LESS~プラトニックな恋人~ Vol.12

LESS:夫婦なんて、どこもイビツ。それなら御曹司の妻となり子どもを授かるのが幸せ…?

2017年冬、相思相愛だったはずの彼・健太からプロポーズされた美和子は、涙を流す。

ふたりの5年間に、何があったのか?

実はふたりは不完全燃焼の夜を境に“プラトニックな恋人”となっていた。美和子は思いをぶつけるが、レス問題は一向に解決しない。

30歳になり、美和子は学生時代の友人・茜に悩みを相談。御曹司・瀬尾を紹介され美和子は健太と別れることを決意家を出る

瀬尾と夜を共にした美和子は彼のマンションで生活し始めるが、強引に結婚話を進める瀬尾に焦った美和子は、一人暮らしすることを決意する。


届かぬ決心


昨夜も瀬尾さんは求めてきたが、私は初めて体調を理由に抱き合うことを避けた。

スマホ片手にブラックコーヒーを飲む瀬尾さん。その横顔を盗み見て、その表情が穏やかであることを確認した私はホッと胸をなでおろした。

−今なら、大丈夫かも。

やっと話せるタイミングを得た私は、意を決して口を開いた。

「瀬尾さん。あの、私…」

マグカップを机に置き、私に向き直る瀬尾さんは、今日も一糸乱れぬ隙のないオーラを放っている。

その射抜くような眼に、私は言葉の続きを飲み込んでしまいそうになる。しかしここで怯んでしまっては、もう二度と言うべきチャンスはないだろう。

「私、ここを出て一人暮らしをしようと思って…。ずるずると長い間厚意に甘えてしまったけど、一度ひとりになってゆっくり考える時間が欲しいの」

思いが伝わるように、私はゆっくりと、噛みしめるように言葉を紡いだ。

しかし瀬尾さんに、私の気持ちは一ミリも届かなかったようだ。

「何を言っているんだ、今更。ああ、わかった。週末に両親と会うのが不安なんだな。それは僕に任せてくれれば大丈夫だから、とにかく週末は空けておいてくれよ」

彼は呆れたように笑い、私が口を挟む余地なく一方的にそう言うと、飲み干したマグカップだけを残して家を出て行ってしまった。

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