2018.10.09
ポイズン・マザー Vol.11「親を大事にしろ」
人はそう、口を酸っぱくして言うけれど。
生まれてくる親を、子は選べない。
名誉や金にすがった親の“自己愛”の犠牲となった、上流階級の子どもたち。
代々続く地方開業医の娘として生まれた七海(31)も、そのうちの一人であった。
父の死をきっかけに、母は本性をあらわした。そんな母との関係に苦悩する女の、“幸せをかけた闘い”が幕をあけるー。
「ポイズン・マザー」一挙に全話おさらい!
第1話:子供は絶対、親を選べない。開業医だった父の急死で、恐ろしい本性を晒した私の母
私が母からの迷惑電話に冷たくしきれないのには理由があった。なぜなら、母がこんな風になってしまったのは、約1年前のこと。
1年前のある日、私の父が帰らぬ人となったのだ。母にとって全てであった、父が。
それは、あまりに突然のことだった。
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第2話:「あなたの結婚に、全てを賭けているの…」“院長の妻”という肩書きを失った母の、大暴走
思えば、子供のころから私は、どこか自分に自信がなかった。母は、私のことを決して褒めてくれなかったのだ。
「私のほうが、どう見ても七海より美人よ。私、あなたほど鼻が低くないし、顔だってあなたの方が大きいじゃない」
学校で「桐谷さんは、お母さんにそっくりね」と先生から言われたことを、私が照れながら母に報告したとき。母は、寝室の鏡に映る自身の顔をじっくりと覗き込みながら、真顔でそう言った。
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第3話:2つ年下の大好きな彼から“結婚”を前提とした同棲の提案。有頂天になった女に忍び寄る、黒い影
諒太と付き合い始めてから3ヶ月が経とうとしている。姉には報告済みだが、母には彼のことは話しておらず、姉にも堅く口止めをしていた。
私は母に対して、自分の恋人の存在を明らかにするタイミングをいつにするか、かなり慎重になろうと決めていたのだ。母が私に言った「七海の結婚に全てを賭けているの」という発言が、耳にこびりついて離れずにいる。
それに母には、これまでもさんざん恋愛に口出しされ掻き回された過去だってあるから。
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第4話:「彼の学歴が、あなたより劣るのは嫌」。結婚を約束する男女の仲をぶち壊す、母親の卑劣な罠
「やっぱり、ショック受けるかな…?でもね、同棲の話を切り出したときなんて、びっくりするどころか全然平気そうで、勝手にしなさいってあっさり言われたよ」
同棲の許可をとるため、諒太のことを母に電話で打ち明けた日の話をすると、姉は急に勝ち誇った顔になる。
「それはね、事前に私が、ママに諒太くんの話をしておいてあげたからよ」
「えっ…?」
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第5話:「顔が、気に入らないの」。自身の欲望を満たすために娘の結婚をコントロールする、悪魔のような私の母
母の顔色を伺いながら、私は本題を切り出すタイミングを探る。昨晩の電話のこともあったし、これからはもっと慎重に事を進めなくては。
母に交際を反対されたのは、実は諒太が初めてではない。20代の頃、私には同じ大学出身の恋人がいた。母に彼を紹介した時、母は一目で気に入ったらしい。異常なほどに、彼を可愛がった。
上京するたびに小遣いを渡し、彼の誕生日には高額な贈りものを長野から送る。そんな母の態度が豹変したのは、彼が大企業から、小さな外資系企業への転職を決めたときだ。
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第6話:「そんな低スペックな男、好きにもならない」。親に結婚を反対された女への、友達からの軽蔑と憐れみ
私は信じていた。ここにいる他の友人たちも、美寿々と同じように私の立場を理解してくれるはずだと。何せ私たちは、15年来の仲なのだ。
だけど、「親の反対を押し切って結婚する」という状況を、世間はそう簡単には受け入れてくれない。その現実を、私は思い知らされることになる。
「お母さんに反対されてるのに、七海は勝手に結婚するの?それって駆け落ちってこと?映画じゃあるまいし、さすがに現実的じゃないよね」
最初にそう言い出したのは、高校3年間同じクラスだった茉莉だ。
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第7話:「結婚したいなら、土下座でもしたら?」姉から妹への異常な愛情が、憎悪に変わるとき
—また落ちて、パパとママに失望されたらどうしよう。
結局、2浪した末、私は医学部進学を諦めたのだった。医学部ではなく、工学部に入学したあとは、私には何もなくなってしまった。親の期待も夢も、自分自身の存在意義も、すべてだ。
そんなズタズタになった私のプライドを唯一保ってくれたのが、妹の存在だった。
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第8話:「サラリーマンの旦那じゃ、全然足りないの」。結婚後も親に金を無心する35歳、お嬢育ちの専業主婦
私は、思い切ってスマホの発信ボタンを押す。すると先週までの態度とは打って変わって、母はワンコールすら待たずに電話に出た。
「もしもし、七海…!?」
「どうしたの?何かあった?」
「このままじゃ、沙耶ちゃんに何もかも奪われるわ…!」
涙まじりの甲高い叫び声が響き渡り、私は思わず目眩がした。
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第9話:「“普通”の結婚をしないと、世間は許してくれない…」格下の花嫁から嘲笑われた、32歳女の悲痛な叫び
法律では、成人した男女は父母の同意がなくても婚姻が認められる。だけど、常識では違う。
友達から批判を受けた一件以来、ある程度は覚悟していたけれど、実際に準備をはじめてみるとやっぱり痛感する。子供は親の許可を受け、親に祝福されて結婚すべきだと、多くの人が当たり前のように信じているのだ。
私はペンをぎゅっと握りしめ、プランナーから手渡された申込書を埋めていく。そして、未記入のままの“父母の氏名と連絡先の記入欄”をじっと見つめながら、数日前の出来事をぼんやりと思い返した。
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第10話:「あなたって、親不孝者ね…」。結婚式当日の花嫁を陥れる、無神経な医者の妻
「七海、本当に素敵な結婚パーティーだったよ。親友だからかな?今まで参列したどんな結婚式よりも感動しちゃった」
私の入場シーン以来、号泣しっぱなしだった親友・美寿々はそう言って再び瞳を潤ませている。友人たちの優しい笑顔も温かい涙も、一生忘れることはないだろう。それで十分だと思った。私たちは、十分に幸せだ。
今日ここに集まってくれた全ての大切な人たちが、心から祝ってくれたのだから。ただ一人を除いては。
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