東京女、27歳 Vol.10

27歳、社会人5年目。人生の転換期における賢い東京女たちの決断とは? 「東京女、27歳」全話総集編

東京には、全てが揃っている。

やりがいのある仕事、学生時代からの友だち、お洒落なレストランにショップ。

しかし便利で楽しい東京生活が長いと、どんどん身動きがとれなくなるのだ。

社会人5年目、27歳。

結婚・転勤など人生の転換期になるこの時期に、賢い東京の女たちはどんな決断をするのか?

東京の荒波をスマートに乗りこなしてきたはずの彼女たちも、この変化にうまく対応できなかったりもする―。

「東京女、27歳」一挙に全話おさらい!

第1話:社会人5年目で迫られた、究極の選択。彼氏の転勤で「全て揃った東京」を離れられるか?

「貴美子、彼とは順調?」

部内一の癒し系美女、春奈が尋ねる。その薬指には、カルティエのエタニティリングがキラキラと光っていた。足元はレペットの赤のバレエシューズ。上質そうな薄手の白ニットの中で体が泳ぎ、なんとも女らしい。

春奈の言葉に、皆が一斉にこちらを向く。私は一瞬、答えに詰まった。

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第2話:医者一族に生まれた運命に、どうしても抗えない。27歳女が“安定した幸せ”のためにとった最終手段

「それにしてもさー、春奈、今じゃすっかり落ち着いて、有閑マダム?って感じだよね!」
「ほんとほんと!あの春奈が最初に結婚するとは思わなかったなー。部活忙しいのに、バイトもめっちゃしてたし、誰よりも自立してたし」
「春奈、とがってたよね!先輩に一番はっきり物申しちゃうのも、春奈だったし」

もうやだー、みんな、そんな昔の話、やめてよーっ。

言ったそばから、今の口調は夫・武雄さんといる時用のものではなかったか、ひとりで振り返ってしまう。照れ隠しに、手入れには気を遣っているつやつやの髪を触った。

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第3話:地元に戻って家業を継ぐor東京で“野心”を試す?27歳、逃げ腰気味のコンサバお嬢様が下した決断

口元にスティックを近づけようと腕を動かした途端、体のあちこちに実家の和菓子屋の匂いが残っている気がして、慌ててシャネルの香水を左手首にロールオンする。

自然に上がった風の長いまつ毛、シャドウで奥行を出した目元に、パウダーやペンシルで緻密に作り込んだ眉。どんなに完璧な「東京の女」のメイクを乗せていても、不安そうな表情をしている鏡の中の自分と目が合った。

思い出すのは、先週のこと。高校の親友の結婚式のため、名古屋の実家に帰省した。リビングで華やかな披露宴の余韻に浸っていると、仕事を終えたばかりの和服姿の母が入って来た。

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第4話:「会社、辞めなきゃ良かった…」憧れの“フリーランス”で年収が半分になった、27歳女性誌編集者の苦悩

「千鶴、どうかした?」

しっかり者の貴美子はそう言いながら、遅れてくる子のために料理をとりわけていた。仕事、趣味、彼氏、結婚。みんな悩みながらも、うまくやっている。大手企業勤務で、彼や夫も文句なしの人柄。みんな恵まれている。

要領と運はいい方だと思って生きて来た。27歳になって、今になってこんな風に自分がみじめな気持ちで集まりに参加するなんて、考えたことがなかった。

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第5話:「私、何のために頑張ってるの?」男の前で“デキる女”を演じ続けた、生真面目なセカンド女27歳の逆襲

啓介さんと親しくなってから、私の営業成績はあっと言う間にチームトップになった。上期の査定ではボーナスも弾み、年収が上がった。

彼のアドバイスのお蔭でもあるが、トップでなくなったら見向きもされなくなる気がしてめちゃくちゃに働いた、それが一番の理由だ。

でもふと立ち止まって考える。この努力は、何のための努力なんだろう。

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第6話:「Sクラス美女には、叶わない」別居婚を選んでまで読者モデルにしがみつく、27歳・既婚女の闇

「満理奈、いつまで“花嫁”やってんだ。」

うんざりした顔の夫を無視し、スマホを持ってリビングをうろうろする。

「そのもこもこした服、いくらしたんだよ。高い金払って、私生活見せびらかして…」
「うるさいなあ~。いいじゃん、自分のお金で買ってるんだし。」

スマホに目を落としたまま答える。

「……俺もう寝るわ。明日、ゴルフだし。朝飯いらないから」

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第7話:「真面目な彼を信じていたのに…」マイホーム購入を夢見る27歳妻を裏切った、夫の不実な隠し事

現実性のある夢を見るのに必要なのは、計画性。計画を実行するのに必要なのは、常に穏やかな心。

大手メーカーで研究職をしている彼も、同じような生い立ち。言葉数は少ないけれど穏やかな生活を好む。研究職はほとんど転勤もないと言っていた。

「描く夢が平凡だっていい。綾香となら、平凡な毎日でもきっと楽しいから…」

もじもじしながら、『アジュール フォーティーファイブ』でプロポーズしてくれた夫。長い付き合いを経て、夫にするならこの人だ、と確信した。

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第8話:「年収1,000万以上で優しい人だったら、好きになれるはず」条件重視だった27歳女が掴んだ意外な幸せ

遅い昼休みをとると、オフィスに戻る前に大体『ワイズ サンズ トウキョウ』に立ち寄り、飲み物をテイクアウトすることにしている。

前に立っていた若い男性が、会計待ちの間にコートを羽織ろうとして、彼の腕が私にぶつかったのだ。ぼーっとしていたから特に気にならなかったのだが、次の瞬間、男性はこう言った。

「すみません、この方のカフェラテも一緒に」

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第9話:東京を捨て海外で働く、商社出身の27歳女。退路を絶ったキャリア美女の心を揺るがす男とは

新卒で入社した総合商社から転職し、香港に来て1年半。私はこの世界で、うまくやっていけているのだろうか。

昔から「日本っぽいこと」が大嫌いだった。情熱的に、効率的に、合理的に。それがモットーの私にとって、強い意志を持って何かに取り組もうとするほど、「日本っぽいこと」は足枷になった。

と言っても、私は生まれも育ちも東京だ。高校で1年間、フロリダに交換留学に出たのが初めての海外。子ども時代の海外暮らしなどもしたことがなかった。

第9話の続きはこちら

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