2020.10.05
夫婦リボーン Vol.14今年、私たちの生活は大きく変わった。
“ニューノーマル”な、価値観や行動様式が求められ、在宅勤務が一気に加速した。
夫婦で在宅勤務を経験した人も多いだろう。
メガバンクに勤務する千夏(31歳)もその一人。最初は大好きな夫・雅人との在宅勤務を喜んでいたのだが、次第にその思いは薄れ、いつしか夫婦はすれ違いはじめ…?
2020年、夫婦の在り方を、再考せよ。
「夫婦リボーン」一挙に全話おさらい!
第1話:銀座在住、世帯年収2,200万。最強DINKSを襲った、在宅勤務の悲劇
ミーティング後。千夏が、夫・雅人に、“明日から在宅勤務になった”と、LINEで報告すると、珍しくすぐに返信があった。
“俺も”
どうやら彼も在宅勤務になったらしい。雅人の返信に、千夏の頰が緩む。
−久しぶりに夫婦2人の時間が増えて良いかも。ちょっと嬉しい!
大好きな夫と過ごす時間が増えることに心躍らせていたのだ。これが嵐の前の静けさだなんて、露ほども知らずに。
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第2話:「仕事場がない…」1LDKで夫婦在宅勤務の悲劇。妻が向かった先とは?
普段、仕事中に音楽を聴くことはないし、むしろ静かな環境の方が集中出来るのだが、今日ばかりは音楽でも聴いていないと気が狂いそうだった。
テーブルの向かいで、雅人がウェブ会議をしているのだ。早口でカタカナ用語を連発する彼の喋り方はかなり耳障りで、千夏の神経を刺激する。
−気にしない、気にしない。
そう自分に言い聞かせながらパソコンに向かうが、気にしないと思えば思うほど、ますます気になってしまう。どこか良い逃げ場はないだろうか。そんなことを考えていた千夏の脳裏に、ある場所が過ぎった。
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第3話:在宅勤務で昼食の悲劇。セレブ妻が知ってしまった完璧な夫の本性とは?
「私、もう限界。こんな家、出て行きたい!」
テレビ電話をかけた千夏は、葉月の第一声と、画面越しに映る彼女の姿にぎょっとした。
いつも綺麗に手入れされたツヤツヤの髪はボサボサで、目の下はマスカラが落ちたのか真っ黒だ。画面越しでも分かるほどに、肌も荒れていた。普段とは違う彼女の姿に、千夏はただ事ではないと察知する。
「どうしたのよ。落ち着いて」
千夏が諭すように声をかけると、キーキーと、金切り声に近い声で話し始めた。
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第4話:「寝室に入らないで」妻が夫に突きつけた、入室禁止令。妻は隠れて…?
「実は昨日、一睡も出来なくて…。ちょっと体調が悪いから、お昼休みまで寝させてもらうね」
すると雅人は、パソコンを打つ手を止めて千夏の顔を見つめた。
「大丈夫?心配だよ」
「うん…。ごめんね」
−心配してくれてる。良かった…。
昨夜の出来事で、雅人に苛立っていた千夏だが、彼の優しい言葉にホッと胸をなでおろす。昨夜は雅人も疲れてイライラしていたのだろうと思った次の瞬間。彼の口から飛び出したのは、一気に信頼をぶち壊す、ひどいものだった。
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第5話:「まさか夫が…?」寝室に籠城する妻が感じ取った、エリート夫の異変
−俺、そんなに悪いことしたっけ…。
正直言うと、千夏がなぜあんなに怒っているのか分からない。心当たりがないのだ。
「放っておけば良いか」
数日もすれば、あっちからすり寄ってくるだろう。喧嘩をしたことはあるが、これまでもそうやって仲直りしてきたのだから。
とりあえず目を覚まそうと、ミネラルウォーターを取りに行く。だが、しかし。冷蔵庫を開けた雅人の目に飛び込んできたのは、信じがたい光景だった。
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第6話:テレビ会議で目撃した、愛サレ妻生活。夫に溺愛される妻の秘密の過去とは?
「すみません、会議の邪魔をしてしまって…」
そう言って画面に向かって頭を軽く下げた夫は、「まいちゃん、ママはお仕事中だよ。パパと一緒に遊んでようね」と、娘を抱きかかえる。
“舞花、目を離した一瞬で。邪魔して悪かった。ランチは何か買ってくるよ”
“ごめんね。午後、あなたの会議の時は私がみるわ”
そんな会話が電話越しに小さく聞こえてくる。ドアがパタンと閉まったのが聞こえたタイミングで、亜矢子が画面に視線を戻して話しかけて来た。
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第7話:「扉の向こうで一体何を…?」在宅勤務中、夫が妻に隠れてしていた衝撃的なこと
様子を伺おうと、耳をそばだてていると、雅人がブツブツ言っているのが聞こえる。同時に、まな板の上で何かを刻んでいるらしい音も聞こえてきた。雅人が料理をしているのは、事実のようだ。
急にどうしたのだろう。再び首を傾げていると、今度は寝室のドアをノックする音が聞こえた。
「あのさ、良かったら一緒にご飯食べない?」
「えっ…」
数秒間逡巡した後、千夏は寝室のドアをゆっくりと開けた。
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第8話:「平日は君と別居する」ワーケーションを楽しんだはずの夫が下した、衝撃の判断
足湯の気持ち良さに、ついビールに手が伸びそうになる。雅人も、「バケーションなんだし、開けちゃう?」と、乗ってきた。
千夏は、雅人の横顔を眺めながら、ふと思う。こんなに開放感に溢れた、楽しそうな雅人を見るのはいつ以来だろうか。
−ワーケーションに来て正解だった!
足湯でテンションが上がった千夏は、早くもワーケーション推進派に転向していた。この後、再び火花を散らすことになるとも知らずに。
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第9話:価値観が違い過ぎる、エリート拗らせ夫。ついにこぼれた、妻の危険な本音とは?
「ねえ、見学だけで良いから」
部屋に戻った千夏は、ソファに横たわってスマホをいじっている雅人に話しかけた。
一度は断られた“熱海移住プラン”だが、何度考え直してみても、魅力的だった。簡単に引き下がるわけにはいかない。もう一度提案してみることにしたのだ。
実際にマンションを見学したら心変わりするかもしれない。どうにか雅人を見学に連れ出そうと、千夏は必死にアピールする。
「温泉気持ちよかったでしょ?毎日温泉に入れる生活なんて、最高だと思わない?」
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第10話:「私も需要ある…?」夫婦末期症状に陥った女がそそのかされた、危険な誘い
「私たちの自由に、かんぱーい!」
ハイテンションで騒ぐ葉月は、もはやただの酔っ払いだが、それが千夏に安心感を与えた。葉月は、お酒を飲むと大概のことを忘れてしまうからだ。この際、何を言っても大丈夫だろう。彼女はきっと、忘れてくれる。
「雅人さんがいなくても生きていける気がしてきた」
千夏がそう言うと、葉月が満面の笑みであるものを差し出してきた。
「これ、見て」
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第11話:「ぬるま湯育ちめ…」地方進学校出身の男が“慶應ボーイ”に抱いた劣等感
きっかけは、千夏が熱海に引っ越したいと言い出したこと。雅人にとっては、絶対に受け入れられない提案だったのだ。
そんなすれ違いばかりの毎日に嫌気がさしたのかもしれない。これだけ連絡しても応答がないということは、今日はもう諦めた方が良いと思った。
千夏の機嫌を戻すには、熱海のマンションの見学に行くのが手っ取り早いだろう。だが、それだけは口が裂けても言わない覚悟だ。
−俺は、絶対に東京にこだわるんだ。
拳をぎゅっと握りしめる。雅人には、どうしても東京にこだわる理由があるのだ。
第11話の続きはこちら
第12話:「家事も仕事も、ほどほどで良いよ」上から目線の夫に激怒した妻の仕返し
「意外と色々あるんだなあ」
雅人は、パソコンを眺めながら千夏に話しかけた。
「本当ね。私も知らなかったわ」
2人は、ソファに並んで座って画面を覗き込む。スクロールしていくと、そこには中古物件がずらりと並んでいる。千夏の妊娠が発覚し、2人は引っ越しを決めた。今のマンションは狭すぎると思ったのだ。
初めは今と同じく賃貸を中心に考えていたのだが、話し合っていくうちに、広めの中古マンションを買うのも悪くないと、調べてみることにした。
第12話の続きはこちら
第13話:自己評価が高すぎる、自称“理解ある夫”。妻をブチギレさせた、残念な思考回路
「その考え方を改めて欲しいって言ってるのよ」
これ以上何を望むと言うのだろう。頭を捻るが出てこない。もはや、千夏のわがままの領域なのではないかと、穿った見方をしてしまう。が、次の瞬間。
「例えば、雅人が育休を取ってみるとか。そういうこと、考えたことある?」
−俺が、育休!?一体、何を言い出したんだ…。
雅人は、口をあんぐりと開けた。
第13話の続きはこちら
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