結婚できない女 Vol.8

結婚できない女:なぜか自分だけ100点。男を減点方式でしか見ない、高慢女の自戒

熾烈を極める東京婚活市場。

その中で「結婚したいのに結婚できない」と嘆く女には、いくつかの共通点がある。

ある行動により自分の市場価値を無駄に下げる女、逆に実態なく価値を上げ過ぎて機会損失している女……。

これまで、24時の誘いに乗る女都合のいい女提案してしまう女王子様を探す女食事会NG通告を受けた女〆のラーメンに行く女花嫁修業する女などの事例を紹介してきた。

今回登場するのは、「後は、出会うだけなのに」が口癖の女。


「後は、出会うだけなのに。」


「ああ、こんなゆっくり食事するの、本当に久しぶり。」

広尾『スダチ』のカウンター席で、葵は解放感いっぱいにそう言うと、ごくごくと気持ちよさそうにビールを飲み干した。

33歳になる葵は、複数の女性ファッション誌を担当するフリーライターとして、忙しい日々を送っている。

実は先週誕生日だった葵だが、校了前の徹夜続きでそれどころではなかった。PCの前で誕生日を迎え、PCの前で誕生日を終える始末。

そんな葵の校了明けで余裕のある日を狙って、さとみが、「お祝いさせてね」と人気店を予約してくれたのだ。

さとみは、読者モデルとして葵が担当する企画に度々登場している。同い年でウマが合い、気付けばもう長い付き合いになるが、つくづく出来る女だと感心する。

「葵ちゃん、33歳の抱負をお聞かせください。」

さとみが悪戯っぽく、手をマイクにして葵の口元に近づける。

「抱負とか…結婚しかないわよ!もう33歳になっちゃったじゃない!」

大げさに眉をしかめて自虐的に叫ぶ葵。

葵の言葉を聞いてさとみは「あはは」と楽しそうに笑い、「これ、ほんの気持ちだけど」と言ってジョーマローンの紙袋を取り出す。

さとみは、5年前に歯科医を営む夫と結婚し、広尾の高級マンションで暮らしている。生活にゆとりのある女は、こうも他人に優しく接することができるのか。

「さとみちゃん…ありがとう。私、今年こそ結婚するから。」

噛みしめるように言う葵に、うんうん、と頷いてみせるさとみ。

しかし葵はその後で、さとみに言い訳をするかのように、溜息交じりに呟くのだった。

「でも、本当に良い出会いがないの。…後は出会うだけなのに。」

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