2019.12.28
私のモラハラ夫 Vol.18可憐な妻と優しい夫。
わたしたちは、誰もが羨む理想の夫婦だったはずなのに。
若くして結婚し、夫の寵愛を一身に受ける真美・27歳。
鉄壁で守られた、平穏で幸せな生活が、あることをきっかけに静かに狂っていく。
そしてやがて、気付くのだ。この男が、モラハラ夫だということに。
2019年は、本当にありがとうございました。2019年ヒット小説総集編、「私のモラハラ夫」一挙に全話おさらい!
第1話:「僕だけじゃ不満なの?」結婚3年、優しい年上夫が“モラハラ男”に豹変した夜
陽介は、エリートコースのいわゆる「優良物件」。さらにルックスも悪くないため、婚約発表後の真美への風当たりはなかなか強かったが、優しくて穏やかな陽介と一緒になれる未来が待っているのだと思うと、何も辛くなかった。
「今日、マミちゃんは何をする予定?」
2杯目のコーヒーを飲み終えた陽介が、出社準備をしながら問いかける。このやりとりも毎日の繰り返しだが、真美の答えはいつもとは違っていた。
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第2話:夫の束縛が、段々激しくなる…。モラハラ男が妻に「外出禁止令」を出した衝撃の理由とは
丁寧に折りたたんだ朝刊をビジネスバッグに入れると、陽介はマミに笑顔を向けた。
「今日は、午前中に食材の配達が来るから受け取って…そのあとは、久しぶりにパンを焼こうかな。」
「そう。マミちゃんのパン楽しみだな。くれぐれも戸締りに気を付けてね。」
真美が「外で働きたい」と口にしたあの日から、陽介は毎日妻の予定を事細かに確認するようになっていた。
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第3話:「旦那さん、変じゃない?」友人の警告で、夫の異常性に気付いた女。妻に下された恐ろしい罰とは
毎朝恒例の「本日の予定チェック」では更に詳細を求められるようになった。真美に外出予定がない日の陽介はとても機嫌が良いのだが、その逆だと、途端に表情が曇る。
留衣と以前から約束していたランチですら、夫に切り出すのが何だか怖くて、申し訳ないと思いつつも理由をつけ先延ばしにしていたのだ。
留衣が今日代休を取る予定だと言うのを聞いた真美は、"外出でなければ陽介も怒らないだろう"と考え、自宅に招くことにしたのだった。
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第4話:深夜のキッチンで目撃した、夫の奇行。妻の小さな“出来心”が招いた悲劇とは
「マミちゃん、僕の言いたいことわかってくれた?…ほら、寒かったでしょ。」
寒さと恐怖で、もしかしたら混乱していたのかもしれない。だけどあの時、陽介から差し伸べられた暖かい手に触れた瞬間、なぜか真美は心の底からホッとしたのだ。
「もう、困らせないでね。マミちゃんのためなら、僕はなんでもできるんだから。」
ーこんなに大切にしてもらってるのに、わがままを言った私が悪いのか…。
冷えた体を抱きしめられた真美は、その温もりと力強さに飲み込まれるかのように、小さく頷いたのだった。
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第5話:「この男、誰…?」嫉妬に駆られた夫に、スマホを取り上げられた妻。代わりに買い与えられた物とは
夫には、父の調子が悪く心配だからと懇願し、日帰りで明るいうちに戻ること、実家に着いたらすぐ連絡を入れることなどを条件に、渋々許してもらえたのだ。
「今日は泊まるの?」と母親に聞かれたが、真美は小さな声で答えた。
「ううん、今日は日帰り…。ごめん、じゃあ、後でね。」
なかなか電車がこない片田舎の駅で、携帯電話をカバンの奥底に押し込むと、深いため息をつく。あの夜の恐ろしい記憶が、いつまでも脳裏に焼き付いていた。
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第6話:「この男の子どもを、宿してはならない」。夫の知らぬ2時間のあいだに、妻が起こしたヒミツの行動
「あんた昔、真美のこと好きだった訳じゃん?昔愛した女が困ってるかもしれないんだから、ここで行かなきゃ男がすたるわよ!わかったら明日朝10時に集合ね。」
「それって、何年前の話だよ…。」
ーそりゃ私だってお節介だとは思うけどさ。気になるのよね。
こうして半ば強引に颯太を誘い出した留衣は、翌日の朝、真美の家に行ってみることにしたのだった。
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第7話:こんなに酷いことをされてもなお、「夫に愛されている」と信じる女。妻が“小さな嘘”をつき続ける理由
「少しは落ち着いた?ほら、これ飲んで。」
留衣からマグカップを受け取ると、真美は息を整え、熱い紅茶を口にした。涙と湯気の向こう側に、心配そうな留衣と颯太の姿が見える。
「…何かあった?」
マグカップの中身をじっと見つめ、なかなか口を開かない真美に、聞き辛そうに颯太が声をかけた。
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第8話:従順な年下妻が、夫に牙をむいた夜。彼女が“無責任女”の烙印を押されてしまった理由とは
「マミちゃんには、何も気にせずに楽しく生活して欲しいから、見せるつもりはなかったんだけど。」
しぶしぶ、といった様子で陽介が差し出したスマホの画面には、家計簿アプリが起動されていた。
そこには、毎月の収入と支出が細かな項目ごとに整理されており、いつどこでいくら使ったのかが、詳しくわかるようになっていた。
「マミちゃんが何不自由ない生活を送っているのは、僕がきちんと君を扶養する責任を果たしているからなんだよ?」
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第9話:「君が望むなら、金銭的援助してあげる」。夫に支配された妻が、監視下から逃れ30分の間に向かった先
あの時、自由を与えてほしいと懇願する真美を一蹴した陽介は、反論できずにいる妻の様子をしばらく観察すると、いつも通りの態度に戻った。まるで真美の主張など、初めからなかったかのように。
「はい、携帯を変えたもので。…いま、代わりますね。」
陽介は、慣れた手つきで通話を保留にすると、真美にスッとスマホを差し出した。
「お義母さんからだよ。マミちゃんの携帯が通じないから、僕にかけたみたい。」
それは、真美の母からの電話だった。
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第10話:「ついに、夫にバレた…?」妻が戸棚の奥に隠し続けていた“ある秘密”が晒された夜
「なんだ、これ?」
颯太が、会社携帯に残された着信と留守電に気付いたのは、朝一でのアポが終わってすぐのことだった。
両方とも、発信元は公衆電話、になっている。
今時、公衆電話からの着信なんて、滅多にない。不思議に思いながらも再生ボタンを押すと、聞き覚えのある女性の声が聞こえ、颯太は慌てて音量を上げる。
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第11話:「君は、僕のペットだよ」24時間、監視しようとする夫。そこから抜け出した妻の、一夜の逃走劇
「ただいま。」
朝出て行った時よりも若干機嫌が回復したように見える陽介は、いつかと同じような大きい紙袋を2つ抱えている。
「おかえりなさい。陽介さん、それ…何?」
コートを脱ぐや否や、紙袋をゴソゴソと探り始めた陽介は、テレビ台の横に筒状の機械をおくと、ブツブツと呟きながら、スマホをいじっている。
「ねえ、それ、なんなの…」
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第12話:離婚を決意したのに、夫がどこまでも追ってくる…。居場所を突き止められた妻が、運命を託した切り札
妻の実家で、幼い頃からのアルバムを全て見せてもらった。中学の卒業アルバムに例の名前を見つけた僕は、その顔を頭に焼き付けたのだ。
名刺に記された社名を元に、あの男がいるであろう会社を何度か見に行った。いつもは取引先からの帰りに寄り道する程度だったが、今日は心配のあまり仕事を早く切り上げ、あの男の後を追うことにした。
案の定、いつもと違う路線に乗り込む姿を見て、僕は確信した。あの男の向かう先に、妻がいると。
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第13話:妻が受けた、7つの恐ろしい仕打ち。27歳の女を震撼させた、夫の異常な行動とは
「リコン…って?マミちゃん、何言ってるの?」
玄関先で真美が言い放った言葉の意味を、陽介はすぐに理解できないようだった。
「だから、離婚してほしいの。今日はそれを話すために、ここに戻ったの。」
先に家の中へ入った真美は、自らを落ち着かせるように長く息を吐くと、呆然としたままの夫の方を振り返った。
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第14話:「あれってもしかして、私の夫…?」家を飛び出した妻が、窓から目撃した恐ろしい光景とは
「真美さん、一体どういうことなの?!」
部屋に入るや否や、義母は真美を睨みつけた。背後にぴったりついた陽介が、「まあまあ。」となだめるが、義母の鼻は大きく膨らんだままだ。
ーお義母さんがいようが、関係ない。
真美は自分にそう言い聞かせる。覚悟と決意を持って、話をするためマンションに戻ってきたものの、まさか夫が義母を呼んでいるなんて予想外だった。
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第15話:キッカケは、ほんの些細な事だった…。優しい夫を"嫉妬に狂うモラハラ男"に変貌させた、妻の一言
「陽ちゃん…ごめんね。あなたがこんな酷いことする前に、気にかけてやればよかった…うぅぅ。」
玄関でしばらく泣いていたのだろうか。母の顔からは血の気が引き、目尻には太い涙の跡がある。
「…酷いことって?」
「これよ!こんなの普通じゃないもの。陽ちゃん、きっと辛かったのよね?会社で何かあった?真美さんが何かしたのかしらね?」
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第16話:あんなに酷いことをしたのに、ふたたび愛を囁く夫。離婚届を手に入れた妻の、最後の決断とは
「よかった。離婚届、書いてもらえたんだね。」
陽介が離婚届に判をおしてから数週間後、新しくスマホを手に入れた真美は、留衣にお詫びの電話を入れた。夫から逃げているときに支えてくれたことへのお礼と、迷惑をかけたことへの謝罪をしたかったのだ。
「もう、届は出したの?」
「ううん、それは、条件がきちんと揃ってからにしようと思って」
第16話の続きはこちら
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