
~これからの世界における日本の戦い方。IT化が変えた働き方と、進化のスピード~
現状維持が最も過激
変えないことが最大のリスク
夏野:元気のない企業がたくさんありますよね。そこに一刻も早くプロの経営者を投入するべきです。
金丸:もう井の中の蛙はやめようよということですね。
夏野:だから、クリストフ・ウェバー氏を社長兼最高執行責任者に招いた、武田薬品の長谷川さんはすごい決断をしたと思います。20年後、30年後に武田は正しかった、と確実に言われるでしょう。
金丸:実際にカルロス・ゴーン氏は日産の経営を立て直しました。サントリーも同族経営の流れから、今回新浪さんに経営がバトンタッチされました。
夏野:英断ですよね。新浪さんはダボス会議でもご一緒する機会が多いのですが、日本では数少ない、ひとりで国際的に勝負ができるリーダーです。そういう人間じゃないと、やっぱりグローバル企業は経営できません。
金丸:日本企業が抱えている最大のリスクは、環境が変わっているのに会社を変えようとしないことです。環境の変化に縮こまってしまい、無理して変えるよりも変えないほうがいいんじゃないかと思っている経営者が実に多い。これでは世界とは戦えません。
夏野:現状維持は最悪です。周りの環境が変化しているに、現状を維持するということは、結果的に退化になってしまいます。
金丸:あとは、経営者がこれ以上政府に甘えずに、自分でがんばるということです。
夏野:今はむしろ政府が、社外取締役を増やせと言っています。同一賃金同一労働も年功序列賃金体系の見直しも、すべて政府に言われているという現状です。とにかく民間の動きが鈍い。これははっきり言って、会社の将来をまったく考えてないということです。競争力をつけるためには、経営者は多様性があるほうがいいに決まっている。それを拒否するということは、つまり自己保身としか考えられません。
金丸:今こそ民間が、そして経済界が覚悟を決めなくてはなりません。