今年、私たちの生活は大きく変わった。
“ニューノーマル”な、価値観や行動様式が求められ、在宅勤務が一気に加速した。
夫婦で在宅勤務を経験した人も多いだろう。
メガバンクに勤務する千夏(31歳)もその一人。最初は大好きな夫・雅人との在宅勤務を喜んでいたのだが、次第にその思いは薄れ、いつしか夫婦はすれ違いはじめ…?
2020年、夫婦の在り方を、再考せよ。
「明日から全員、原則在宅勤務とします」
グループミーティングに参加していた千夏は、突如、息を切らしながら現れた部長の言葉に耳を疑った。
会議室が静まり返る。だが、1分もしないうちにざわつき始めた。
「急に言われても…」
皆、戸惑いを隠せない様子で、不安そうに顔を見合わせている。
すると部長は、ザワザワした空気を鎮めるように、こう付け加えた。
「外部から社内システムに接続出来るので安心してください。詳しくは、技術部門から連絡がいきますので」
早口に言い終えた部長は、他のグループに説明するからと、会議室を勢いよく飛び出して行った。
◆
ミーティング後。
千夏が、夫・雅人に、“明日から在宅勤務になった”と、LINEで報告すると、珍しくすぐに返信があった。
“俺も”
どうやら彼も在宅勤務になったらしい。雅人の返信に、千夏の頰が緩む。
−久しぶりに夫婦2人の時間が増えて良いかも。ちょっと嬉しい!
大好きな夫と過ごす時間が増えることに心躍らせていたのだ。
これが嵐の前の静けさだなんて、露ほども知らずに。
この記事へのコメント
日本
リモートだと運動量少ないしそんなに食べることに必死にならなくても良いかと。