「女の敵は女」
よく言われる言葉ではあるが、これは正しくもあり間違ってもいる。
女の友情は、感情が共鳴したときに強くなる。逆に感情が衝突すると亀裂が生じ、情も憎しみへと変化する。
この亀裂をうまく修復できなったとき、友人は敵となる。
だが、うまく修復できれば関係性は、より深いものになる。
ここに、性格が正反対のふたりの女がいる。
ひょんなことから東京のど真ん中・恵比寿で、同居を始めたことで、ふたりの運命が回りだす…。
「恵比寿Sisters」一挙に全話おさらい!
第1話:35歳独身女がセレブ妻になった同級生と再会。彼女が放った高慢なひと言に…
35歳の今に至るまで、生活のすべてを仕事に捧げてきたが後悔はない。
たまに自分へのご褒美を購入するくらいで、貯めた蓄えは、億を優に超えるこの物件の頭金にした。ローンも30年以上ある。でも、心は満たされている。
『ピンポ~ン♪』
諒子が上機嫌で2杯目のワインをグラスに注ごうとすると、突然インターホンの音が部屋に響いた。
荷物が届く予定はないはず…。首をかしげながら、玄関モニターを覗くと――。
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第2話:「バーキンを見せびらかす女って嫌味よね」庶民派ママから同意を求められた、35歳独身女の答えとは
ここ最近、諒子は多忙で帰宅が深夜に及んでいた。そのため、話し合いの時間をまったく取れずにいるうちに、マリの家具が諒子の家へと運び込まれてしまった。
「ちょっと、諒子。なんなの、彼女!」
千奈津が、頭から湯気を出しながらデスクに近づいてきた。彼女は、諒子とマリの再会のきっかけを作った、スポーツ局にいる同僚だ。
「マリさん、離婚なんてひと言も言ってなかったのに…。接待して損した!」
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第3話:「悔しければイイ男を捕まえさいよ」夫の金で浪費三昧の妻の言葉に、頭にきた女は…
諒子がマリと同居を始めて、数週間。離婚問題でマリのまわりは相変わらず騒がしいが、当の本人はどこ吹く風だ。
なんだかんだで楽しさをおぼえ始め、なおかつ彼女は家事をしてくれる。そんなメリットもあり、腹をくくって同居を受け入れた矢先……。
衝撃的な再会が、またも諒子に訪れた。
「屋敷錠、です。ええと…お久しぶり」
仕事場に現れた退廃的な色気の男の笑顔に、諒子は撃ち抜かれた。
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第4話:学生時代に好きだった彼と久々のデート。だが、待ち合わせ場所で女が幻滅したこととは
「ははっ。まさか昔、諒子が5分遅れただけで怒って帰ったのをまだ気にしているの?」
諒子が恐る恐るうなずくと、錠はクシャっとした笑顔を見せた。
「大丈夫、俺も大人になったんだよ」
その頼もしい言葉に彼の成長を感じ、諒子はホッとする。
「 …で、どこ行くの?」
諒子は、期待に胸を膨らませながらその答えを待つ。しかし返って来たのは意外なセリフだった。
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第5話:彼の部屋で見つけた“あるもの”に疑念を持った女。真相を確かめるべく問い詰めると…
午前6時。錠の横で諒子はいつもの時間に目が覚めた。彼を起さぬよう家を出る準備をしながら、本棚やオーディオラック、パソコン周りなどを眺める。
― パルプ・フィクションのDVD、まだここにあるんだ…。
ラックの一番上の一番隅。彼が敬愛する監督の映画が、13年前にあった場所とほぼ同じ位置にあることが嬉しかった。何気なく手に取ってみると…。
「あれ?」
埃だらけのDVDケースをあけると、ピンク色の付箋が中に貼りついていた。
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第6話:「私の彼にまで手をだしていたなんて…」親友の告白に困惑した35歳女は…
『マリが錠と過去に関係を持っていた』
マリにとっては、なんてことないことだろう。だが、諒子はどうしても重く受け止めてしまう。
― 私の恋を応援するフリしてバカにしていたのかな…。
マリに対する不信感が募る。諒子はその日、眠りにつくことができなかった。
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第7話:離婚間近の35歳女が向かったのは、夫以外の男の部屋。その驚きの口実とは
「マリさん、すでにイイ人がいるらしいわよ。先週、白沢クンが離婚問題を探るつもりで彼女をお誘いしたら、脚本家の男性のおうちだって断られたみたい」
「え、脚本家…?」
嫌な予感がする。喧嘩の勢いでヤケになり錠の元に押しかけたのか…。
「ねえ、白沢クンがデートを断られたのって、いつ?」
「さぁ…。木曜の夜って言っていたかな」
先週の木曜は喧嘩し、マリが朝まで帰ってこなかった夜だった。
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第8話:「もう無理…」夫と久々に密室でふたりきりに。そのとき男が放った衝撃のひと言とは
「ただいまー」
玄関に入るなり、諒子は声を上げた。きっと、マリは「どうだった?」とニヤニヤしながら出てくるだろうと予想していた。
― あれ…?
何も応答がない。玄関でマリの靴を確認すると、その隣には巨大なバレンティノのスニーカーがあった。白沢のものだろうか。本人談だが、彼とは「イイ感じ♡」だと聞いている。
― 家主の私が気を使って外でお泊まりしてきたというのに…。
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第9話:「そんな自分勝手な理由で…」離婚理由に納得できない女が男を追い詰めると…
シェラトン都ホテル東京の『ロビーラウンジ バンブー』。
取材は15時からのはずだが、諒子は少々早めの時間に来て待ち伏せする。後ろめたいが、この機会を逃すことはできなかった。
― きっと、彼は約束より早く来るはずよね。
諒子は、マリがホテルジプシーをしていたときに、発言していたことが頭に残っていた。『夫とホテルラウンジでのんびりしながら人を眺めるのが好きだった』という話。
その言葉を信じて、企画書作成など仕事をしながら、諒子は静かに待った。
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第10話:タクシーで家に帰ったはずの彼氏が別の場所に!?アプリ決済で判明した男の嘘
「私は現場を離れるけど、時間空いたら、錠を捕まえて相手してあげて。彼、きっと暇だと思うから」
「オッケー」
プロデューサーの諒子は、スタジオとテレビ局を行ったり来たりするほど、仕事が山積み。その日も一旦局で打ち合わせが入っていた。そして、3時間後。現場に戻って来ると、真っ青な顔のマリが諒子に近づいてきた。
「ちょっと、聞いて諒子、大変よ、錠くんが…!」
続く言葉に、諒子は耳を疑った。
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第11話:浮気を繰り返す男との別れを決断した女。その矢先、追い打ちをかける悲劇が…
―『あのコのこと、大好きになっちゃった』―
先日、そんな言葉で恋人の錠から別の女性を好きになったことを知らされた。
アルコールが入っているときの発言なので、いつもの諒子なら、傷つきたくないという思いから聞かなかったフリでやりすごしているところ。
しかし、マリの言葉で火がついたのだ。
― 今のうちに、真剣に問い詰めておかないと。
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第12話:「妊娠しました」彼にLINEで告げるも音沙汰なし…。堪りかねた女が自宅へ乗り込むが…
― どうしよう…。
子どもの父親は、錠で間違いない。諒子には、子どもを持ちたいという気持ちは以前からあった。錠と早く結婚したかったのも、恋愛感情だけでなくその気持ちがあったからだ。その矢先の、今回の出来事。
一方、仕事でも、ずっと願っていた自分の企画を実現できることになったばかりだ。子どもを生むことになったら、そのチャンスを逃すことになるかもしれない。そのことを思うと、『中絶』という二文字が頭を過ぎる。
― もし、私がそうしたら、マリは…。
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