2022.10.19
柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.23フランスのボージョレ地区でその年に採れたぶどうを醸造する新酒ワイン、ボージョレ・ヌーヴォー。
秋の深まりもいよいよ頂点に達する11月に、その解禁日はやってくる。
だが、ボージョレはヌーヴォーだけではない!解禁日は、今年注目すべき“この1本”で乾杯しよう。
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専門誌からライフスタイル誌まで、幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト・柳 忠之氏。
柳氏が東京カレンダーでワイン連載の担当となって5年目。ワインの勉強に日々奔走する編集・嵩倉の質問に、いつも親身になって答えてくれる。
今年はヌーヴォーに異変価格は去年の4割高!?
――柳さん、今年もまたボージョレ・ヌーヴォーの季節がやってきますね!
柳「う〜む。」
――あれ?何を浮かない顔してるんですか?
柳「残念ながら今年のボージョレ・ヌーヴォーは、去年までのようにどこでも気軽に買えて、わいわい楽しめるようにはならないかも。」
――えっ!なぜなぜ?
柳「円安の上に輸送費の高騰で、例年と比べて4割以上の値上げが予定されてるから。」
――きゃ〜、4割以上も。今年もお祭り気分で、ボージョレ・ヌーヴォーを楽しもうと思ってたのに。
柳「だからさ、それだけの金額が出せるなら、同じボージョレでも別の選択肢があるよね。」
――えっ、ボージョレってみんなヌーヴォーじゃないんですか?
柳「車のミニが全部ミニ・クーパーではないのと同じように、ボージョレがすべてボージョレ・ヌーヴォーってわけじゃないよ。ヌーヴォーは“新酒”という意味。」
――今まで知りませんでした!
フランスのガメイ
「Château des Jacques Moulin à Vent 2019(シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン 2019)」
造り手は、ボーヌのルイ・ジャド社が1996年に傘下に収めたボージョレのシャトー。
前オーナーの時代から、フルーティで早飲みのワインを造るために使われるカーボニック・マセレーションをせず、ブルゴーニュの伝統的製法を貫き、ものによっては50年以上の熟成にも耐える。
4,070円/日本リカー TEL:03-5643-9770
◆
柳「では問題。ボージョレのブドウ品種はなんでしょう?」
――……。(無言)
柳「ガメイだ。昔はブルゴーニュにもたくさん植えられていたけど、14世紀末にブルゴーニュ公国のフィリップ豪胆公が、「駄酒しかできないガメイは引っこ抜いて、ピノ・ノワールを植えるべし」とのお触れを出した。
それもあってガメイは二流のイメージがつきまとっているけれど、ブルゴーニュの冷たい粘土石灰質土壌ではうまく育たなくて当たり前。
一方、ブルゴーニュの南にあるボージョレ地区は、土壌が温かな花崗岩質でガメイの栽培にはぴったりだ。
とくに「ムーラン・ア・ヴァン」や「モルゴン」など、クリュ・ボージョレと呼ばれる上級品の中には、素晴らしいお宝ワインがざっくざく。
最近は高くなるばかりのピノ・ノワールに見向きもせず、美味しいガメイをひたすら探し求め、自らを「ガメラー」と称する熱狂的ファンもいるほどだよ。」
それでもヌーヴォーは来る!今年の解禁は11月17日!
今年は夏の気温が高く、乾燥しているので期待大。
写真はアルベール・ビショー「ボージョレ・ヌーヴォー2022」2,541円/メルシャンお客様相談室 TEL:0120-676-757
◆
――それで、柳さんおすすめの、ヌーヴォーではないボージョレは?
柳「まずはシャトー・デ・ジャックの「ムーラン・ア・ヴァン」を試して欲しいね。今から20年以上前、目隠し試飲で出されて、恥ずかしながら「ジュヴレ・シャンベルタン」と答えてしまったワイン。
熟成のポテンシャルも高く、早飲みが主流の一般的なボージョレとはまったく別物と言ってよい。」
――では嵩倉もいっぱしの“ガメラー”目指して、今年の解禁日は「ムーラン・ア・ヴァン」で乾杯します!
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