。

突如、出現した第三の女は一体何者なのか。

「でも最初の奥さんの妄想かもしれないし」

茉里奈が言った。それは南美も考えたことだ。

「そう。だから分からないことがあるなら、調べてみるしかないでしょ?」

「…その理屈、昔の南美じゃん」

モットーは迷ったら走れ。南美は元来そういう人間だ。

浮気を疑うたびに恋人のスマホを覗き見してきた。数也と出会うまでは。

「ストーカーって言われても仕方ないけど、私は数也さんを信じるために、調べることにしたの」

明らかに納得していない表情の茉里奈を見て、南美は言葉を重ねた。

「茉里奈も同じ状況になったら、きっと私と同じことをするよ。それが人間なんだと思う」

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