2022.01.09
シアワセの最適解~世帯年収3,600万の夫婦~ Vol.11年収が上がると比例して、私たちはシアワセになれるのだろうか―?
これを語るうえで知っておきたいのが「限界効用逓減の法則」。
消費される財の数量が増加するにつれて、その追加分から得られる満足感は次第に減少するという意味の経済用語だ。
年収も実は、それと同じだと言われている。
幸福度が最も高い年収は800万円(世帯年収1,600万円)までは満足度が上がっていくが、その後はゆるやかに逓減するという調査があるのだ。
これは、世帯年収3,600万円の夫婦の“シアワセ”探しの物語だ。
「シアワセの最適解~世帯年収3,600万の夫婦~」一挙に全話おさらい!
第1話:東京で億ションに住んでも、幸せからはほど遠い理由
― はぁ…。ここに引っ越してから、怒ってばかりなんだから。
世帯年収は3,600万円で、子どもは1人。代々木上原の億ションに在住して、ベンツを保有。趣味はゴルフと海外旅行。
…けれど決して勝ち組とは思えない。日々の生活は、思い描いていた幸福からはほど遠いのだ。
この街で、日々幸せを感じて生きている人は、一体どのくらいいるのだろうか?
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第2話:夫婦で300万円以上の住民税を納めても、認可外保育園しか入れず…。高所得サラリ―マンの現実
近所にはモンテッソーリ教育に力を入れている園、広い園庭やプールがある園など、魅力的な保育園が多数あるが、すべて認可園のため、申し込んだものの結果は全滅だった。
運良く入れた認可外園は、フロアの1室で園庭なし、優しい先生方には感謝しかないが、魅力的な環境とは言い難い。
「翔平の教育のためにも今の生活を見直すべきなんじゃないの?この先どうするのが良いか真剣に考えてみるから、奈美も考えてみて」
「…わかった」
食後に熱い加賀棒茶を飲み干して、店を後にした。だがこのあと追い打ちをかけるように、奈美たちは“真の富裕層”を目撃することになるのだ。
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第3話:『福翁自伝』を読んでお受験 or 年間400万払ってインター?無謀な選択肢に戸惑う妻
「奈美、何か元気なくない?」
「バレた?ケンタに翔平の教育について考えてみてって言われて、悩んでるんだけど、答えが出なくて。今日も帰ったら大事な話があるって言われたし…」
そう返しながら、頼んでいた“青野菜と牛肉のフォー”に箸をつける。ダシがきいたスープに野菜がたっぷり入った、奈美のお気に入りの一皿だ。
お気に入りの店で友人と食事するのはやっぱりいいな、と考えていると美貴は思いがけない言葉を口にした。
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第4話:「2億の損失か、それとも…」シッターからのLINEに泣き崩れる39歳女。キャリアママに迫られる選択
「印鑑!?未だに印鑑が必要だなんて、ドメは相変わらず非効率だな。でも、しょうがないか…。今日は余裕あるから、奈美の会社まで車で送ろうか?」
― えっ、心配してくれてる?
その言葉を聞いた奈美は、急に嬉しくなった。
「ありがとう、でも大丈夫。お昼は『金兵衛』のお弁当でも食べてね。いってきます!」
そう言って、奈美は足早に家を出た。実は、奈美には、会社に行きたい理由がもうひとつあったのだ。
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第5話:大学費用だけで2,000万!?“海外で子育て”を決意したものの、金銭問題に直面…
「私、アメリカに移住する決心がついたよ!決断までに、時間がかかってごめんね」
「本当に?奈美、ありがとう!ちょうどお正月休みが終わったら、上司に相談したいと思っていたんだ」
満面の笑みを浮かべるケンタを見つめながら、奈美は自分に言い聞かせていた。
― これで、よかったんだよね…。私が仕事に執着したところで、家族みんなが幸せになるわけじゃないし。
迷いながら、ようやく米国行きを決断した奈美。しかし、これが前途多難な人生の幕開けだということを、このときはまだ知らなかった。
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第6話:「億ションなんて買わなきゃよかった…!?」世帯年収3,600万夫婦が、後悔した理由
「今のお客様は、ご主人が勤務医、奥様は会社員とのことです。奥様の感触はよさそうでしたよねっ!?」
自宅マンションのリビングで、不動産業者の営業マンが奈美とケンタの顔色をうかがいながら、わざとらしく明るい口調で声をかけてくる。
今日は3組の内覧が入っていたが、最後の家族を見送ったところだ。今住んでいるマンションを売りに出してから2ヶ月たったが、未だ売れていない。
週末になると3~4組がコンスタントに家を内覧しにくるにもかかわらず、買い手がつかないので、奈美たちは焦り始めていた。
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第7話:120平米超え豪華マンションで優雅に暮らす女。それでも幸せを感じられないって、どうかしてる…
渡米後、ケンタは日本で生活していた時とはうって変わって機嫌がいい。
良くも悪くも、すべてにおいて自己責任の文化が心地いいこと。また、日本では、米国時間でミーティングが入り、常に寝不足だったが、今はよく眠れているからだ。
ケンタは、時間と心に余裕ができたことで、パン作りにハマり「『天馬』のカレーパンを再現したい」と、夜な夜なパンを焼いている。
米国に来てから絶好調の彼を見ていると、奈美は、自分が日に日に退歩してるような気持ちになり、余計に気分が滅入ってしまうのだ。
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第8話:代々木上原の億ション暮らしから、転落した女。一度手にした贅沢が忘れられなくて…
奈美は、以前幸子さんのホームパーティーに参加したときのことを思い返す。渡米して2ヶ月が経ち、たくさんの日本人妻と交流して、米国に住む日本人には、ヒエラルキがーあることを知った。
“移住組ヒエラルキー”の頂点は、夫婦揃って大企業勤務で、豪華な一戸建てを持っている幸子さんのような人だ。中間層は、美穂さんのように、夫が大企業勤務で妻も仕事があり、一戸建てを持つ人。
そして、奈美のように、妻が働いてない賃貸アパート組は、ヒエラルキーの下層なのだ。
― 東京にいた時は、これでも“上”の部類だったのにな…。
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第9話:「家事や育児だけしていても、虚無感しかない」専業主婦に向かない女たちの悲痛な叫び
知子さんは、在米4年目の駐妻だ。東京では公認会計士として監査法人に勤務していたが、今は専業主婦をしている。
息子同士が同じプリスクールに通っているので知り合ったが、キャリア中断という同じ悩みをもつ知子さんは、奈美のよき相談相手だ。
プリスクール帰りに、公園で子ども同士を遊ばせながら、知子さんと時間を過ごすことも多い。
「笑えるけど、違和感があるよ。何で、子どもと夫のことしか聞かないの…?」
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第10話:子どもの教育に、莫大なお金を投資するサラリーマン世帯。加熱する受験戦争の現実
今日は、夫同士が同僚ということで知り合ったアンの家に、翔平と一緒に遊びに来ている。彼女は、2人の子どもと夫と家族4人で、1年前に移住してきたシンガポール人。早稲田大学への留学経験があり、日本語が堪能だ。
「それにしても素敵なお家ね」
奈美は、白で統一された家具に観葉植物のグリーンが映えるリビングを見まわして言う。
「ありがとう!でも、庭がないタウンハウスだけどね。本当は庭付きの一戸建てがよかったんだけど」
第10話の続きはこちら
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