アモーレの反乱 Vol.9

アモーレの反乱:「僕の金が必要なくなったのか?」年下妻に捨てられ、夫の本音が爆発

港区在住。遊びつくした男が、40歳で結婚を決意。

誰もが羨むリッチで幸せな結婚生活を送り、夫婦関係もうまくいっていたはず…だったのに。

4年後妻が、何の前触れもなく離婚を切り出す。それも、思いもよらぬ「離婚条件」を提示して。

世間を知り尽くして結婚した男と、世間を知らずに結婚してしまった女。

これは港区で実際に起こった、「立場逆転離婚」の物語。

夫・昌宏(まさひろ)に突然離婚を切り出した15歳年下の妻・利奈(りな)。昌宏は探偵を使い、妻の身辺を調べると怒りを爆発させたが、利奈にも夫に伝えたい切ない思いがあった。


「利奈先生、ありがとうございました!。来週も宜しくお願いします」

中目黒の料理教室で、帰っていく生徒さん達に挨拶を返しながら片付けを続ける。先生と呼んでもらうのはまだ少しのこそばゆさがあるけれど、呼ばれるたびに充足感に満たされる。

藍子さんに紹介してもらい、ここで働き始めて1年。

料理教室を主宰しているのは、テレビでも活躍し、料理本も人気のフードスタイリストの先生。

最初はアシスタントとして働き始めたけれど半年たった頃、自分のクラスをもって見たら?と先生がチャンスをくれた。本当に感謝している。

誰かに認められることが、こんなに嬉しいなんて…。

実家が金沢の小さな旅館で、母が厨房を仕切っていたため、私も幼い頃から料理を仕込まれていた。実家で出していた「金沢のおばんざい」など、郷郷土料理を中心に懐石料理のようなものを教えている。

他にも、ランチタイムにレストランで働いている。その収入と合わせると、贅沢しなければ1人で暮らしていけるくらいの収入を得る事ができる。そしてつい最近、小さな部屋を借りる事ができた。

自分のお金で部屋を借りる。働き始めて以来、私は夫のお金を最低限の生活費以外は使っていない。そうしなければ「離婚」を切り出す権利さえ持てないような気がしていたから。

赤ちゃんのこと、不妊治療のこと。たった一つの夢が崩壊したことは本当に悲しかったけど、今思えばあれはきっかけに過ぎなかったと思う。

もし、藍子さんが夫と結婚してたら、彼は不妊治療を止めたかな。

もちろん藍子さんなら、私と違ってもっと冷静に訴えただろうし、比べることではないのは分かっている。でも私は気がついてしまった。

きっと彼は「妻にする」のは私でなくとも良かった。欲しかったのは「自分に従う妻」であって、私ではない。世間知らずでコントロールしやすい女。

彼だけが悪いなんて思ってない。

私が成長するための離婚。彼から自立するための離婚。この先一生彼の言う通りには生きられない。そう覚悟し、弁護士さんまで頼んだのに、胸の奥にうずく切なさ、未練のような思いが無くならない。

ほんと矛盾してるな、私。

そんなことを思いながら、シンクを磨き上げたあと、料理教室の鍵を閉め外に出た。冷たい風を感じて、手に持っていたストールを首元に巻きながら歩きだした。すると…

「利奈」

その声に、一瞬で体が凍りつく。ここにいるはずのない人の声。

「利奈」

もう一度呼ばれ、ぎゅっと目を閉じ振り返る。目を開けると夫がいた。

【アモーレの反乱】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo