「結婚なんかしない」
そう、言い張っていた。
今の生活を手放すなんて考えられない。自由で気まぐれな独身貴族、それでいいと思っていた。
仕事が何より大事だと自分に言い聞かせ、次々にキャリア戦線を離脱してゆく女たちを尻目に、私はただひたすら一人で生きてゆくことを決意していたのに―。
”想定外妊娠”に戸惑っていたのもつかの間、千華ははじめてのエコーで心を揺さぶられ、たとえ独身だろうと産む決意を固める。
元カレ・ショーンとすれ違い続けていた千華は、憧れの先輩から言われた一言をきっかけに自分の本心に気づき、ついに彼と結ばれた。
だが真っ先に報告した親友・舞子は浮かない顔だった。さらに、ショーンの母・妙子は辛辣な言葉で千華を絶望の底へと叩き落とし、信頼していた部下・徳永さえも冷淡な反応をしめす。そんな中、千華はついに会社で意識を失ってしまい…。
「しばらく休め。まだ夏休みを取ってないだろう。」
職場で倒れてしまった私に真っ先に電話をよこしたのは、仕事が忙しいフィアンセでも、心から信頼する親友でも、仕事を押し付けてしまった部下でもなかった。
部長は、電話越しに何度も「安心しろ、こっちは大丈夫だから」と繰り返す。
......
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この記事へのコメント
徳永くんに早めに報告するように言ってたことといい、部下の性格を分かったうえでアドバイスくれてるし。
前も思ったけど、ショーン君、時間作れるんじゃん。作「ら」なかったんじゃん。なんか粗末に扱われてる感じしてやだな。
お母さんたちが好意的でほっとした。そういう風潮があることは知ってるけど、自分の娘ができちゃったなんて💢とか、親がよくても周りの親戚とかがうるさい、とかになるんじゃないかと思ってた。