編集者・高嶋葉子(35)は、この道10年目の中堅、未婚、彼氏アリ。
東京で働く女性の苦悩とそのリアルな本音が大反響を呼んだ小説を、一挙に全話おさらい!
第1話:ステキなナンパと食事よりも大事なものとは?
カウンターで隣に座った彼の自己紹介によると、名前は中田厚彦というそうだ。年齢は39歳で、7大商社のうちの一社に勤務する営業マンだという。
「私、そんなに暇そうにしてたかしら?」と聞いたら、「あまりにも好みのタイプの美人がいたから、思いきって声をかけてみた」とのたまう。
嘘っぽいほめ言葉……。でもできればあと3回ぐらい言って!! ——と言う代わりに、
「うれしい。ありがとう」
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第2話:本命彼氏は年収320万円、年下。男は金を持つと変わるのか?
銀座でナンパしてきた中田と何事もなく別れた翌日の夜。二週間ぶりのデートだというのに、京太郎のひと言で、葉子は暗澹たる思いにとらわれてしまった。
せっかくランチもとらないで、机に一日中ずっと張りついて仕事を終わらせてきたというのに。
「来年あたり、親父の会社に入るかもしれない」
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第3話:“取らぬ狸の皮算用”と“笠地蔵”、女の選択は?
「さっき一軒目で、焼き鳥をたくさん食べたのに、また肉?」
「だって『藤八』に来たら頼まないと」
「葉子の大好物だもんなあ」
仕方ないか、という顔つきで、京太郎が目を細めて笑う。
中目黒の大衆割烹『藤八』から京太郎のマンションまでは徒歩5分。「飲み足りない」とねだって『佐々木屋 源八』から移動したが、結果として葉子は今夜、京太郎とすごすことを選択したことになる。
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第4話:お節介な既婚女友達からあてがわれる未来
会えば「早く結婚したほうがいいよ」と、直球で意見をいう大学時代の同級生松川亜由美とのランチ。
30の声を聞く直前に2歳年上の大学の先輩と結婚し、32歳で出産した亜由美は現在、専業主婦をしている。そしていまは、バリバリ働く葉子との月に一度のランチを楽しみにしていることが、独身時代と変わらない落ち着いた色合いのシックなワンピースで決めたその着こなしからも見て取れる。
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第5話:オンナの本能が目覚めるとき
玄関先で仲居に迎え入れられるという手厚いもてなしを受けて案内されると、テーブルをはさんで2人が座っている。
「はじめまして」。
葉子が着席したと同時に声をかけた才島の親しみあふれる笑顔に、「あのツタンカーメンの……」という言外の思いが滲んでいるようで、葉子は赤面しそうになると同時にやや驚いた。テレビや雑誌で見る以上に、才島がいい男だったからだ。
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