「結婚なんかしない」
そう、言い張っていた。
今の生活を手放すなんて考えられない。自由で気まぐれな独身貴族、それでいいと思っていた。
仕事が何より大事だと自分に言い聞かせ、次々にキャリア戦線を離脱してゆく女たちを尻目に、私はただひたすら一人で生きてゆくことを決意していたのに―。
”想定外妊娠”に戸惑っていたのもつかの間、千華ははじめてのエコーで心を揺さぶられ、たとえ独身だろうと産む決意を固める。
元カレ・ショーンとすれ違い続けていた千華は、憧れの先輩から言われた一言をきっかけに自分の本心に気づき、ついに彼と結ばれた。
しかし、ショーンの母・妙子の反応は、千華を絶望の底へと叩き落とすものだった。その頃、会社ではー。
「木田が…、ついに結婚か。しかも妊娠まで。」
私は1番小さな会議室に、部長を呼び出していた。
なかなか収まる気配のないつわりは、業務に支障をきたす寸前のところまできていた。これ以上隠し通すことは不可能だ。
どんな困難も乗り越えてみせると誓ったものの、目の前に座る部長......
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この記事へのコメント
その肩身の狭さを後輩たちがみて、妊娠なんてするものかって思う。
少子化問題のループだと思います。
わたしは既婚子持ちで、望んで子どもを産んだのでなにも後悔はないですが、だからこそ他の人に妊娠することを勧められない。世の中、妊婦、子連れに風当たりが強すぎる。
妊娠と同時に即休職出来たらいいのになあ。心身共に参ってしまったら、お腹の子もかわいそう。
妊娠したら退職を促されたり
戻ってくるのを嫌がられたり
子育て中だって嫌味を言われたりしたよ
だから少子化が進むんだよ