朝子と亜沙子 Vol.5

悪は滅び、正義が勝つ?!部下を地獄の果てまで追い詰めた、パワハラ上司の悲惨な末路

ここはとある証券会社の本店。

憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。

そこでは8年前から目標としていた同期の美女・亜沙子が別人のように変わり、女王の座に君臨していた。

数字と恋をかけた2人のアサコの闘いの火蓋が、今切られるー。

念願の本店に異動になった朝子だったが、同期・今井亜沙子は、数字の出来ない先輩に土下座をさせた上に、後輩を追い込んで逃亡させるという傍若無人な女だった。

そして表彰パーティーの際に朝子は、憧れの先輩・紀之が亜沙子と親しくしている様子を目の当たりにし、ショックを受けるのだった。


その日、朝子は一日中顧客回りをし、重い足を引きずって本店へ帰ろうとしていた。

「お疲れ様です。」

オフィスの前で、客先から戻ってきた後輩のゆかりにばったり会った。

朝子の顔を見た途端に、ゆかりは目を爛々とさせる。「ちょっと中川さん」と朝子の腕を引き、オフィスから遠く離れた柱の影まで連れていった。

「先週の表彰パーティー、凄かったらしいじゃないですか?」

ゆかりはそう言って、朝子の顔を伺うような目で見ている。朝子の口から、何か面白い情報が提供される事を期待しているのだろう。

ー何事かと思ったら、そんな話…。

朝子は、余計に疲労を感じた。

何も言わない朝子にしびれを切らしたのか、ゆかりは自分から喋りだす。

「あのパーティーに参加していた同期が、あの日の夜、今井亜沙子さんと紀之さんが二人でどこかへ消えたって言ってましたよ。」

ゆかりはドヤ顔で語り、再び間を置いた。

―え?そんな事になってたの?紀之さんって亜沙子の事が好きだったの?

思ってもいなかった展開に、朝子は一瞬言葉に詰まる。

「今井さんと紀之さんが会社で話しているところなんて見た事なかったですけど、あの二人、いつのまにそういう関係になったんですかねー?」

朝子の動揺なんて全く気付かずにゆかりは一人で話し続けている。

「でも今井さんの有名な噂なんですけど、同僚の気に入った男や彼氏を、これまで何人も寝取ってきたらしいんです。」

ゆかりは、亜沙子に目を付けられるのはいつも営業成績が優秀な女子なのだ、と説明した。

亜沙子がそんなことをする理由は、なんと営業ライバルに精神的ダメージを与えるためだという。そのために、体を張って男を略奪しているらしいのだ。

そして最後にゆかりは、こう付け足した。

「紀之さんの件も、だれかへの当てつけかもしれないですね。…で、今回の標的って、誰だと思います?」

心中穏やかでない事を悟られまいと、朝子は笑顔を取り繕う。

「さあ、どうなのかしらね。」

そして、お客さんに電話しないといけないからとゆかりに伝えて、足早にその場を去った。

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