ポイズン・マザー Vol.10

「あなたって、親不孝者ね…」。結婚式当日の花嫁を陥れる、無神経な医者の妻

「親を大事にしろ」

人はそう、口を酸っぱくして言うけれど。
生まれてくる親を、子は選べない。

名誉や金にすがった親の“自己愛”の犠牲となった、上流階級の子どもたち。

代々続く地方開業医の娘として生まれた七海(31)も、そのうちの一人であった。

父の死をきっかけに、母は本性をあらわした。そんな母との関係に苦悩する女の、“幸せをかけた闘い”が幕をあけるー。


父の死後、少しずつ様子がおかしくなっていく七海の母・真由美

七海は、諒太との結婚を決めるが、母は諒太の学歴や生い立ちなど何もかもが気に入らず、断固として認めようとしない

母の承諾を得ることを諦め、結婚式準備を始める七海だったが、“親に祝福されない結婚”に対する世間からの視線は冷たいものであった。

そしてついに七海は結婚式を挙げる−。


「七海、諒太くん。結婚おめでとう!」

何日も降り続いていた雨が嘘のように、空は真っ青に澄み渡っている。

雲ひとつない秋晴れの週末。私たちは、ウエディングパーティーを開いた。

表参道の『ランス ヤナギダテ』でのレストランウエディング。格式ばった結婚式とは異なり、ゲストは友人を中心に30名。アットホームな雰囲気の会費制パーティーだ。

そして、私の母も姉も、当然そこにはいない。

ウエディングドレスにはそれなりにこだわったものの、特にゴージャスな演出もせず、至ってシンプルなパーティーだったと思う。

でも、本当に幸せな時間だった。パーティーの間はずっと、諒太も私も心から笑っていた。

「七海、本当に素敵な結婚パーティーだったよ。親友だからかな?今まで参列したどんな結婚式よりも感動しちゃった」

私の入場シーン以来、号泣しっぱなしだった親友・美寿々はそう言って再び瞳を潤ませている。友人たちの優しい笑顔も温かい涙も、一生忘れることはないだろう。

それで十分だと思った。私たちは、十分に幸せだ。

今日ここに集まってくれた全ての大切な人たちが、心から祝ってくれたのだから。

ただ一人を除いては。

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