2021.06.12
ドクターKの憂鬱 Vol.2憂鬱(ゆううつ)―。
まるで曇り空のように、気持ちが塞ぎ込んでしまうこと。
失恋を経験した人だったら、少なからず経験したことがある感情だろう。
”ドクターK”と呼ばれる男も、ある失恋をきっかけに、憂鬱な日々を過ごしていた。
彼はかつて、医者という社会的地位も良い家柄も、すべてを忘れて恋に溺れた。
恵まれた男を未だに憂鬱にさせる、叶わなかった恋とは一体―?
◆これまでのあらすじ
代々病院を経営する家に生まれ、恋愛の自由が許されていない医師・影山修史(34)。彼は、女性に対して本気になることはなく、その場限りの付き合いでいいと割り切っていた。ある時、同僚の明石の誘いでクルージングに出かけた影山は1人の女性と出会うが…。
▶前回:「合鍵、もらってもいい?」医師が25歳の彼女と結婚を考えた矢先、実家に猛反対されたワケ
5年前の4月、僕は同僚の明石に誘われ、クルーザーで初島に向かっていた。
港を離れ、見える景色はすぐに水平線と雲だけになった。非日常的な空間に身を委ねていると、同僚の明石が声をかけてくる。
「どうだ、影山。最高だろ?あと1時間くらいで初島だ」
船は半年ほど前に明石の父親が購入したものだ。
今日のクルージングは明石と僕のほかに、彼の父親の友人を含めた7人が集まっていた。
その中には、「愛子さん」と呼ばれる、先ほど僕たちに声をかけてきた女性と、彼女のことを「ママ」と慕う綺麗な女の子が2人おり、明石の父親がその女性たちを紹介してくれた。
「影山くん、こちらは、わたしがよく行くクラブの愛子ママと、そこの女の子。今度店の方にも行くといい」
聞けば、愛子さんは銀座8丁目の並木通り沿いで高級クラブを経営しているという。
「親父のボトルもあるし、今度一緒に行こうぜ」
明石はどうやらママの連れてきた女の子の1人を気に入ったようで、僕を店に誘ってくる。
しばらくすると、沖で船は停止した。明石は水着に救命具をつけると、海面にSUPを下ろして、女の子2人と遊び始めた。明石の父親とその友人たちは、投資の話で盛り上がっている。
「カゲヤマはやらないの?」
はしゃぐ彼らを船上から眺める僕の元に、愛子さんがやってきた。
いつの間にか僕を「カゲヤマ」と呼ぶ愛子さんの人懐っこさは、きっと仕事で身につけたものなのだろう。
「水着忘れちゃって…」
濡れても構わないロンハーマンのボードショーツを穿いていたのに、何故かとっさに僕は嘘をついた。
きっと彼女は覚えていないだろうけど、これが初めての、僕たち2人きりの会話だったと思う。
もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対て思った相手が
銀座クラブのママ。。。
予想外でいい!
人の心が動くスイッチてわかりませんな
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