朝子と亜沙子 Vol.3

「あなたのものは、私のもの。」ライバル美女が、営業No.1の座に居続けられる理由

ここはとある証券会社の本店。

憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。

そこでは8年前から目標としていた同期の美女・亜沙子が別人のように変わり、女王の座に君臨していた。

年齢なんて意味を持たず、数字の出来る者がヒエラルキーの頂点に立つ営業の世界で、朝子は勝ち残ることができるのか?

数字と恋をかけた2人のアサコの闘いの火蓋が、今切られるー。

念願の本店に異動になった朝子だったが、配属された課にいる今井亜沙子という同期は、数字の出来ない先輩に土下座をさせた上に、後輩を追い込んで逃亡させるという傍若無人な女だった。

朝子は、そんな亜沙子のやり方に納得出来ず、必ず数字で亜沙子に勝つことを決意する。


19時。朝子は、一人残されたオフィスで、溜まったメールをチェックしていた。しかし心はソワソワと落ち着かず、どうも仕事に集中できない。

それもそのはず、朝子は憧れの先輩・紀之と夕飯を食べに行く約束をしているのだ。

解散をして課員がみんな帰った後も1人で席に残り、約束の時間まで仕事をして過ごす。

ーああ、なんだか緊張するなあ…。いけない、仕事仕事…。

そのとき突然、電話が鳴り出した。今井亜沙子の席から、けたたましくベルが鳴り響いている。

朝子は代わりに電話を取った。

「今井さんはいらっしゃらないかしら。私の資産についてちょっと確認したくてねぇ…」

電話口の女性は、上品な口調でゆっくりと話す。そして、朝子に代わりに調べてもらえないかと頼んできたのだった。

「少々お待ちください」

本人確認を済ませ、現在の状況を伝えるために詳細な取引を確認する。

しかし朝子は、思わず目を丸くした。

―え?この数字の単位は…百億円?こんな凄いお客さんが本店にはいるのね…。

自由が丘支店の時にはお目にかからなかった属性の顧客である。朝子は急に緊張してしまった。

丁寧に状況を報告し、静かに受話器を置く。

そして何の気なしに画面を閉じようと思った瞬間、ふと過去の担当者の名前が目に入った。

それは、朝子の前任者―。

今井亜沙子に引き継がれたのは、朝子が着任したのとほぼ同時期だ。

―これはもしかして…私が来る前に、属性の高いお客さんは亜沙子に抜かれていたってこと…?

朝子は急に胸がざわざわとしてくるのを感じた。

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