朝子と亜沙子 Vol.6

“数字至上主義“は、もうおしまい?「鉄の女」と呼ばれる冷酷非情な上司が見せた、もう1つの顔

ここはとある証券会社の本店。

憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。

そこでは8年前から目標としていた同期の美女・亜沙子が別人のように変わり、女王の座に君臨していた。

数字と恋をかけた2人のアサコの闘いの火蓋が、今切られるー。

念願の本店に異動になった朝子だったが、同期・今井亜沙子は、数字の出来ない先輩に土下座をさせた上に、後輩を追い込んで逃亡させるという傍若無人な女だった。

朝子は、そんな亜沙子に数字で勝つため仕事に励むが、亜沙子は紀之に手を出したりと、対抗心をむき出しにしている。


その日の朝、寺島課長の辞令を聞いて、本店全員が騒然とした。

―寺島 祐一 松山支店

管理職からは降格し、再び営業社員となる人事異動である。

おそらく通告があった後、いろんな人の証言により、寺島のこれまでの常軌を逸した行動が露呈されたのだろう。

そして同じ日、営業一課は、島村という新たな女性の課長を迎えていた。

年齢は40過ぎ位だろうか。島村はショートヘアにパンツスーツという出で立ちで、女性らしさを少しも感じさせない。

―前の支店では厳しすぎて鉄の女って呼ばれていたらしいですよ。

後輩のゆかりは、島村について事前に情報収集をしていた。朝子は、島村の姿を見た瞬間、ゆかりの言葉に納得してしまう。

―寺島課長以上のパワー系の上司だったら嫌だなあ…。

愛想笑いなんてしそうもない島村の顔を見ながら、そんな事を思っていた。

島村は着任早々、課員たちのお客さんの属性や、これまでの取引を早速念入りに調べている。

ちょうどその時、朝子の目の前では、亜沙子が高齢の顧客と思われる電話口の相手に向かって、ゆっくりと話していた。

「このあいだお話しした商品でいいんですよね?1,000万でいいんですよね?」

―あのお客さん、相当な高齢者なのかしら…?同じこと何回も確認して、話が噛み合っていないみたい。

朝子がそんな風に感じた直後、亜沙子が電話を切り、颯爽と島村課長の席に向かう。

そして、寺島に話しかけていたときのように、島村に向かって上から目線の口調で話し始めた。

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