リアル働きマン葉子!黒革の編集手帳 written by 内埜さくら Vol.5

リアル働きマン葉子!オンナの本能が目覚めるとき

前回までのあらすじ

食雑誌である『月刊東京ウォーキング』の編集者・高嶋葉子(35)は、この道10年目の中堅、未婚。学生時代の友達から強制的にお見合いをセッティングされる。

年収320万円の年下彼氏は、実家の会社を将来的に担っていく幹部候補生。実際、その事実は葉子を不安にさせている。

そんななか出会う男とは……?!

さすが飲食店コンサルタントが選んだお店だけあって素敵——。

待ち合わせ場所である神楽坂『虎白』の、瀟洒で重厚感ある門がまえを前に、葉子の心は浮き立った。

亜由美に「もう紹介するって才島さんに約束しちゃったから」と押し切られる形ではあったし、貴重な時間を割いてまで紹介してもらうほど寂しいわけでも、飢えているわけでもない現状であることは事実だが、才島が葉子を女性として大切に扱ってくれているような気がして、素直にうれしい。

店内にはすでに、亜由美と才島が到着しているはずだ。「お互い間接的に顔は知っているけど、待ち合わせして駅から一緒に歩く初対面は粋じゃないわよね。店で待ち合わせして偶然、道で会ってもきまりが悪いでしょうし」という、亜由美のはからいだった。

玄関先で仲居に迎え入れられるという手厚いもてなしを受けて案内されると、テーブルをはさんで2人が座っている。

「はじめまして」。

葉子が着席したと同時に声をかけた才島の親しみあふれる笑顔に、「あのツタンカーメンの……」という言外の思いが滲んでいるようで、葉子は赤面しそうになると同時にやや驚いた。テレビや雑誌で見る以上に、才島がいい男だったからだ。

意思が強そうな、目尻に向かって上がり気味の太い眉とは対照的な、人懐っこそうな二重の目。男らしい、がっしりとした高い鼻に、口角が上がった厚めの唇。広い額を潔く見せたこざっぱりとした短髪が、顔の作りのよさをさらに引き立てている。

話の接穂を失いそうになった葉子に助け舟を出すかのように、亜由美が場をとりなす。
「才島さん、葉子、写真どおりのいい女でしょう? 大学時代はけっこう、モテてたのよ」
「やだ亜由美、そんなに持ち上げないでよ。恥ずかしい」
「だって本当のことじゃない……って、葉子は気づいてなかったかもしれないけど、かなりいたのよ、あなたのファン。葉子は1つのことに夢中になると、周りが見えなくなるから。ま、そこがいいところでもあるんだけど」
「嘘、嘘。そんなにほめたってなにも出ないわよ」

女同士でポンポンと小気味よく続く会話を、才島はにこにこと黙って聞いている。

「いい女で仕事もできるのに、恋愛とか結婚のこととなるとぼんやりだから私、心配になっちゃうのよ。目が大きくて愛嬌がある顔してて、上の下の美人だと思いません? 才島さん」

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