2022.07.05
こんな僕のファム・ファタル Vol.12「女は所詮、金やステータスでしか男を見ていない」
ハイステータスな独身男で、女性に対する考え方をこじらせる者は多い。
誰も自分の内面は見てくれないと決めつけ、近づいてくる女性を見下しては「俺に釣り合う女はいない」と虚勢を張る。
そんなアラフォーこじらせ男が、ついに婚活を開始。
彼のひねくれた価値観ごと愛してくれる“運命の女性”は現れるのか―?
「こんな僕のファム・ファタル」一挙に全話おさらい!
第1話:年収5,000万のこじらせ男が、アプリで出会った33歳のさえない女に翻弄され…
女は、男を楽しませるあたりさわりのない会話ができ、場を彩ることのできる美しさと、その先を期待させるほのかな色気があれば、それで十分なのだ。
明人は結婚しておらず、彼女もいない。この数年で地位と金を手に入れた彼は、その途端に手のひらを返すように寄ってきた女たちに辟易している。
だからこそ、女なんてそんなものだと割り切っており、金を払えば適当に楽しませてくれるような相手が自分にとって都合がいいと思っているのだ。
明人は両脇に美女を従え、鼻の下を伸ばす。だが、輪の片隅に、呆れ顔で彼を眺めている人物がいた。明人の会社の専務で側近、友人でもある久保康史だ。
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第2話:2回目のデートでここ…?経営者との婚活アポで、古びた大衆酒場に連れてこられた女は思わず…
<―つきましては、謝罪がてらお会いさせていただけたら幸いです。アキヒト様もお忙しいと存じますので、指定のお日にちがあれば調整いたします>
― なんだよ…無理矢理会う方向に持ってきやがって。
当然、明人にはもう彼女と会う気はない。だが、ここまでの長文を送られ、既読もつけてしまっているとなると、ビジネスマンの性で無視するのは気が引けた。
<はい、時間があれば>
とりあえず、明人はそっけなく一言だけ返信した。心中察してほしい、と念じながら…。
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第3話:「僕が君を格安店に連れていった理由わかるよね?」デートの帰りに男から脈無し発言された女は…
「マイさん、外食、あまりしたことないでしょ?」
「いえいえ。むしろ毎日外食です。料理苦手で、仕事から帰ると作る気がしなくて」
嫌味を率直な言葉で返され、明人は面食らった。しかも、こういう時にも男ウケする回答ができない彼女にまたしてもいらだってしまう。
― それにしても、仕事しているんだな…。
尋ねると、スタートアップの小さな教育系企業で働いていると彼女は答えた。マイは、アプリのプロフィールには職業も年収も登録していなかった。そのうえ呼び出しにすぐ応じ、約束も時間帯問わず調整可能と言っていたので、実は無職なのだと思い込んでいた。
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第4話:“会社社長”を切り札にこぎつけた憧れの美女とのデート。男が屈辱を受けた予想外の出来事とは
「へぇ…社長さんって、すごい生活をされているんですね」
「そんなことないさ。経営者なんて、そこらへんにゴロゴロいるし」
美女の羨望のまなざし。それは明人にとって社長就任の最上のご褒美だった。
「あれ…アキヒトさん?」
恍惚の中、背後からどこかで聞いたことのある声が聞こえる。デートの高揚感から、明人はこの店を選んだ理由をすっかり忘れていた。
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第5話:食事会で意中の人が美女とイイ感じに…。彼を取られたくないあまり、女が皆にばらした彼との秘密
― マイが東大卒?しかも経営者、って…。
東京タワーの絶景を臨むイタリアンで美女とのデート。浮かれ気分が、急転直下、エリートたちと席を共にすることになり、肩身の狭い思いをすることになるとは思ってもみなかった。
「まぁ。だから、3人の話しぶりに知的さを感じるわけですね」
先ほどまで自分が独占していた恭香の笑顔は、マイwithBたちに向けられている。明人は無理やり口角を上げているが、その奥では歯ぎしりが止まらなかった。
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第6話:「2軒目とホテルの予約も完璧…」憧れの美女をモノにしようと臨んだ決死のデートで男を襲った悲劇
少年期を過ごしたバブル時代。おしゃれな大人たちはみな水色の紙袋を手にしており、美しい女性の胸にはそのブランドのネックレスが輝いていた。
愛する女性には、自分が選んだ品物を着けていてほしい―。支配欲、といったらそうなのかもしれないが、それは漠然とした憧れだった。
明人は彼女の喜ぶ顔と、オープンハートが光る胸元を想像する。
しかし、例の夜におやすみLINEを送って以来、恭香からの返信はない。2週間も経っているのに…一体どうしたんだろう。明人は戸惑いを隠せずにいた。
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第7話:「こんな女、大嫌いなはずなのに…」ムードあるバーで2人きり、こじらせ男をオトした女の一言とは
失恋の傷はまだ癒えていない。それゆえ最近は毎日のように久保に一杯付き合ってもらっている。
「ま、恭香さん今でも超美人なんだろ、パートナーがいない方がおかしいよ」
何の助けにもならない久保の慰めを耳にしながら、明人は死んだ目で番組を眺めていた。だが突然、電気ショックを受けたかのようにビクッと体を起こす。
「どうしたの、明人さん」
画面の中には、明人が尊敬する社長たちと親しげに話すマイの姿があったのだ。
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第8話:“ナシ”な女と酒の勢いでベッドを共にした男。フェイドアウトを試みるが、彼女のことが忘れられず…
― 俺は…なんということを…。昨日の夜はどうかしていた。
目覚めてはっと我に返るが、マイと一夜を過ごしてしまったのは抗えない事実だ。隣には彼女が寝ているだろう。どんな顔で対面したらいいのかわからず、起き上がるどころか寝返ることもできない。
「…起きてる?」
明人はあえて普通に声をかけ、何事もなかったかのようにやり過ごそうとした。しかし…。マイはもうそこにいなかった。
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第9話:「子どもを産むなら若いほうが」付き合いたての恋人の無神経な発言に、アラサー女は…
マイとの交際開始から1ヶ月ほど。
久保が言うには、明人はこれまで名前だけではじいていた女性エンジニアの採用を決めたり、女性社員にだけ押し付けていたアシスタント業務や雑用を、全社員に分け隔てなく依頼するようになっているらしい。自分でも、心が穏やかになった感覚も多少はある。
― さて、今日は彼女もノー残業デーと言っていたな…。
マイの会社に倣い、明人の会社も完全ノー残業デーを採用することにした。今日はその初日だ。明人は、マイのためにとっておきのレストランを予約していた。
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第10話:美人モデルに過去のセクハラを暴露された男。「パパ活狂いおじさん」と叩かれた怒りに任せて…
件の女性の告白を皮切りに、明人から高圧的な態度を受けたという女性社員や、入社面接でセクハラまがいの質問を受けたという女性たちが追随した。
一連の投稿には#Metooとハッシュタグが付けられ、まれにみる大騒ぎとなってしまったのだ。
「明人さん、しばらく会社には来ない方がいいです。ビルの前にカメラ持っている変な奴がいるし、クレームの電話も鳴りやまないので…」
久保からの連絡を受けた明人は、マイの家で待機することにした。マイはいつも通り仕事へ行っている。
「しばらくって、どのくらいだよ…」
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第11話:不祥事で退任したIT社長。「私が養ってあげる」という彼女の逆プロポーズにプライドをへし折られ…
「私がしっかりしていればいいじゃない。いざという時には養ってあげるし、守ってあげる」
「…」
これがマイの優しさであることは理解している。しかし、わずかに残った男としてのプライドが、どうしてもそれを受け入れることを拒否するのだ。
「いっそ、結婚でもしちゃう?」
夕飯のメニューを提案するかのようにあっけらかんと告げるマイ。その軽さに反抗するように、明人は咄嗟に一言返してしまうのだった。
第11話の続きはこちら
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