2023.03.02
もう片隅で、凍えないよう Vol.12きっかけは、1遍のエッセイだった―。
『私の、忘れられない冬』
ライターの希依(28)は、WEBエッセイに自身の過去を赤裸々に綴った。
その記事の公開日、InstagramのDMに不思議なメッセージが届く。
「これって、青崎想太くんのことですよね?LINE、知ってますよ」
平和だった希依の人生が、めまぐるしく変わっていく―。
「もう片隅で、凍えないよう」一挙に全話おさらい!
第1話:「もう無理」と、イブに突然フラれた女。数年後、謎のDMが届いて…
「“忘れられない冬”だよね…」
人気女性誌のWEBページに『私の、忘れられない冬』というエッセイを書いてほしいと、依頼が来ていたのだ。あさってまでに、原稿を出さなくてはいけない。書く内容はおおむね決まっていた。「忘れられない冬」といえば、たったひとつのことしか思い浮かべられないからだ。
― 想太…。
頭にあるのは、想太との、あの冬のエピソード。
― でも、元カレの話をエッセイに書くなんて、正介は嫌がるだろうか。
第1話の続きはこちら
第2話:結婚していても、忘れられない人はいる。元カレに、4年ぶりにLINEを送ってみると…
『この「彼」って、青崎想太くんのことですよね?』。
突如届いたDMを、希依は何度も読み返した。
「急にDMしてきたけど…この人、いったい何者なの?」
恐怖に顔を歪めながら、送り主のプロフィールを確認する。アカウントを開いてみると、アイコンは黒一色の画像だ。しかも投稿数は0件。
― これじゃあ、誰なのか見当もつかないよ…。
第2話の続きはこちら
第3話:元カレと4年ぶりの再会。「未練はない」と確信していたのに、彼の“ある言葉”に動揺し…
― LINEの相手が想太じゃなかったら、どうしよう。
なにかの罠だったら怖いと思い、今日は、咲と顕彰に立ち会ってもらうことにしていた。
広尾駅前で咲と顕彰と合流し、タクシーに乗り合わせ、想太の最寄り駅だという阿佐ヶ谷に向かう。
15時。3人で指定のカフェで待っていると、数分経ったところで「お待たせ」と声がした。
第3話の続きはこちら
第4話:優しかった彼が、急に冷たくなったのはなぜ?4年ぶりの再会で彼が明かしたまさかの理由
― 私のエッセイのせいで、想太が彼女とケンカしてたらどうしよう。
思わずソワソワしてしまう。
「彼女さん、なにに怒ってたの…?」
「希依は気にしなくて大丈夫だよ。電話で呼び戻されるのはいつものことなんだ。どうして、希依がそんなにソワソワするの?」
想太がおかしそうに笑うので、希依は白状する。
「さっき顕彰がね、『あのDMは、想太の彼女が送ってきたんじゃないか』って言ったの」
第4話の続きはこちら
第5話:「お前の彼女、奪ってもいい?」友達からのありえないお願いに、男がOKを出した理由とは
『顕彰:希依から聞いたよ。お前、あんなに好きだったのに、なんで希依をふったの?あいつ泣いてたよ。なんで希依をそんな適当に扱うの?クリスマスイブを忘れるって、なに?』
想太は震える声で、その内容を口にした。まるでいま目の前にあるLINEを読んでいるかのように、はっきりと。
諳んじるほどに、そのLINEを繰り返し思い出してきたのだろう。それがありありとわかるから、また希依は泣きそうになる。
「…そうだ、私、咲と顕彰にグループ電話で泣いて訴えた。想太がひどいって…。ごめん」
「ううん、そりゃ訴えたくもなるさ。それでね希依、顕彰のメッセージには、続きがあったんだ」
第5話の続きはこちら
第6話:近所の男友達と、2人で飲んだ帰り道。マンションのエントランスに夫が立っていて…
広尾駅から数分のところにある和食居酒屋に行くと、顕彰は先に着いていて、ビールをあおっていた。
「わりい、お先に飲んでた。喉乾いてさ。にしても、2人で会おうなんて珍しいね?」
「そうだね、急にごめんね。咲には断っといたから」
「別に断らなくていいよ」と顕彰は笑った。希依も、ビールを注文する。乾杯をすると、顕彰が身を乗り出した。
「話したいことってなに?ちょっと怖いんだけど」
「実はね、想太と話したの。あの冬のこと。顕彰が、想太に送ったLINEの話」
第6話の続きはこちら
第7話:「元カレとは、もうただの友達」既婚者になった女が、そう思って2人きりでお茶したら…
「想太が別れたのって、希依と再会したことと関係あるんじゃない?希依、実は想太となにかあったとか?元に戻りそうになってない?」
決めつけるように言う咲に、希依は珍しくむっとした声色で答えた。
「なんにもないよ。私には正介がいる。想太とは、2人で昔の話をちょっとしただけ」
再会した日に想太と随分長く話し込んだことや、しまいに泣いてしまったことは、咲には内緒にした。咲が「既婚者のくせに未練がましい」と責めてくるのがわかっていたからだ。
バスタブのへりに腰掛けると、咲は低い声で話し始めた。
第7話の続きはこちら
第8話:「これで会うのは最後にしよう」そう言い合った男女が、数分後にとったまさかの行動
「怒られるとは思ったけど、咲以外にしか話せないから相談してるの。だから咲、そんな顔しないでよ」
「…わかったわよ。でも相談ってなに?」
「私、どうしたらいいのかなって」
咲は、冷笑した。
「え?旦那さんのことも好きだけど、想太のことも好きだから、どうしたらいいかって?なんか希依、楽しそうでいいね」
嫌味っぽい言葉が、希依の胸をチクリと刺した。
第8話の続きはこちら
第9話:夫に内緒で元カレに会ってきた女。帰宅後、夫に「あるコト」を気づかれ、冷や汗が…
着替えもせずに寝室のベッドに横になっていた希依は、体を起こし、立ち上がった。罪悪感から無意識に、想太にキスされた唇を指先で拭う。
「寝室にいたんだ。玄関しか電気ついてなかったから、いないのかと思った。ただいま」
「お、おかえり」
「…どうしたの?それ」
正介が、希依をじっと見ながら首をかしげる。希依には、質問の意味が読み取れない。
「え。どうしたのって、なにが?」
第9話の続きはこちら
第10話:「今、君の家の近くにいる」突然LINEしてきた元カレが、お願いしてきた”ある行為”とは
『想太:一瞬でいいから会いたい。いま、広尾にいるんだけど』
想太からのLINEメッセージが、希依の脳内で、柔らかい声色とともに再生される。大学時代から長いこと聞いてきた、優しくて深みのある声で。
― もう会わないって決めてたけど…。
窓の向こう、しきりに振り続ける雪を睨む。
― こんな雪空の下で追い返すわけにはいかないか。
会わないと心に誓ったはずなのに、どうしても放っておけなかった。
第10話の続きはこちら
第11話:親友の住むマンションから、なぜか部屋着姿の夫が出てきて…。女が青ざめた、まさかの事実
「正介こそなんでここにいるの、フ…フライトは?」
「いや、まあ」
正介は混乱した様子で、希依から咲へと目線を移す。咲は、なにも言わずに正介を見つめ返した。3人は三角形を作って立ち尽くし、しばらく沈黙する。
「なんか言ってよ。正介」
希依が促すとようやく正介は、小さな声で口を開いた。
「実は、俺と咲ちゃんは…」
第11話の続きはこちら
【もう片隅で、凍えないよう】の記事一覧
2023.03.03
Vol.13
「なにこれ?」同棲初日。彼の段ボールを誤って開封したら、まさかのモノが入っていて…
2023.02.17
Vol.10
「今、君の家の近くにいる」突然LINEしてきた元カレが、お願いしてきた“ある行為”とは
2023.02.10
Vol.9
夫に内緒で元カレに会ってきた女。帰宅後、夫に「あるコト」を気づかれ、冷や汗が…
2023.02.03
Vol.8
「これで会うのは最後にしよう」そう言い合った男女が、数分後にとったまさかの行動
2023.01.27
Vol.7
「元カレとは、もうただの友達」既婚者になった女が、そう思って2人きりでお茶したら…
2023.01.20
Vol.6
近所の男友達と、2人で飲んだ帰り道。マンションのエントランスに夫が立っていて…
2023.01.13
Vol.5
「お前の彼女、奪ってもいい?」友達からのありえないお願いに、男がOKを出した理由とは
2023.01.06
Vol.4
優しかった彼が、急に冷たくなったのはなぜ?4年ぶりの再会で彼が明かしたまさかの理由
2022.12.30
Vol.3
元カレと4年ぶりの再会。「未練はない」と確信していたのに、彼の“ある言葉”に動揺し…
2022.12.23
Vol.2
結婚していても、忘れられない人はいる。元カレに、4年ぶりにLINEを送ってみると…
おすすめ記事
2023.02.24
もう片隅で、凍えないよう Vol.11
親友の住むマンションから、なぜか部屋着姿の夫が出てきて…。女が青ざめた、まさかの事実
- PR
2024.10.04
今年の3連休はあと2回!“おこもりデート”にぴったりな、箱根の温泉付きホテルとは
2018.03.05
婚活は、ビジネススクールで!?
婚活は、ビジネススクールで!?:一般職なのに、まさかの昇進?27歳女に訪れた人生の岐路
2021.01.09
男と女の答えあわせ【Q】
盛り上がっていたのに、デートの途中で突然席を立った男。電話をかけていたまさかの相手とは…
2022.01.18
ニューノーマルな男と女
コロナ禍を生きる、男と女の物語。「ニューノーマルな男と女」全話総集編
2017.02.17
五反田ラバー
いよいよ明日で最終話!「五反田ラバー」全話総集編
2020.01.08
恋するマザー
突然、分厚い封筒を差し出され…。お金に困っていると思われ、同情された妻
2019.08.12
人生の定点観測~東京女の就活事情~
「美人で“適度に働く子”が、男の理想」エリート商社マンの本音に愕然とした女
2019.08.29
オンナの金遣い
元読モが語る「インスタの闇」。SNSマウンティングから抜け出すのに使った300万とは
2018.02.10
デートの答えあわせ【Q】
草食男子の正しい落とし方。女からの誘いに乗り気だった男が冷たくなったワケ:デートの答えあわせ【Q】
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"