結婚できない女 Vol.9

結婚できない女:もう誰も愛せない…。泡沫の夢と知りつつも囚われる、昔の大恋愛

熾烈を極める東京婚活市場。

その中で「結婚したいのに結婚できない」と嘆く女には、いくつかの共通点がある。

ある行動により自分の市場価値を無駄に下げる女、逆に実態なく価値を上げ過ぎて機会損失している女……。

これまで、24時の誘いに乗る女都合のいい女提案してしまう女王子様を探す女食事会NG通告を受けた女〆のラーメンに行く女花嫁修業する女自分だけ100点の女などの事例を紹介してきた。

今回は、「もう誰も愛せない…」と悩む、アラサー女のお話。


フラッシュバックする、甘く切ない記憶


目黒駅から徒歩10分。ひとりで暮らす自宅マンションに戻った綾香は、玄関扉を閉めると同時に「ふぅ」と大きくため息をついた。

今夜は、以前お食事会で出会った幸太郎との、3度目のデートだった。

メガバンクに勤める幸太郎は32歳。30歳の綾香と歳の差もちょうど良い。そして何より重要な結婚願望についても、大いにあると明言していた。

「早く落ち着いて、仕事に邁進したいんだ。」

そう語る幸太郎は、誰の目から見ても明らかな、結婚向きの男である。綾香にプレッシャーをかけないよう気を遣いながらも、遠回しに好意を匂わせてくる。

美男子ではないが人のよさそうな丸顔。おしゃれではないが、無難で清潔感のある身のこなし。

―ここで手を打つのよ。

頭の中の天使が、綾香に忠告する。

綾香も、それが正しいと頭ではわかっている。しかしよりにもよって今宵、幸太郎が二軒目の店に『Vin Apres』を選ぶとは。

エントランスの風景、カウンター越しに見える景色、ワインリスト…そのすべてが、遠い昔に綾香が胸の奥に仕舞いこんだ、甘く切ない記憶を呼び起こす。

そう、『Vin Apres』は、綾香が昔付き合っていた男・修一と、男女の関係となった日の夜に、訪れた店だった。

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