あのコはやめて Vol.15

彼女との交際を、親友から反対された男:2021年ヒット小説総集編⑥『あのコはやめて』

「あのコは、やめた方がいい」

恋人との交際を友人から反対されたら、あなたはどうしますか。

愛する人を、変わらずに信じ続けられますか。

そして、女が隠す“真実”とは…?

これは、愛と真実に葛藤する男の物語。


2022年も頑張りましょう。昨年2021年のヒット小説総集編、「あのコはやめて」一挙に全話おさらい!

第1話:ハイスぺ地味男の新恋人に、態度が豹変した女がささやく“禁断の一言”とは…?

― 僕に、こんな幸せが訪れるなんて…。

誠はお台場海浜公園のベンチで、恋人の肩を抱きながら幸福感に酔いしれていた。

隣に座るのは、恋人の咲良。長い髪に爽やかな白いブラウスが似合う素敵な女性だ。彼女とはマッチングアプリで出会い、先日から交際を開始したばかりである。

明るく活発な咲良は、シャイで頭でっかちな誠とは正反対。だからこそ、誠は足りない部分を求めるように、彼女に強烈に惹かれているのだ。

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第2話:「2人きりで会えないかな」親友の婚約者から突然のLINE。気になる逢瀬の理由とは

―『あのコは、やめた方がいいと思う』

そっと囁かれた真紀の言葉が、頭の中でぐるぐる回っている。咄嗟に言い返そうとしたが、できなかった。じっと自分を見つめる、彼女の吸い込まれそうな美しい瞳…。それは、誠の言葉の全てを抑えこんだ。

― 咲良と楽しそうに話す圭一が嫌だった、とか。

確かに彼の真紀に対する気遣いは足りないように見えた。しかし、すでに夫婦のような信頼関係のある2人にこんな心配をすること自体、野暮な気もする。

― まさか、真紀さんって実は僕のことが…?

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第3話:“親友の婚約者”と“自分の恋人”の確執。男が戦慄した女のエグい世界とは

あの日以来、真紀とは連絡さえも取っていない。単なる女の嫉妬だと自己完結したものの、2人きりで会ってしまった罪悪感がある。

とにかく、真紀の不可解なアプローチと要求を、圭一と共通の笑い話にしたかった。

「この時間は貸しスタジオで練習中。連絡はしてあるけど」

真紀は来ない。だが、この機会を逃すとさらに重荷になりそうな気がする。誠は我慢しきれず、圭一だけに話すことにした。

「そういえば圭一。実はさ…」

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第4話:美女のワガママに翻弄される男。親友との友情を守るため引き起こす“ある行動”とは

― 別に、真紀さんは僕に言い寄っているわけじゃない…はず。

とは言いながらも、あんな態度を取られたら勘違いしても仕方がない。

彼女のことをぐるぐる考えていたら、会社のパソコンの前でじっとしたまま午前が過ぎてしてしまった。誠は案件に余裕のある時期でよかったと心から安堵する。

気持ちを切り替えんとばかりに、昼休憩でロッカーへ行きスマホを確認する。だが、届いていたLINEのメッセージが、誠をさらに悩ませるのだった。

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第5話:「ずっと夢だったんだ…」男が初めて家を訪れる恋人のために用意した“あるモノ”とは?

圭一と真紀のデートや会食に誠も誘われるようになったのは「両方の付き合いをおろそかにしたくないし、効率も考えて」だと、彼の妹・沙耶佳から耳に挟んだことがある。

誠はひとり帰宅の途につきながら、圭一から送られてきた過去のLINEを眺める。彼は今日、わざわざ同期会の出席について説得するために時間を作ってくれたのだ。

― 『もう真紀が誠に会いたくないって言ってるけど』

誠はそのメッセージを見て気づく。真紀に対する謎の拒否反応の意図が浮かび上がってきたのだった。

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第6話:格下女をハブる傲慢な美女。身勝手な振る舞いを男に指摘された彼女は…

こういうときに的確なアドバイスをくれそうな圭一と、現在、距離があることが辛い。

人生の一大決心こそ、自分の頭で考えろという天からの思し召しなのだろうか。

― 景色のいいレストランを予約して、指輪を渡せばいいんだよな?

観戦帰りの電車の中で同じチームのユニフォームを着た咲良と肩を並べながら、そんなことをずっと考えていた。夢見心地に溺れながら…。

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第7話:「年収1,000万の奴なんてどこにでもいる」女の誘惑に悩む男が親友に告げられた真実とは

「本当に忙しくてさ。真紀とも会えていないほどで」

そんな圭一の言葉に誠はハッとした。

― まさか、圭一に相手にされない分、僕らを妬んで横槍を入れているのか…。

しかし、そんな雑な推測もイマイチピンとこない。圭一いわく、真紀も同様に多忙らしい。演奏会が近く、通常の倍の練習量をこなしている時期だとか。

― とは言いつつも、僕と会う時間は作れるんだよな。だとしたら…。

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第8話:エリート男子校の同期会で明らかになる親友の本音。恋人か友人か、男が選ぶ選択とは

「…お前、最近おかしいぞ。彼女ができたから?」
「おかしいのは圭一だよ。ああいう裏のある女は、絶対に浮気とか問題を起こすはずだ。…彼女は、やめろ。今のうちに、逃げておくべきだよ」

2人の間に沈黙が走る。そして、彼は静かにため息をついたのだった。

「…お前が何と言おうと、俺は真紀を信じるけどな」

そう言い放ち、圭一は既婚組の輪の中に戻って行ってしまった。宴は続いていったが、以降、彼と目を合わせることはなかった。

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第9話:婚約者の実家で目にした「ありえないモノ」とは?次々と暴かれる“自称お嬢様”の驚きの過去

咲良に似て、明るく活発そうな母親。年齢は60歳少し前くらいだろうか。住まいの印象に比べ、見た目は華やかな感じだ。

― お母さん、親しみやすい人でよかった。

誠はホッと胸をなでおろす。咲良もどこか緊張していたようだったが、彼の様子に安心した笑顔を見せた。

そんな時――

ふと、壁にかかっていた写真が誠の目に入った。

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第10話:「お前ら何してるんだよ」美女と2人きりの深夜の寝室で、男の前に現れた人物とは…

時折、バーに誠を呼び出していたときの真紀の様子が、脳裏によみがえる。涙目になったり、もたれかかりそうな弱さを見せたり…。

ことあるごとに嫌な思い出がフラッシュバックしたのだろう。彼女の色気のせいで、変な勘違いをしてしまった自分の浅さを悔やんだ。

すると―

暗がりの寝室に、廊下の明るい光が一気に差し込む。そこに現れた男の姿に、2人は目を見開いた。

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第11話:婚約者のインスタに衝撃を受けた男。苦悩の果てに恋人に告げる予想外の一言とは

歓談する咲良の甲高い声がうっすら聞こえる誰もいない廊下で、誠はじっとスマホの画面を見つめていた。

Instagramに書かれていた彼女の投稿――

確かに店をあまり知らないことや、指輪を相談せずに買ったことは申し訳ないと感じた。しかし…。

― 僕の前では、猫をかぶっていたってこと?

フィードをさかのぼると、自分のことを『平匡さんみたいな優良物件ゲット』とも書かれている。優しく真面目で高収入、女慣れしていない理系男子だからと、以前流行ったドラマの登場人物に例えられていた。

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第12話:婚約破棄された女のありえない行動の数々。因縁の同級生が女から受けるさらなる仕打ちとは…

婚約破棄に至る一番の原因は、かつて真紀を虐げた過ちをすっかり忘れている咲良の感覚がどうしても理解できなかったからだ。自分もかつて同じような経験をしているからこそ、だ。

なんとかして咲良を遠ざけようとしたかった真紀の気持ちが、痛いほどわかった。

真紀の件と自分の件は別の話だが、今の誠は『咲良の幸せに、加担したくない』という思いは明確だった。

結婚式も早くキャンセルせねばならない。交際を継続する気はさらさらなかった。ならば、早くちゃんと話し合いをしなくてはと考えていた、その矢先…。

第12話の続きはこちら

第13話:いじめの被害者と加害者の直接対決。2人の女に翻弄された男が下す最後の決断とは

「裕福なあなたはわからないでしょうけど、私だって幸せになりたいの。片親で、お金ないのに無理していい学校に行かせてくれたお母さんに感謝したいし。横槍入れるのはよして、お願い!」

ウインクして両手を合わせる咲良。圭一は会話の聞き取りに集中するためか、顔をずっと伏せている。逃げ出したくなりそうなヒリヒリとした空気だ。

そして次の瞬間。勢いよく机を叩く音が店内に響いた。

「…何!?私は一度あなたの気を悪くしただけで、一生反省してなきゃならないの?幸せになる権利はないの?」

高圧的な態度にも、真紀は一切怯まない。そして、ついに口を開き、静かに告げるのだった。

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