東京女、27歳 Vol.4

「会社、辞めなきゃ良かった…」憧れの“フリーランス”で年収が半分になった、27歳女性誌編集者の苦悩

東京には、全てが揃っている。

やりがいのある仕事、学生時代からの友だち、お洒落なレストランにショップ。

しかし便利で楽しい東京生活が長いと、どんどん身動きがとれなくなる。

社会人5年目、27歳。

結婚・転勤などの人生の転換期になるこの時期に、賢い東京の女たちはどんな決断をするのだろうか。

東京の荒波をスマートに乗りこなしてきたはずの彼女たちも、この変化にうまく対応できなかったりするものだ――。

前回は、名古屋の実家の跡継ぎという責務を抱えながら東京で夢を抱く日香里を紹介した。今回は―?


<今週の東京の女>

名前:千鶴
年齢:27歳
職業:フリーランス エディター

File4:千鶴の場合


土曜の夜だというのに、ひっきりなしに仕事のメールが来る。

まずい。内容は催促ばかりだ。

締め切りを過ぎた恋愛系の記事が2件。海外のファッションのまとめ記事の修正が確か今日まで。やっとの思いで古巣のファッション誌からもらった企画の仕事も、次の月曜が最初の打ち合わせだというのに、まだアイデアすら固まっていない。

締め切りを少しでも先延ばしにするための理由を考え、慌ててメールを送り返す。久しぶりに大学テニス部の同期女子で集まれたというのに、心ここにあらずなのが自分でも分かる。

「千鶴、料理冷めちゃうよ~、おいしいよ、これ」

声をかけられはっとして、スマホから顔をあげる。白インゲン豆の入った煮込みを勧めてくる、部内一穏やかな綾香の笑顔。

「千鶴、どうかした?」

しっかり者の貴美子はそう言いながら、遅れてくる子のために料理をとりわけていた。

仕事、趣味、彼氏、結婚。みんな悩みながらも、うまくやっている。大手企業勤務で、彼や夫も文句なしの人柄。みんな恵まれている。

要領と運はいい方だと思って生きて来た。

27歳になって、今になってこんな風に自分がみじめな気持ちで集まりに参加するなんて、考えたことがなかった。

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