私のモラハラ夫 Vol.1

私のモラハラ夫:「僕だけじゃ不満なの?」結婚3年、優しい年上夫が“モラハラ男”に豹変した夜

可憐な妻と優しい夫。

わたしたちは、誰もが羨む理想の夫婦だったはずなのに。

若くして結婚し、夫の寵愛を一身に受ける真美・27歳。

鉄壁で守られた、平穏で幸せな生活が、あることをきっかけに静かに狂っていく。

そしてやがて、気付くのだ。この男が、モラハラ夫だということに。


「マミちゃん、今日のオムレツとっても美味しいね。」

夫からの賞賛の言葉に笑顔で応えながら、真美は空になったカップにコーヒーを注ぐ。

ほぼ毎日のように繰り返されるやりとりだが、真美はこの瞬間がとても好きだ。

「昨日の鯵の開きも美味しかったし、和食も洋食もとっても上手になったよね。こんな奥さんがいる僕は、本当に幸せ者だ。」

結婚して3年が経つというのに、夫の陽介は、真美を褒め称えることを怠らない。

陽介が8歳年上ということもあり、幼さが残る真美のことが可愛くてたまらないのだろうと、周りは言う。

3年前、真美は24歳の若さで結婚した。就職先の銀行で出会った陽介と恋に落ち、あっという間に人生の伴侶を決めたのだ。

陽介は、エリートコースのいわゆる「優良物件」。さらにルックスも悪くないため、婚約発表後の真美への風当たりはなかなか強かったが、優しくて穏やかな陽介と一緒になれる未来が待っているのだと思うと、何も辛くなかった。

「今日、マミちゃんは何をする予定?」

2杯目のコーヒーを飲み終えた陽介が、出社準備をしながら問いかける。このやりとりも毎日の繰り返しだが、真美の答えはいつもとは違っていた。

「今日はお友達と会うのよ。結婚式にも来てくれた子で、関西支社から東京に戻ってきたからランチしようって。」

そこまで言ったところで、陽介の表情が曇っていることに気付いた。

「…もちろんお昼が終わったらすぐ戻るから、夜は陽介さんの好きなおでんにしようかな。」

真美は、急いで言葉を付け足す。陽介は、真美が一人で外出することをあまり好まないのだ。

「そっか。…どこで、何時に待ち合わせ?」

「うん、表参道ヒルズに12時なの。写真送るね。」

陽介は、少し考える素振りを見せてから「くれぐれも気をつけて」と、玄関を出て行く。ガチャリと鍵が音を立てるのを聞いて、真美はホッと胸をなでおろすのだった。

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