2018.06.26
朝子と亜沙子 Vol.12ここはとある証券会社の本店。
憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。
そこでは8年前から目標としていた同期の美女・亜沙子が別人のように変わり、女王の座に君臨していた。
年齢なんて意味を持たず、数字の出来る者がヒエラルキーの頂点に立つ営業の世界で、朝子は勝ち残ることができるのか?
数字と恋をかけた2人のアサコの闘いの火蓋が、今切られるー。
「朝子と亜沙子」一挙に全話おさらい!
第1話:2人の女の仁義なき闘いが今始まる。トップセールスの座に君臨する、絶対的女王の存在
「中川さんの事を知ってる人も多いと思いますが、以前の自由が丘支店で全国ナンバーワンを獲得した、表彰常連のセールスです。」
本店長は「本店でもガンガン数字をやってね。期待してるよ。」と続け、朝子は笑顔で相槌を打った。そのとき、どこかから自分を見つめる鋭い視線を感じて、朝子は思わずきょろきょろと辺りを見回す。
そして、圧倒的なオーラを放つ女性と目があった。
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第2話:1人、そしてまた1人と同僚が消えていく…「数字が出来ない者は寄生虫」と言い放った、悪魔のような女
ある日、1人の男が突然行方をくらませた。朝子たちの課の4年目の後輩が、急に会社に来なくなったのだ。彼の名前は、中島という。
みんなで何度も中島の携帯に連絡をしたが、電波の届かないところにいるというアナウンスが流れるだけ。寺島が自宅まで見に行ったが、家の中にいる様子もないようだ。
それは朝子が着任して一ヶ月を過ぎたときの事だった。
ー中島君…。もしかして…。
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第3話:「あなたのものは、私のもの。」ライバル美女が、営業No.1の座に居続けられる理由
ーああ、なんだか緊張するなあ…。いけない、仕事仕事…。
そのとき突然、電話が鳴り出した。今井亜沙子の席から、けたたましくベルが鳴り響いている。朝子は代わりに電話を取った。
「今井さんはいらっしゃらないかしら。私の資産についてちょっと確認したくてねぇ…」
電話口の女性は、上品な口調でゆっくりと話す。そして、朝子に代わりに調べてもらえないかと頼んできたのだった。
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第4話:会社のパーティーは女の戦場。仕事が出来るオトコをブランド品のように漁る、肉食系女たちの実態
その朝、朝子はいつもより念入りに身支度をした。今日は、表彰パーティーの日だ。朝子は以前の自由が丘支店での成績が評価され、今期も表彰を受ける事となった。
鏡の前に写る自分を見ていたら、ふと感慨深くなってくる。
―ついこの間まで、右も左も分からない新入社員だったのに。いつの間にか、本店社員として表彰を受ける立場になっているなんて…。
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第5話:悪は滅び、正義が勝つ?!部下を地獄の果てまで追い詰めた、パワハラ上司の悲惨な末路
ゆかりには何も言わなかったが、頭の中では、この間の思い出したくもない映像がリフレインしている。
―亜沙子は一体何をしたかったんだろう?そして、紀之さんも一体何を考えているの?ああ、もう、全部わけがわからない…!
席に戻ると、紀之からメールが来ているのに気がついた。
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第6話:“数字至上主義“は、もうおしまい?「鉄の女」と呼ばれる冷酷非情な上司が見せた、もう1つの顔
―寺島課長以上のパワー系の上司だったら嫌だなあ…。
愛想笑いなんてしそうもない島村の顔を見ながら、そんな事を思っていた。
島村は着任早々、課員たちのお客さんの属性や、これまでの取引を早速念入りに調べている。
ちょうどその時、朝子の目の前では、亜沙子が高齢の顧客と思われる電話口の相手に向かって、ゆっくりと話していた。
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第7話:上司への逆襲に執念を燃やす女。彼女の“ヒミツの姿”を目撃してしまった夜
島村が会議でコミットした“ある勝負”。それは、回転がききそうな仕組債という商品を大量に販売するというものであった。といっても、島村はその場しのぎの無謀な計画を立てたわけでは決してないことは、朝子もよくわかっている。
マーケットを熟知している島村は、彼女なりに相場を読み、このタイミングで仕組債を大量に仕込んでおけば、数ヶ月後には儲けが出てこの商品を購入した顧客も喜び、更に数字が出来るだろうと踏んでいたはずだ。
―島村課長に教わって、若手の子達も今までとは別人みたいに数字が出来ていたわ。みんなで協力していつも通りやっていたら、この予算は絶対に達成出来ていたはずなのに…。
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第8話:純粋な女を悪魔に変えた、8年という月日。“妬みの標的”となったトップセールスが抱える苦悩とは?
8年前の入社式の日。亜沙子は沢山の同期に囲まれていた。少し学生気分も残しつつ、無邪気な気持ちで、これからの社会人生活に向けて期待で胸を脹らませる。
昔から亜沙子は、人一倍負けん気が強い。同期とはしゃいで見せながらも、心の底では”絶対に負けたくない”という思いを密かに持っていた。
初めての配属先は、池袋支店。支店に初めて足を踏み入れた瞬間、亜沙子は浮かれていた自分がいかに甘かったかを思い知る事になる。
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第9話:「仕事ができない人ほど権利を主張する。」先輩社員を追い込む入社5年目の女が、心を奪われた男の存在
「この仕事は数字をやればやるほど忙しいんですよ。一番数字をやってる私は、先輩よりもっと忙しいってわかりますよね?それなのにどのツラ下げて、自分の雑用を頼もうとしてるんですか?」
亜沙子の表情や口調は、まさに女王という貫禄を帯びている。完膚なきまでにやり込めてやるという意思に溢れ、目を爛々とさせていた。そして、憤慨する先輩を尻目にピシャリと言い放った。
「“先輩”っていう言葉を履き違えないで下さい。私はあなたの働き方から何も学ぶものなんてない。」
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第10話:男の昇進と同時に、一方的に捨てられた“都合のいいオンナ”。恋愛よりキャリアを優先してきた女の本音
―他の課の課長からあんな嫌味を言われなきゃならないなんて…本当に悔しい。
事実、佐々木が見ている営業二課には紀之がいる。自ら誰よりも数字をやり、後輩も的確に指導する紀之のおかげであの課は回っているのだと、本店内では噂されていた。
課長としての能力は明らかに島村の方が上だと朝子は思うのだが、結局は一番数字が出来ている人間が偉い。「数字は人格」ここはそういう職場なのだ。
島村が着任してからというもの、“営業一課の本当の実力を証明したい!”と、朝子は強く思うようになっていた。
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第11話:男は私を裏切っても、仕事だけは裏切らない。愛人にゴミの様に捨てられた女を救った、たった1つのもの
「今井さんは、必ず数字をやるから心配しなくて大丈夫なんですよ。彼女は今まで築き上げたものを自ら壊すような馬鹿なことはしない。」
―島村課長って人が良すぎる…なんで、亜沙子のことをそこまで信じられるのかしら?
朝子は島村課長のことは信じているが、正直、今井亜沙子という女をそこまで信用する事は出来なかった。
第11話の続きはこちら
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