
~これからの世界における日本の戦い方。IT化が変えた働き方と、進化のスピード~
キャリアに廻り道はない
すべてが糧になる
金丸:私が最初に入ったのは、コンピュータを使った会計サービスを提供するTKCという会社でした。入社後はすぐコンピュータをやるものと思っていたら、しこたま会計をやらされるわけですよ。仕事が終わった後に簿記学校に通って……。
夏野:金丸さんたちの世代は理系や技術系の人しかコンピュータに触れていなかったと思います。でもそこで会計をやっていたからこそ、コンピュータはビジネスに対して汎用的な可能性があると感じて、その方向へ進んだんですよね。
金丸:そうですね。そのサービスを巨大なコンピュータで行っていたのですが、しばらくして世の中にパソコンが登場したときは、本当に驚きました。そして、パソコンの開発がしたいと転職したんです。転職先では16bitパソコンの開発リーダーとして、某メーカーにOEMを提供していたのですが、それだけだとつまらない。だから、自分でエンドユーザーを開拓しようと営業にも行きました。その一つがセブンイレブンだったのです。
夏野:それは面白いですね。
金丸:その後、全店舗の特注パソコンを受注することができました。なぜ受注できたかというと、TKCでの経験が大いに役に立ったのです。当時は公認会計士でも馴染みの薄かった、フランチャイズ会計という仕組みがあることを、僕は知っていました。数少ないフランチャイズビジネスをされているお客様を持っていたからです。
夏野:なるほど。そこで会計の勉強が活きたわけですね。
金丸:理系エンジニアチームなのに会計のわかるチームだったため、セブンイレブンとスムーズに話をすることができました。そうして店舗会計のアプリケーションを作りました。
夏野:どれくらいの期間で作ったのですか?
金丸:2週間です。
夏野:2週間! それはすごいですね。