結婚できない女 Vol.21

2017年ヒット小説総集編:「結婚できない女」(全話)

熾烈を極める東京婚活市場。

その中で「結婚したいのに結婚できない」と嘆く女には、いくつかの共通点がある。

ある行動により自分の市場価値を無駄に下げる女、逆に実態なく価値を上げ過ぎて機会損失している女……。

貴方も、自分でも気づかぬうちに「結婚できない女」となっていないだろうか?

東京に生息する「結婚できない女」の具体的な事例を覗いてみよう。

「結婚できない女」一挙に全話おさらい!

第1話:24時からの誘いに乗る女は、“立ち食いラーメン”の価値しかない

「亜季ちゃん、今どこにいる?」

金曜の夜。力尽き果て横たわったベッドの上。仰向けになり睡魔に引き込まれていく途中で、亜季はある男からの誘いを受け取った。恵比寿駅から徒歩10分の自宅。青山のPR会社に勤める職場の仲良し同期3人組(全員独身)と、いつも通り飲んでカラオケして、さっき帰宅したところだった。

スマホ画面上部の表示は、23:46。差出人は、3週間ほど前に合コンで知り合った商社マン、祐也だ。

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第2話:”いい女”を演じるほど結婚は遠のく!29歳、愛を忘れた女の誤算

「里子みたいにいい女はいないよ。」

里子の29歳の誕生日。付き合って1年になる彼・智也は、そう言って満足げに微笑んだ。しかし智也の口から、里子が1番期待している言葉が出てくる気配は、ない。智也はお祝いにと、里子がずっと憧れていた恵比寿の『ジョエル・ロブション』を予約してくれた。

だが、里子は満たされない気持ちを抱えていた。「いい女」よりも、誕生日の『ジョエル・ロブション』よりも、29歳の里子が待ち望んでいるのは、もっとほかにある。

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第3話:港区スタンダードで店を予算別に提案。知りすぎた女が選ぶべき男は...

「敦子さん、今度焼肉にでもいきませんか?」

そう声をかけてきたのは、百貨店の広報担当、滝本という男。広告代理店に勤める敦子と、今しがたプロモーション会議を終え、エレベーターホールまで歩いていく途中のことだった。

以前から滝本が、少なからず自分に好意を持っていることを、敦子はなんとなく肌で感じていた。敦子もまんざらでもないし、さりげない誘い方も爽やかでポイントは高い。エレベーターの下りボタンを押しながら、敦子は笑顔で滝本を振り返り、上機嫌でこう言った。

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第4話:いつまで王子様を探すの?未婚女友達の助言は、竜宮城への罠

百合、28歳。日本女子大学を卒業し、化粧品メーカーの商品開発部で働いている。モデル系美人タイプではないが、大きな瞳と小柄で華奢なルックスで、一定数存在する小動物系好き男に需要がある。

オフィスの化粧室で唇に仕上げのグロスを塗りながら、百合は鏡の中の自分を見つめ、満足そうに微笑んだ。

―絶世の美女ではないけど…私、まあまあモテるんだから。

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第5話:まさかの参加NG通告。流されやすい女、2度目の食事会には呼ばれない

「誰かいないものか…」

その日の夜、ベッドに横たわった亜季は、睡魔と闘いながらFacebookの友達リストをひとり一人確認していた。

友人知人はもちろん記憶の片隅にかろうじて残る、過去に知り合ってきた男たちの名前は数多くある。しかし、その中で連絡を取りたい人、取れる人となると途端に限られてくるものだ。スマホ画面をスクロールする手も疲れてきた頃、亜季の頭に1人の男の顔が浮かんだ。

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第6話:〆のラーメンに行く女は選ばれない。男には腹八分目を徹底せよ

22時半を過ぎた頃。そろそろ2軒目に…という空気が漂い、男性陣がお会計を始めた。ソース顔の男が2軒目の手配をするのだろう、スマホ片手に先に店を出て行く。亮平が「みんな、2軒目行くでしょ?今カラオケ押さえているから。」と女性陣を誘う。

真子は迷いなく「賛成!」と答え、秘書の香織も「私も行こうかな」と微笑んだが、CA美和子は「私、明日早朝フライトがあって…」と予想外に渋るのだった。

「え、美和子、行かないの?」

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第7話:花嫁修業は逆効果?結婚に必要なのは、女子力ではなく生活力という事実

今の給料では、どう考えても理恵の生活レベルを維持してやることはできない。結婚したら専業主婦になる、と明言している理恵。実家暮らしの彼女は、東京で“普通の”生活を送るのにどのくらいのお金がかかるのか、まったくわかっていないと思われた。

―結婚は、まだ当分無理だ。

5年の歳月を共に過ごし、30歳を目前に控えた理恵には酷な話ではあるが、しかしそれが現実を踏まえた博之の結論なのだった。

「そういうお稽古って、いくら位かかるの?」

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第8話:なぜか自分だけ100点。男を減点方式でしか見ない、高慢女の自戒

さとみは、5年前に歯科医を営む夫と結婚し、広尾の高級マンションで暮らしている。生活にゆとりのある女は、こうも他人に優しく接することができるのか。

「さとみちゃん…ありがとう。私、今年こそ結婚するから。」

噛みしめるように言う葵に、うんうん、と頷いてみせるさとみ。しかし葵はその後で、さとみに言い訳をするかのように、溜息交じりに呟くのだった。

「でも、本当に良い出会いがないの。…後は出会うだけなのに。」

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第9話:もう誰も愛せない…。泡沫の夢と知りつつも囚われる、昔の大恋愛

家に戻り、玄関で大きくため息をつく綾香は、自分に幻滅しながらこう思っていた。

―私、もう誰も愛せないのかもしれない。

もちろん今はもう、修一に未練などない。3年前に修一が独立開業してからは、顔も合わせていない。しかし、あの頃感じた身を焦がすような恋の味を、あれ以来他の誰にも感じることができないでいる。

あの時修一に抱いていた気持ちを思い出すと、その後デートを重ねてきたどの男のことも、そして今、綾香に好意を寄せてくれる幸太郎のことも、「好き」だとは言えない気がしてしまうのだ。

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第10話:女の敵は女。堅実な結婚を目論む港区女子と、それを阻む彼氏の女友達

結婚して5年が経つ麻美にとって、恋愛初期はもう遠い昔の記憶。

「なんだか羨ましくなっちゃうわ。」

太一から漂う甘酸っぱい香りを吸い込む麻美。既婚者は、人の恋愛に便乗して胸高鳴る気持ちを仮想体験するのが密かな楽しみなのだ。しかし、そんなお花畑な麻美の思考回路は、入ってきた女性を一瞥するや否や、すぐに改められることとなった。

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第11話:20時開始の食事会に、ほろ酔いで登場。誘いの絶えないモテ女の残念な理由

「ありがとうございます。前の予定がギリギリで遅れちゃった…!」

見惚れているさとみに、人懐っこい表情で彼女は微笑んだ。自身の美しさを鼻にかける様子など微塵も見せず、白い歯をのぞかせて。

―この子、男女問わずモテるだろうなぁ。

これが、遅刻してきた美女・泉に対する、さとみの第一印象だった。

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第12話:結婚できない女が本命彼女に勝てないワケ。男が最初から弱さを見せる女は、1番ではない

―今日、小雪の家行ってもいい?

水曜日の20時過ぎ。33歳・総合商社に勤める啓太から届いたLINEを確認して、橘小雪(たちばな・こゆき)は返信を躊躇う。…いや、躊躇うフリをしているというほうが正しいかもしれない。

今夜、啓太と逢える。その事実にどうしようもなく高鳴ってしまう鼓動の止め方を、小雪は知らない。

しかし30歳の小雪が躊躇うフリをしなくてはならないのには、理由がある。啓太には、同棲してもうすぐ2年になる年下の彼女がいるのだ。

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第13話:「丸ごと愛して」は女の傲慢。手の内は、結婚してから見せるのが正解

大好物の求肥を使ったデザートを頂きながら、美保は修二に聞いてみることにした。

「私ね、結婚したら会社を辞めて自宅でお料理教室をやりたいと思っているの。」
「そうなんだ。美保ちゃん、お料理得意だって言ってたね。今度食べてみたいなぁ~!」

穏やかな態度を崩さず、にこにこと美保の話を聞く修二。しかしそのリアクションはどこか他人事で、現実感がないように思える。美保はもう少し踏み込むことにした。

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第14話:不自由なく愛されて育ったお嬢様への警告。男からの愛は、無償ではない

「真子ちゃんの好きなタイプって、どんな人?」
「え、なんだろう…」

慎也にそう問われて、真子は口ごもる。ずばり言ってしまえば好みのタイプは父親なのだが、ストレートに伝えたらファザコンだと思われてしまう。

「思いつくこと、気楽に全部挙げてくれたらいいよ」

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第15話:わかっちゃいるけどやめられない。やっぱり三代目系な男が好き!な結婚できない女

お食事会での「独身です」や結婚指輪の有無は、何の判断要素にもならない。そこは女の勘と千里眼で見抜くしかないのだ。

そもそも、カラオケで三代目J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I.」を完璧に歌いこなす35歳など、たとえ本当に独身だったとしても、結婚したい女が選ぶべき男ではない、とさやかは冷静に分析する。

「もう誰も信用できない…」

深いため息をつく明菜に同情はするが、はっきり言って自ら飛んで火に入っているようにしか、さやかは思えないのだった。

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第16話:「だって時間の無駄でしょ?」結婚の約束と引き換えでしか男を愛せない女

「みのりの彼氏、どんどん変わるから覚えられなくって」

本人は悪気なく言っているが、なかなかに嫌みな発言である。しかし実際問題、沙耶がひとりの男を相手に長々と愛を育んでいる間に、みのりはいったい何人の男をとっかえひっかえしただろうか。

「だって修二、ぜんぜん結婚する気ないんだもん…」

はぁ、と深くため息をつくみのりを、沙耶はただただ不思議そうに、見つめるのだった。

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第17話:落ちないグロス、乱れぬヘア。隙のない女はモテない、は真実か?

「きちんとする」という行為は、美和子にとって沁みついた癖のようなものだ。それはもちろん彼女の長所であり、一朝一夕では得られない財産ともいうべきものである。しかし、今年30歳となった美和子は、自身の「隙のなさ」を持て余している。

…特に、男性関係において。

美和子にも過去に何人か、お付き合いした男性がいた。しかし、すべて納得のいかない理由で突然の終焉を迎えたことがトラウマになっている。

第17話の続きはこちら

第18話:私と釣り合う男はいずこ?「これは高望みではない」と言い張る、結婚できない女

「医者か年収3,000万の男しか相手にしない」と公言して憚らない未央ではあるが、実は出会った瞬間に一目で孝太を気に入っていた。医者でもなければ年収3,000万円以上である確約もない男だが、そんな条件を上回って未央を惹きつける何かが、彼にはあった。

育ちが良さげな、しかし意志の強そうな目が、父親に似ているのかもしれない。

柄にもなく頬を染めながら、用意している模範解答「尊敬できる人」という答えを述べようとした時(この答えも、嘘ではない)、未央と孝太の間に漂った甘い空気を断絶するかのように、リカが不必要な情報を彼に告げた。

第18話の続きはこちら

第19話:「別に、あなたじゃなくても」モテ女こそ、結婚できない女予備軍?

「食事に行こう」と誘われたのに、いっこうに店を連絡してこない。浦岡はアプリ開発などに携わるIT系企業の若手経営者だ。リリースが近く、ここのところ忙しいのだと言っていた。

忙しい相手に、デートの店の予約を女から急かすのは品がない。そう思って放置した結果が、これである。

−20:00に、恵比寿駅前でいいかな?

浦岡から届いたメッセージには、そう書かれていたのだ。

第19話の続きはこちら

第20話:媚びとはつまり、サービス精神。媚びてでも目を引かないと何も始まらない

奈津子はがっかりした。やはり鈴木も、その辺の男と同じだったか。

さらに彩のしたたかなところは、決して鈴木だけに集中しない。他2人にも満遍なく話題を振るし、「そうなんだぁ」「すごーい♡」の相槌も怠らない。

さりげないボディタッチも含めて完璧にモテ・テクを駆使しており、そしてそんな彩の思惑通りに鼻の下を伸ばす男性陣を目の当たりにするたびに、奈津子はどんどん興ざめしてしまうのだった。

第20話の続きはこちら

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