朝子と亜沙子 Vol.9

「仕事ができない人ほど権利を主張する。」先輩社員を追い込む入社5年目の女が、心を奪われた男の存在

ここはとある証券会社の本店。

憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。

念願の本店に異動になった朝子だったが、同期・今井亜沙子は、数字の出来ない先輩に土下座をさせた上に、後輩を追い込んで逃亡させるという傍若無人な女だった。

今井亜沙子はいかにして、女王と呼ばれる様になったのか?


新入社員時代に池袋支店に配属されるも、同僚達の妬みの対象とされ、あらぬ噂をたてられた今井亜沙子。彼女は必ずトップセールスの座につくことを決意する。

そして5年の時が経ち、ついに亜沙子は本店に配属されるー。


―“負けたくない”…ここまで強くそう思った事がこれまでの人生にあっただろうか?

何としてでも自分の実力をこの本店で証明したい。亜沙子は切に思っていた。

池袋支店での5年を経て、ついに亜沙子は本店へ異動することとなったのだ。

前評判を受け、若干5年目でありながら本店の大口顧客を引き継ぐ事になった。

池袋支店時代にいくら鮮やかな営業成績を残したといっても、本店で感じるプレッシャーはこれまでとは比べものにならない。

本店では着任早々、歴代の大手客を担当する事になる。

そして周りの同僚達は、半ば失敗を期待するかの様な好奇の目で、亜沙子の仕事ぶりを見ているのだ。「本当にあんな若手の女が担当して大丈夫なのか?」とでも言いたげである。

着任してからの亜沙子の働きぶりは、目を見張るものがあった。それこそ週末も顧客訪問し、夜もお客さんに呼ばれれば食事の席に顔を出した。

しかし、営業の世界とは常に大口顧客の取り合いだ。

喉から手が出るほど、その顧客を担当する事を渇望していた同僚からは、妬みの対象として見られる様になるのは自然な流れだった。

何もやましい事なんてしていないのに。またここでも池袋支店の時と同じ様に、成果が出れば出る程あらぬ噂がたっていく。

だが、もうそんなことは亜沙子にとってはどうでもよくなっていた。

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