私のモラハラ夫 Vol.15

キッカケは、ほんの些細な事だった…。優しい夫を"嫉妬に狂うモラハラ男"に変貌させた、妻の一言

可憐な妻と優しい旦那。

わたしたちは、誰もが羨む理想の夫婦だったはずなのに。

若くして結婚し、夫の寵愛を一身に受ける真美・27歳。

鉄壁で守られた平穏で幸せな生活が、あることをきっかけに静かに狂っていく。

そしてやがて、気付くのだ。この男が、モラハラ夫だということに。


優しく穏やかなはずの夫・陽介が、ある夜から少しずつ変わっていく。

離婚を決意し実家に帰ってしまった妻に、「モラハラ夫」の烙印を押された陽介が、自分の過去の行動を振り返る…。


陽介の言い分


「どうして…どうしてこんなことに…。」

妻が家を出て行った後、僕はしばらく椅子から立ち上がることができなかった。

素直で、控え目で、優しい妻。お互い愛し合っていると信じていたのに離婚を言い渡されるなんて。僕にとっては、まさに青天の霹靂だ。

妻が主張する離婚事由には、全然心当たりがなかった。

彼女を失いたくない一心で土下座までしたが、駄目だった。態度を頑なに変えない妻を説得するため、母に来てもらったのは、以前妻が母のことを尊敬していると言っていたからだ。だが、それも失敗に終わってしまった。

モラハラという言葉の意味は、もちろん知っている。暴力的な言葉や態度で相手の人格を否定し、支配しようとする行為のことだ。

マミちゃんを守り続けた僕がそんな卑劣なモラハラ夫だなんて、あり得ない。

「陽ちゃん…ごめんね。あなたがこんな酷いことする前に、気にかけてやればよかった…うぅぅ。」

玄関でしばらく泣いていたのだろうか。母の顔からは血の気が引き、目尻には太い涙の跡がある。

「…酷いことって?」

「これよ!こんなの普通じゃないもの。陽ちゃん、きっと辛かったのよね?会社で何かあった?真美さんが何かしたのかしらね?」

母は、紅茶色に染まったメモを手にとると、悔しそうに叩きつけた。

「いや、ちょっと待ってよ。さっきも言ったけど、これは全部マミちゃんのためにしてあげたことで、モラハラではないよ。ひとつひとつ説明するからさ…」

僕は、メモに書かれている行為の背景や、それによって妻が改心したことなど事細かに説明した。母は、最初は頷きながら僕の話を聞いてはくれていたが、説明が終わる頃には再び涙ぐみ、黙り込んでしまった。

思えば、母が僕に賛同してくれないなんて、生まれて初めてのことかもしれない。

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