2019.02.02
無業の女王 Vol.1034歳、国立大卒の美しき才女、高木帆希(たかぎ・ほまれ)。
父親は作家の傍らコメンテーターとしても人気の有名人で、「家事手伝い」という名の「無業」で10年もの間、ぬくぬくと過ごしてきた帆希。
そんな働かずとも裕福に暮らしてきた彼女に、突如、降りかかった「父の死」。
再び「社会」と向き合わざるを得なくなった無業の女は、どのようにサバイブするのか?
「無業の女王」一挙に全話おさらい!
第1話:34歳、国立大卒、独身…家事手伝い。働かず暮らしてきた女が突然、社会に放り出された日
「高木様、おさげしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、ご馳走様。今日も美味しかったわ」
そう言って私は、心からの感謝を伝えると、小さな泡が弾けるグラスをクッと飲み干した。遅めの朝食を優雅にホテルのレストランで頂ける生活に、私は満足している。
ゆったりと流れる幸福な時間は、これから先“私が望む限り”続くものだと、この時の私は信じて疑わなかったー。
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第2話:働かずに生きてやる。彼に裏切られて人生最悪の日に下した、34歳・独身女の無謀な決断
「あのね、涼ちゃん…大事な話があって……」
私は思い切って、涼輔にプロポーズをしようと決意し、ここへやってきていた。
5年も待たせてしまったけれど、父の死をきっかけに、「結婚」という新しい人生の一歩を踏み出してもいいんじゃないか…そう思って今から、プロポーズの言葉を言おうとした瞬間だった。
「僕も…今日、ちゃんと伝えたくて……」
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第3話:“二子玉川で1番みっともない女”に成り下がった日。それでも曲げられない、34歳・無職の主張
私は「お金」というものをどこか醜悪なものだと思っていた。いや、きっと今でも…私は、心の奥底で思っている…。
『美しいものに囲まれて生きていくのよ、帆希』
母は、いつも穏やかで優しく、何より品格のある人で、「家」という城を支配する女王だった。
家の中は、母が集めた美しいもので作られていた。引き算されたセンスのいい空間。それが私の生まれたこの家だ。
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第4話:意地でも離婚はしない。夫以外の男に縋りながら、虚しさを溜めこむ女の歪んだ愛情
当時の私を知っている人たちは、「そんなことくらいで?」と驚いていた。だけど…私にとって…耐えられない出来事だった。他人に理解されなくとも…。
あの日、あの時、あの場所にいなければ…私はきっと、働けていただろう。ごく当たり前のように…愚痴を言いながらも、働いていただろう。
過去は書き換えることは出来ない。何度、悔やんでも戻ることは出来ない。
だから私は決めたのだ。私は、絶対に『働かない』と―。
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第5話:初めての婚活で出会った、35歳こじらせ男との恐怖の一夜。急に態度を豹変させた、彼の正体とは
「マッチングアプリっていっても色んなアプリがあってね…」
瑞樹は、恋愛を楽しみたいだけのアプリや、真剣に結婚を考えた人だけが登録するアプリなど、色んなマッチングアプリを私に教えてくれた。
「34歳っていう年齢も考えたら、婚活重視のマッチングアプリが帆希にはいいんじゃない?」
私は、瑞樹に背中を押してもらう形で、「マッチングアプリ」に登録したのだ。
それが私にとって、次の一手だった―。
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第6話:「僕なら裏切らない」耳心地の良い言葉を並べ、現代女性の“駆け込み寺”を作った男の正体
「よかったら一緒に飲みませんか?」
ひとり静かにカウンターの端で飲んでいた私に声をかけてきたのは、私と同じくらいか少し年下のショートカットが印象的な女性・真奈さんだ。
薄化粧でこざっぱりとした真奈さんは、大手出版社の週刊誌の記者だった。
差し出された名刺には、スキャンダルをこれでもかとすっぱ抜く、誰もが知っている雑誌の名前が書かれていた。
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第7話:あの日、あの時、あそこに行かなければ…。過去の傷を抱えた女2人の、奇妙な共同生活とは
「…ご連絡が遅くなってしまって…申し訳ありません…」
表参道の裏通りにある隠れ家のようなカフェ『月光茶房』 で、私は桧山泉とお茶をしていた。心地よいジャズが流れる落ち着いた雰囲気のカフェだ。
私が今こうして泉という女性と並んで座っているのは、「楽園の翼」からの帰り道…見知らぬ番号から電話を受けたことに遡る。
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第8話:初対面でいきなり頭を撫でてきた男の、底意地の悪い魂胆とは。34歳独身女がハマった罠
声をかけてきた男・ユウジは、泉の友達以上、恋人未満…いわゆる曖昧な関係の人物。十代の頃は、ダンスユニットのメンバーとして芸能事務所に所属していたというだけあって、パッと華やかな印象の爽やかイケメンだ。
今は企業研修のコーチングトレーナーやパーソナルコーチとして、著名なクライアントを抱える若手実業家…らしい。見た目は若いが…年は泉と同じ29歳くらいだろう。
なぜ、私が泉の元カレ・ユウジと会っているのか。それは、泉から「妊娠した」と告白されたからだった―。
第8話の続きはこちら
第9話:黒い傘がもたらした不運。見知らぬ男から突然声をかけられ、人生初の挫折を味わった女
行くあてもなくたどり着いた先は、六本木にあるインターネットカフェ。
初めて入るインターネットカフェに戸惑いはしたものの、何となくホテルに泊まる気分でもなかった私にはちょうどよかった。
受付で完全個室のシアタールームをオーダーしたが、2名以上からじゃないと使えないと言われ、私は泣く泣く禁煙ハイブリットシートを確保することにした。
―ハイブリットなお部屋って、これが!?
第9話の続きはこちら
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Vol.11
34歳になっても自立できなかった女が、誰かに寄生する日々に終止符を打とうと思えた理由とは
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