リアル働きマン葉子!黒革の編集手帳 written by 内埜さくら Vol.18

2015年ヒット小説総集編:リアル働きマン葉子!(全話)

第10話:後ろめたい異性と会えば会うほど蟻地獄

梨沙は一見、地味な印象を与えるが整った顔立ちをしていた。目がとびきり大きいわけでも、鼻が高いわけでもないのだが、パーツがあるべきところにぴたりと収まっているというべきだろうか。

その、京太郎の大学時代の友人である梨沙に、「今夜だけ、おふたりのお邪魔しちゃ駄目ですか?」と、甘えるように言われたら、自分が断るわけにはいかない。

黙り込みうつむく京太郎の顔を覗き込み、「ねえ、たまにはいいんじゃない?」と勧めたのは、葉子自身にほかならなかった。

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第11話:“おばさん”扱いされた翌日に、「結婚前提」オファー!

「あなた、京太郎と同じ会社の人でしょ?」

訝しげな目で見つめ返す紗耶香を無視して、さらに言葉を重ねる。

「私、京太郎とはK大の同級生なの。会社帰りに偶然、見かけたんだけどあなたとなんだか揉めているみたいだったから、声をかけそびれて駅まで来ちゃったってわけ」

京太郎の出身大学を知っていた紗耶香は、同じ大学名を出されたことで心を許した。

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第12話:恋敵が告げる「彼、他の女とキスしたのご存じ?」

京太郎という恋人がいるのに、ほかの男に告白されてその答えを引き延ばす自分がずるいことは、充分に解っている。ただ、たった2回しか会ったことがないのに、才島に対してなぜか自然と心を解きほぐすことができている自分も、葉子は自覚していた。

それにこのごろ、京太郎の身辺が騒がしい。酔い潰れて自宅に泊めたという倉田紗耶香、おそらく京太郎が好きなのであろう、自分をおばさん扱いした槇本梨沙。そして、京太郎にはなにがあっても告げないと決めている“あの件”が、2人の存在とともに葉子の心に重くのしかかっていた。

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第13話:自宅で鉢合わせした本命彼氏とキープ男……

「家のなかで話そう」

 自分を説得しようとする京太郎を振り切り、葉子は弱々しい足取りで中目黒駅までの道のりをひとり、歩きながら考えていた。

 男が女より7歳年上のカップルなら問題視されることもないのに、逆の立場に置かれる状況がこんなにも辛いとは――。自分は京太郎という、年下の男の未来を奪ってしまうような存在なのだろうか。年齢差など、ふたりの間に愛情がかよい合っていれば、乗り越えられる問題ではなかったのか。そんな、出口の見えない感情の狭間をさまよい続け、抜け出せずにいた。

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第14話:なぜアラフォーは簡単に幸せになれないの……?

葉子が自分の知らない男と親しげにタクシーから降りてくる姿を目撃して1週間経つが、京太郎は葉子と連絡を絶ったままだった。

葉子と一緒にいた男は、同性の自分から見てもいい男だった。おそらく自分より年上だと思うが、貫禄と余裕に満ちあふれている印象で、顔の造作も男前の部類に入る。

果たして葉子は、あの男とどこまでの関係なのだろうか。もし、身体のつながりまであるとしたら――。

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第15話:毎日13時間労働のさなか、想定外の妊娠……!

おそらくあれは、夜9時をすぎていただろうか。やっとひと息ついたときに京太郎からの連絡に気づき折り返したが、「おかけになった電話は現在、電源が入っていないか……」というアナウンスが繰り返されるだけだった。

LINEも既読にならないし、LINE電話にも出ない。アナウンスの内容で着信拒否ではないことは把握できたが、葉子には、なんとしてでも京太郎に連絡を取らねばならない事態が起こっていた。

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第16話:戦闘モードな仕事&恋愛に疲れたアラフォーが最後に選ぶのは?!

京太郎が、見合いをして、自分以外の女性と結婚する――。

彼の父親からそう聞かされた瞬間、葉子はわしづかみされて取り出された心臓が、氷水に浸されたかのような、鋭さを持った衝撃に襲われた。胸がこれまで経験したことがないほど鼓動を早め、その強い鼓動はめまいにつながった。

実感がわかない。涙も出てこない。叫び出したいほどの哀しみに遭遇すると、涙すら出てこない事実を、葉子は初めて知った。

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第17話:東京と寝たアラフォー女が掴んだ幸せ……仕事も育児も恋愛も

妊娠がわかってからおよそ4年後。葉子が出産した男児は3歳になり、葉子は働きマンとしての人生を邁進(まいしん)していた。

とはいっても出産前のように、編集部に泊まり込んで徹夜で作業をしたり、休日を返上して働き倒すワークスタイルからは、いまは卒業している。

妊娠初期だった当時、葉子は働きすぎて切迫流産と診断されたため、有給休暇を消化して安静に努めていた。だが、休暇をすべて使い果たすころになっても体調が安定しない。そこで、いまは母体を大切にすべきだとやむなく辞職を申し出たところ、編集長に引き止められたのだ。

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