「親を大事にしろ」
人はそう、口を酸っぱくして言うけれど。
生まれてくる親を、子は選べない。
名誉や金にすがった親の“自己愛”の犠牲となった、上流階級の子どもたち。
代々続く地方開業医の娘として生まれた七海(31)も、そのうちの一人であった。
父の死をきっかけに、母は本性をあらわした。そんな母との関係に苦悩する女の、“幸せをかけた闘い”が幕をあけるー。
父の死後、少しずつ様子がおかしくなっていく七海の母・真由美。
一方、七海はベンチャー企業を経営する諒太(29)と出会い、二人は恋に落ちる。諒太から結婚前提の同棲を提案され有頂天の七海だが、唯一の気がかりは「七海の結婚に全てを賭けている」と言った母の発言であった。
「七海、諒太くんとの同棲生活はどう?」
銀座の『レストラン エール』で、姉はにっこり微笑みながらそう尋ねた。
「うん、なかなか楽しくやってるよ」
今夜は、姉の沙耶と久々に姉妹水入らずのディナーを楽しんでいる。
専業主婦の姉には小学生の息子がいるため、こうして夕......
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この記事へのコメント
怖いなー
何が目的なんだろう?