想定外妊娠 Vol.2

想定外妊娠:「順番、守ってくださいよ」。未婚で妊娠した女に突き刺さる、世間からの冷酷な視線

「結婚なんかしない」

そう、言い張っていた。

今の生活を手放すなんて考えられない。自由で気まぐれな独身貴族、それでいいと思っていた。

仕事が何より大事だと自分に言い聞かせ、次々にキャリア戦線を離脱してゆく女たちを尻目に、私はただひたすら一人で生きてゆくことを決意していたのに−。

元カレ・ショーンと別れた直後に発覚した”妊娠”に戸惑う木田千華、32歳。一生独身主義を豪語していたはずだったキャリア女子の人生が、大きく動き出す。


「別れた、って…、どういうこと?」

舞子の刺すような視線が痛い。

妊娠判明により、私がここまで動揺し、パニックに陥った理由。

それは、私自身、一生結婚なんてするつもりがなかったから。ましてや、妊娠なんて想定すらしていなかった。

だけどそれ以上に大きな理由は、子どもの父親であるはずの男・ショーンとの恋が、すでに終わっていたからだったのだ。



「俺のせいで、子供できなくてさ。だから離婚した。」

そんなショーンの告白を聞いたのは、彼と付き合う直前だった。

「両親は物心付く前に離婚していたし、俺は長野の祖母に預けられていたんだ。それだから、家族をどう構築したらいいのかもさっぱりわからなかった。…そんないろんな原因が重なって、元妻は家を出てっていった。」

普段強気の彼が、珍しく弱々しい顔で過去を語ったのだ。

3年前の冬、彼が私を真剣な瞳で見つめ「それでも、千華の恋人になりたい。」と言った日のことだ。

そもそも結婚なんて望んでいない私にとっては、ショーンの過去なんて少しも気にならなかった。

舞子に“彼氏ができた”と報告した時も、「私も彼も、仕事が一番大事。だから気を使わなくていいし、ちょうどいいの。」なんて言っていた。

結婚も出産も、私の人生には必要ない。ただお互い「自由な恋人同士」でいられれば十分だと、本気で信じていたのだ。

それで全てがうまくいくと思っていた。

実際は、そんな都合よく行くはずもなかったのだけれど。

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